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◆◆ 手裏剣術の鍛練法について ◆◆
【稽古上のご注意】
 手裏剣術を稽古しようと思って、実際に手裏剣を打つ場合に問題になるのが、稽古場や標的です。
 道場において手裏剣を習い、それを稽古する事については、法律上で罰される事はありませんが、道場以外の場所で行なう場合は様々な法律の規制が伴います。
 更に刑法上の問題もあり、無闇(むやみ)に、何処でもという訳にはいきません。一番よいのは手裏剣を教える道場に通う事ですが、手裏剣を教える道場は全国的に見ても非常に少なく、また古流として、この手裏剣術を正しく伝える道場が少ないようです。

 したがって、どうしても「自分一人で」と言う事になります。
 健康法として始める場合は、自分独自の稽古場が必要になります。また自分で勝手に製造した手裏剣などを、公園や広場で、こうした稽古を行うと、武器製造法軽犯罪法にふれ、最悪の場合は凶器準備集合罪などの罪で逮捕されかねません。

 また、山間地の山深い空き地や、他人の所有する土地や、農業用などの広い畑の一劃(いっかく)などで無断で稽古を行うと、そこには土地の持ち主が居ますから、不法侵入罪や、上記の罪に問われかね、逮捕される場合もあります。
 したがってやはり、日本で稽古を行うには、農閑期などに、畑や、田圃の片隅の使用を断ってそこを稽古場所にすれば良いのですが、こうした場所は今では限られ、やはり独自の稽古場として、稽古中、通行人などに当る事の無い、世間から隔離された手裏剣術専門の稽古道場を持つ事が必要になります。

 稽古道場は、道場の代用であっても構いません。
 また自宅の庭などを使う場合は、コンクリートの外壁のあるところや、ブロック塀の近くは出来るだけ避け、地面は土か砂である事が理想でしょう。地面が土であれば、手裏剣が的に刺さらず、墜(お)ちても跳ね返る心配がありません。
 とにかく、初心者が稽古をするとき、手裏剣を打っても刺さらないような場合が多々あるので、投打力のない人は、跳ね返って来る手裏剣の事を考えて、「畳の手裏剣の標的」意外に、標的の下に別の畳を敷く事も大事です。また、万一の場合を考えて、できれば周囲を古畳で囲うことも大事な準備の一つです。

 自分独自で稽古をする場合、跳ね返りの手裏剣を防止する為に、大きさは横二間、縦三間のマットや蒲団を用意し、重ねた毛布などを敷き詰めるのも妙案です。危険防止の為に万全を尽くし、周囲には窓やドアや障子などがない場所を選びましょう。また、人が常時出入りするような場所や、近辺が人の通行する往来では、絶対に行わないと言うのが武術実践者の心得です。稽古場所には万全を尽くし、細心の注意を払う事が必要です。

 屋内を利用して、稽古を行なう場合も同じですが、屋内の場合は、至近距離(一間半から三間程度まで)からの稽古だけとどめるべきでしょう。中距離や長距離は、間数を必要とする為、独自の稽古場所を確保できる方は別でしょうが、民家やマンション内の稽古は、中距離や長距離では不向きです。屋内の稽古場は、単に手裏剣が飛行する距離だけの「広さ」や「長さ」があれば良いと言うわけではなく、天井の高さも問題になって来ますので、民家などの天井の普通の室内では、天井の高さが不充分で、こうした屋内では稽古場として不向きです。

 次に、「的」は必ず古畳を利用し、丸太、木片、平板などは不向きです。古畳を利用すれば、打って刺さった時の刺さり具合の感触も非常に良いものです。畳以外では、水を含んだ粘土も良いでしょうが、大量にいるので高くつき、手入れも大変です。
 一本当たりの手裏剣単価は高価ですので傷めたり、尖先や刃の部分の刃零(はこぼ)れも、畳の場合では減少されます。また、刺さらなかった場合の事も考えて、跳ね返る危険もあり、必ず古畳を利用しなければなりません。
 「的」を作るには、古畳を三枚用意し、更にその下にはマットや蒲団を用意し、敷き詰めます。安全第一を心掛け、自他共に怪我をしないように心掛けて下さい。

西郷派大東流の手裏剣打法の稽古風景(西郷派では手裏剣を打つ場合、心を鎮め、礼儀を正し、手裏剣を打つ作法を行う。これは手裏剣術を単に格闘術の次元にとどめず、高次元の自己鍛練を目指しているからである。そして「万打自得(まんだじとく)」も、この境地に至って、はじめて得られるものである)



