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敵を吾が術中に引きずり込む当身の業

■ 頭蓋骨の構造と頭部点穴名称 ■
(ずがいこつのこうぞうととうぶてんけつめいしょう)

 大東流には当身業の極みとして「大東流点穴術」があり、これは一般の当身とは異なる。
 その「当」は次の通りである。

 脳は六個の骨が精密に殆ど隙間なく、噛み合うように組み合わざれて構成されているが、それは脳頭蓋として前頭骨(1個)、頭頂骨(2個)、後頭骨(1個)、側頭骨(2個)、蝶形骨(1個)、篩骨(1個)の八個からなり、また顔面頭蓋としては鼻骨(2個)、鋤骨(1個)、涙骨(2個)、下鼻甲介(2個)、上顎骨(2個)、頬骨(2個)、口蓋骨(2個)、下顎骨(1個)、舌骨(1個)の十五個からなっている。

頭蓋骨図

▲頭蓋骨図(クリックで拡大)

 
天の刺し

▲天の刺し(クリックで拡大)

●天倒(天道)之当
 この部分は前頭骨部を謂う。此処に当てを入れると、脳髄の活動に変化が起こり、脳と頭蓋骨を繋ぎ止める毛細血管が切れたり、精神障害あるいは種々の脳病疾患に至る。また瞬時には脳震盪や知覚刺激障害が現われて、眼が見えなくなったり、耳が聴こえなくなったりする。
 この部分に当には手刀、水平拳、正拳、水平猫手を用いる。

 【註】天倒と天道の位置は頭蓋骨頂上部にあるが、両者は各々個別の経穴であり、脳を取り囲む六個の骨より形成された前頭骨部に存在する。
 「天倒」は、頭頂骨の矢状縫合と前頭骨の冠状縫合が中心で交わった処(督脈の百会)で、この付近には新生児の時からの「大泉門」の口があり、此処を打ち砕く事で即死に至る。また「天道」は、前頭骨の中央部付近で、督脈の「神庭」であり、此処を熊手掌底で打抜くと前頭骨が中央部から割れて陥没する。

 因に据え物斬りの兜割りは、死者の馘に兜を被せ、それを柾土(篩にかけた砂と柾土を五対五の分量で作った土)の上に置いて、切断する刀法はあるが、これは兜を斬るのではなく死者の馘の前頭骨の正中線に沿った中央部を切断するのである。この事は前頭骨が新生児の時、二つに割れていたという事を物語る事実である。

●烏兎之当
 烏兎の意味は太陽と月であり、太陽には三本足の烏がおり、月には兎が居るとした神話から由来した言葉で、「天には日月ありて、陰陽の入るは、人にして両眼の上にあり」と『兵陽書』には示されている。「烏兎」と謂われる部分は、顔の中心の両眼の鼻上部にあり、この部分の当ては中高一本拳、正拳、平拳、指平拳、裏拳、手刀等を以て攻撃する。これにより大脳を刺激し、神経錯乱を齎す。

●人中之当
 顔の中央鼻と下部口の上部の間を「人中」という。この部分を高一本拳、正拳、平拳、指平拳、裏拳、拇指等を以て攻撃する。これにより視覚障害、呼吸障害、神経激衝等が起こる。
 また人中という経穴は、蘇生術として用いられる場所であり、鍼灸等の「暈針(鍼灸師が針を打ち、針の抜けなくなる事故症状を謂う。此処に針を打つと曲がって抜けなくなった箇所の針が抜けるようになる)」の症状に遣う経穴である。また脳溢血や顔面神経痛の手当をする経穴でもあり、此処に灸を据える事で、鼻血が出て蘇生させる事も出来る。

 人中を正中線とする中央には、上顎間縫合が鋤骨から下に向かって縦に走っており、表面は皮下は口輪筋で覆われ、此処は様々な治療点であると同時に、人間を意図も簡単に殺してしまう経穴でもある。
 此処を攻撃する場合は正拳を始めとして、中高一本拳や裏拳や猿臂が遣われ、中貫合気で打ち据えると、上顎間縫合を簡単に外す事も出来る。

●亜門殺
 一般には「盆の窪」と謂われる場所で、此処を打破するには中高一本拳や拇指拳が用いられる。また止めとして猿臂が用いられる。
 亜門は「亜門宮」であり、此処は身体を浄化する入り口となり、滝行等では此処の「宮」を開いて清水の精を受け入れる場所とされている。此処を激しく打破すれば、脳及び延髄圧迫によって内出血が起こり、意識を消失して鼾をかく症状が起こる。軽い場合は顔面が蒼白になり、皮膚が冷え、冷や汗をかいたり、また瞳孔が散失し、眼球が座ったようになる。更に言語障害が起こり、味覚や臭覚に異常が起こる。

●頬車之当
 「頬車」とは頬骨付近の経穴であり、耳朶の下のへこんだ部分にある。この経穴は足の陽明胃経の、合計四十五の経穴の頭部にあり、頬車は「承泣(眼の下で、涙の零れる位置)」から始まって第六番目の経穴であり、承泣から出発したルートはその後、鼻の横を下り、口を巡り、顎の下に至る。そこから二本に分かれて、一本は耳の前を上り、前頭骨部に至る。他のもう一方は頸から肩に下り缺盆を経由して、足の「レイ兌」に至る。

 頬車は耳朶のへこみ及び、下顎の付け根に位置し、直ぐ傍には「独鈷」の経穴があり、此処を打てば同時に作用する。頬車及び独鈷の当ては正拳や中高一本拳で一撃する。この部分には耳下腺、顎二頭筋、顔面神経、大耳介神経、耳介後動脈、後頭動脈があり、此処を打てば、三叉神経に刺激が伝わり、頸動脈が圧迫される。同時に顔面神経麻痺となって涙が出たり、涎が出たりする。あるいは歯の痛みを感じる。三指折熊手の第二節の指頭を用いれば下顎を外す事も出来る。


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