人間の腸は肉食動物と比較して見ますと、はるかに長いことが分かります。これは植物性の食物を常食とする哺乳動物は、消化や吸収に時間が掛かるために長い構造になっています。
体長と小腸の長さを比較して見ますと、肉を食べる動物は比較的短い小腸を持ち、また逆に食物を主に食べる動物は、小腸の長さが長いことが分かります。
これは水冷式哺乳動物である人種によっても、体長と小腸の長さに違いが出ます。
この事は、その民族が古来より何を食し、どういう気候の中で、その地域性に順応して、土地の風土に馴染んできたかということが明確になり、それが人体構造を支配したといえます。
特に日本人の場合、植物性を主に食してきたため、西洋人に比べて2メートルも長いことが分かっています。
この小腸の長さは、日本人の人体構造が植物性食品を主体に連綿と食文化を繋ぎ、穀物菜食をしてきた民族であるということの証明です。
また、肉食を主体としてきた西洋人と、日本人とではその人体構造そのものが構造的に違っているといえます。
では何故、違っているのか、と言いますと、それが耐久力においてそれが反映され、それが穀物菜食主義の原点をなしているということが言えます。
これは体力実験によっても証明されています。
体力測定の中で「スクワット」という膝かがみ運動があります。この運動を実験材料として、肉常食者と穀物菜食者の体力測定をしたところ、肉常食者の中で300回以上出来た人は少なく、また何とか達成しても、歩けないほど、ふらふらに疲れました。
ところが穀物菜食者は2,000回以上もこなせることが出来、中には5,000回に達した人もいました。
この体力測定に参加した被疑者は、前者がスポーツや武道の経験者であり、肉常食者で、後者は運動経験のない、全くの素人達でした。
これによっても、食肉が耐久力をつける食品でないことが分かります。
さて、栄養学には「プラスの栄養学」と「マイナスの栄養学」があります。
プラスの栄養学は、何でもよく食べ、特に動物性蛋白質を中心に、ほぼ等量の野菜や果物を食べるという考え方で、好きなだけ沢山食べるという「腹十分も二十分」も、胃袋を満足させる思想です。これこそがバイタリティーの源で、健康維持の原動力であると信じて疑いません。
マイナスの栄養学とは、穀物菜食を中心に、それを次第に粗食・少食に切り替え、「腹八分」から「腹六分」へと段々少なくしていって、一日二食もしくは一日一食として、体躯自体を食から人体を支えるのではなく、霊体領域を拡充してそれによっても人体を構成できる体育造りをするという「半身半霊体」の思想です。
これにより、人体そのものが軽くなり、したがって「スクワット」のような反復運動も楽にこなせるということになるのです。
また、疲労の面からも大きな違いが出てきます。
歴史の中で、肉食を中心にしてきた西洋人は、内臓に負担がかかるため、「昼寝」の習慣があります。イタリアや中近東などの国には、今でもこの習慣が残っています。
ところが日本人には、つい最近まで、こうした習慣がありません。
これはえてして、少食の方が内臓が疲れないということもあり、「穀物菜食・粗食・少食」の方が、それだけ多く働けるということになります。寿命の根源である生命力も、食禄が細く、長い方が長寿であるという証明でもあります。
好きなものを腹一体食べるということよりも、腹八分以下にして「ほどほど」ということが大切なのではないでしょうか。
西洋人のように、腸の短い民族でも、肉食すれば疲れるのです。これが逆に、腸の長い日本人が肉食をすれば、更に疲れて活動が半減されるのは火を見るより明らかです。 |
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