◆◆ 手裏剣術は精神鍛練と集中力の訓練になる ◆◆
【鍛練の仕方について】
 標的になる「的」の中央には、自分の大きさくらいの黒い円を描き、さらに直径50cmくらいの白い円を描きます。また、西郷派大東流手裏剣術の独特の「○に六」(大東流ドットコム、合気手裏剣術参照)の図柄の的を作ってもよいでしょう。
 中央に使う古畳の隣には、左右に各々二枚の古畳を立て掛け、手裏剣が的から反れて跳ね返るのを防ぐ役目を持たせます。畳を立て掛ける場合は、ストッパー的な工夫を凝らし、容易に倒れて来ないようにします。廃棄処分同然の古畳は、畳屋に行けば無料(ただし取りに行き自分で運ぶ事が条件)で分けてくれる事もあり、また有料にしても、そんなに高価なものではありません。一枚二千円も出せば、配達までしてくれる畳屋もあります。

 手裏剣術は精神鍛練と集中力の訓練にもなります。
 ただし独学で修得する事も出来ますが、独自の自分勝手な稽古法では、手頸のスナップなどの効かせ方にも問題が出て来るので、よき指導者の教えを受ける事を御薦めします。
 また、「打法」にも種々の高度な儀法があり、こうしたものは手裏剣術の指導者について、適格なアドバイスを受ける事が上達への近道です。

 さて手裏剣術は、日本では古来より《武芸十八般》と云われたものに、「弓術、馬術、槍術、剣術、抜刀術、短刀術、手裏剣術、薙刀術、砲術、柔術、捕手術、棒術、袖搦(そでがらみの意味を持ち、「もじり」を顕わす)術、十手術、含針術、鎖鎌術、水泳術、隠形(おんぎょう/「志能備(しのび)」という文字が充(あ)てられ、「忍び」のことであるが、その他に隠形の、呪術によって、身を隠す事を指し、これを隠行法と言うが、真言の行者が、自己の姿を隠して身を守るとされる呪法で、この場合、摩利支天(まりしてん)の印を結ぶ)術」があり、これを武芸十八般と称したのです。総べて、各々は武器と密接な関係を持っているということになります。

 また中国における《武芸十八般》は、日本のものとは異なります。
 ちなみに中国における《武芸十八般》は、第一が棒術、第二が槍術、第三が刀法(青龍刀などの打ち物の反りのある片手で用いる柄の短い刀を指す)、第四が剣法(両刃の直剣)、第五が斧(おの)、第六が鉞(まさかり)、第七が矛(ほこ)、第八が楯(たて)、第九が熊手(くまて)、第十が刺叉(さすまた)、第十一が鏈(くさりがま)(鎖鎌の意)、第十二が投げ鉾(銛あるいは、日本で言う「手裏剣」を指す)、第十三が鞭(てつむち)、第十四が簡(じんのおたて)、第十五が鎚(なげつち)、第十六が銃(つつ)、第十七が弓、第十八が弩(いしゆみ)であり、これらを総称して、中国では《武芸十八般》と云います。日本のものと異なるので、武術研究にはこれらの分類をすることが大事であるとともに、日本でも中国でも、「手裏剣」は、武芸の中で最も有効な武術であると言う戦闘思想を持ったいたと思われます。

 しかし、手裏剣と云う投擲武器を、現代の高性能銃や、その他の投擲武器と同じように考えるのは危険であり、「手裏剣」という、古来より、《武芸十八般》として考えた思想的な戦闘理論は、その根底に武術で云う「礼」という意識がその根底に流れていなければなりません。是非とも、手裏剣を学ぼうとする人は、礼儀を重んじ、自他共に礼儀正しく学んで欲しいということを深く切望致します。

手裏剣二本を左右両手に持ち、十字に交叉させて、太陽に向かい、太陽瞑想の「日想観」を行う。西郷派大東流では太陽の光を眉間部分に受け、三角に構えた裡側の部分に光を当てて打法のイメージを練る。わが流では、これを「太陽手裏剣」という。

 普通手裏剣は、利き腕のみによって打つが、わが流では左右両方の手を用いて、左右が同じように使えるように修練をする。眉間に太陽のエネルギーを受ながら、左右が同じように使えるようイメージし、逆腹式呼吸を繰り返しながら眼を半眼に閉じて瞑想するのである。

 更に、この状態から「的」に向かって、二打一緒に打ち込む「弐丁打(にちょうだ)という西郷派大東流独特の打ち方がある。同打は多数之位(たすう‐の‐くらい)を会得する儀法(ぎほう)として修練される。

 「太陽手裏剣」の詳細は会員制の
 
http://www.daitouryu.net/の「合気武術」手裏剣術篇を参照。
 手裏剣関連ページ
http://www.daitouryu.com/





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