赤血球母細胞は腸壁で発見された! 
 森下敬一医学博士はその著書『浄血』(時事通信社)の中で、「赤血球母細胞は腸の壁で発見されたことが『腸造血説』のキメ手になった」と述べています。
 赤血球母細胞はその名の通り、赤血球を生み出す母親の細胞であり、この大型の細胞が腸の壁の「腸絨毛組織」だけに存在することが実験によって確認できたのです。

 この様子は顕微鏡写真に収められ、食べ物が赤血球母細胞に変化し、発展していく総てのプロセスが記録され、赤血球母細胞から赤血球が生み出され、血流に送り出されていく事実が確認されたのです。
 これは間違いなく、血液は腸で造られているという、「造血のメカニズム」が確認できたのです。

 ところがあえて、「血液は骨髄で出来ているという説」を掲げるのは何故なのでしょうか。
 骨髄とは骨中の腔所をみたす柔軟組織のことです。
 『骨髄造血説』によりますと、「赤色髄は造血組織の中枢を成し、赤血球・白血球・血小板などがここで形成され、黄色髄は脂肪組織から成る」とあります。
 そして造血幹細胞を取り上げ、「赤血球・白血球・血小板などの血球(血液細胞)のもとになる細胞と定義し、骨髄や造血組織に存在する多能性幹細胞が骨髄系やリンパ系の幹細胞に分化し、さらに諸種の血球に分化する」としています。

 これによりますと、造血の場が「腸」ではなく、「骨髄」と定義され、「赤血球新生のメカニズム」を頭から否定しています。これは何故なのでしょうか。
 ある程度の科学知識を持つ人であれば、誰が考えて見ても造血は腸でなされているということが、容易に分かるはずなのですが、これをあえて否定し、誤った理論に学識経験者の正統性をつけて、これを否が応でも認めさせるという意図が隠れています。

 動物の「からだ」というのは、下等なものから高等なものまで、三つの基本的要素によって構築されています。これは人間といえども例外はありません。
 基本的な三要素は、まず「体細胞」と「消化器官」と「血球」の三つです。

 これを更にプロセス順に註釈しますと、

 その第一、人間は食べ物を摂らないと生きていけない。
 その第二、その食べ物は消化器官で消化される。
 その第三、それがやがて体細胞を作り上げる。
 その第四、消化器官で消化された食べ物と体細胞への移行過程において、これをつなぐ細胞として「遊走性をもった血球」の存在がある。

 以上に従いますと、血液が作られる場所は消化器官以外において、他にはありません。
 それなのにあえて、現代医学や現代栄養学、更には生物学までが『骨髄造血説』をとっているのです。そしてこの考え方で医療を見た場合、根本的に間違っているばかりでなく、本来の生体における生理機能の本質もつかめませんし、病気対策も立てられないことになります。

 そして現状は、この『骨髄造血説』が障害となって、医学面や健康面において、医療は間違った形で展開されているという現実があります。
 しかしこれに警鐘を鳴らす医学者は圧倒的に少ないというのが実情です。
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