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技法の根源となる「ただ一つのこと」

正中線(中心線) ■
(せいちゅうせん ちゅうしんせん)

 生物体が左右相称な場合、それは相称面を有し、中心線を軸に生物体を均等な両半に分ける部分が出来る。この両半分に分ける線を「正中線」あるいは「中心線」と呼ぶ。

 この正中線は、上は「泥丸」より、下は「会陰」までが正中線の軌道であり、これが真丹田(これは任脈上にある気海と呼ばれる丹田とは異なる。真丹田は臍下三寸、更にそこから内側に三寸入ったところ)を経由して、上下に至っている。

正中線と正安定の図

▲正中線と正安定の図(クリックで拡大)

 また正中線は、三角錐の底面である三角形の中線上に位置し、平坐静坐法(股割をして静坐した場合の坐り方)で「坐」の姿勢をとった場合、三角錐の底辺を位置する三角形の右頂点には右膝、左頂点には左膝、そして後方頂点には、指坐をした場合の左右の重ねた拇指の爪先部分が各々の頂角(三角形の底辺に対する角)をなし、正安定を構成して、その三角形を底面として左右を二等分するの中線上から垂直に立ち上げたものが「正中線」である。

 したがってこの正中線は立体の三角錐の頂点角(人体では泥丸部分)から垂直に、真下に貫き、真丹田を経由して会陰に至る垂直線が中心線であり、この中心線は左右の中線上(数学的には三角形の各頂点から対辺の中点に引いた線分で、三角形の三つの中線は一点で交わる)のみならず、地球のジオイド方向(geoid/地球重力の方向に垂直で、かつ平均海水面とほぼ一致する曲面)と一致する。この一致した中心線を「正中心」という。正中心こそ、人間が唯一の不動心を得れる中心点であり、この中心点に偉大な力が隠されている。

 曾て肥田式強健術の創始者・肥田春充はこの正中心を会得して丸太を、真下に蹴り込むことで、蹴り折った経験を持ち、またこうした垂直方向に物体を持ち上げると、容易に揚がることを会得した合気道創始者の植芝盛平は大きな木の根を引き抜いた経験を持つという。

 しかし多くの武道家は、不動心を得れる正中心を理解せず、正中線を単に人体の相称面の中央に位置する均等二等分線と解釈し、この二等分線上に刀を構えたり、上段に振り被ったり、下段に構えたり、あるいは左右の手刀をこの線上に合わせて構えたりの、誤りだらけの「前方平面の中央線位置論」を論じており、二次元平面武道論が盛んで、直線と直線の戦いの強弱論までが繰り出して、正中線が武道家の間で、未だに理解の域に達していないことは非常に残念なことである。


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