またこうした食文化の盲点の隙間に入り込んだ「ご都合主義」の、食品企業展開の裏側に、「ジャンクフード」なる、若者をターゲットにした食品業界の激しい攻防戦があります。
ジャンクフード(junk food)とは、高カロリーで低栄養価のインスタント食品・スナック菓子などを揶揄していう言葉です。
この中には、インスタントラーメン、種々のカップ食品、即席焼きそば、携帯パック入りカレーライスや即席の丼物、及び酸化油成分の高いスナック菓子などが挙げられます。
これらは多種大量に生産されている、高カロリー・低栄養価食品の事で、油処理熱加工が加えられている為、高カロリーであり、その逆に、栄養価が低く、防腐剤や着色の為に、食品添加物を多く含む欠陥食品というのがジャンクフードの実態です。
またこれらの食品成分には、塩分(100%塩化ナトリウム)や糖分(蔗糖saccharose/サッカロースの通称で、分子式C12H22O11の
二糖の一つ)が大量に含まれています。
特に「二糖」は、加水分解によって、二分子の単糖を生ずる糖類であり、蔗糖・乳糖・麦芽糖の類甘味が非常に強く、光合成能力のある植物中に存在し、水に溶け易い白色の結晶を構成しています。
「白砂糖」はその最たるものであり、ケーキや菓子パンやスナック菓子に、無差別に含有されています。
ジャンクフードの中には、こうした有害な保存料を含んでおり、必要なビタミンやミネラルの栄養素は皆無といっても過言ではありません。
これらを長く食べ続けると、人体に必要なエネルギーの欠落を招くのは勿論のこと、肉体的あるいは精神的にも持久力が無くなり、根気が失われて、無気力状態の人間になる事は必定です。
更には、これらの多くの食品は、その業界が「若者受け」を狙っている為に、濃い味常になっており、舌の感覚が麻痺して、常に濃い味を好み、従って食本来の食材自体が持つ、微妙で繊細な味が分からなくなってしまう恐れを孕(はら)んでいるのです。
ジャンクフードは、その裏に、企業のコスト主義と、ご都合主義が隠されていて、これを食べ続けると、人体にどのような影響が現われてくるかという事を、一切抜きにして作られている恐ろしい食品です。利潤追求と、未来の日本を担う若者を、有害食品で薬漬けにする魂胆が、競争原理の裏側に隠されているという事が明らかになります。
またジャンクフードで最も恐ろしいのは、テレビで放映時間中、コマーシャルとして流され、これを見た若年層の視聴者が、安易にこれらの食品に手を出すという現実です。裏には食品業界の計算通りの思惑が現実として存在し、これがやがては、心身に悪影響を及ぼすという結果を、知り尽くした上での市場展開があります。
心身に及ぼす弊害に、「不定愁訴」が挙げられます。
この不定愁訴というのは、漠然とした症状群の事で、下痢や便秘、肩凝りや頭痛、腰痛や肘や膝の痛み、のぼせや苛々(いらいら)、怒りっぽい性格や抑鬱(よくうつ/心のむすぼれふさがる事で、不快で沈鬱な感情を招くもので、抑鬱症の元凶)、脱力感や無気力などがこれであり、これらは単一に、肉体的病状として現われるのではなく、複数の要素を絡めながら、心身相関の症状として現われてくる病気です。
これは成人病の、言わば、前触れ的な症状であり、やがてこれらは高血圧、高脂血症、糖尿病などの本格的な病気へと移行していきます。
こうした「前触れ」を精神医学では、「抑鬱状態」と言います。
抑鬱状態とは、絶望・焦燥・悲哀感などの抑鬱感情、ならびに思考の集中困難などの思考抑制が見られる症状で、時には、罪責などの妄想を伴い、極度な鬱状態に転化します。そしてこれが進むと、鬱病という状態になります。拒食症もこうした罪責が無意識に表面化した病気です。
また鬱病とは、抑鬱気分・悲哀・絶望感・不安・焦燥・苦悶感などがあり、体調がすぐれず、精神活動が抑制された状態を指します。そして、しばしば自殺企図や心気妄想を抱くなどの症状を呈する精神病へと発展します。
こうした症状は現在の精神医学の分野では、難解な症状に挙げられ、原因も不明であり、その有効な解決策も皆無の状態になっています。
躁鬱病の鬱病相の形をとるものとしては、周期性ないし、単相性鬱病の型のものなどが挙げられていますが、今日でも脳のメカニズムは解明されておらず、物質科学の面で追求する事は、遅々として進んでおりません。躁鬱病は極めて難解な、肉体以外の霊的分野にまで絡んでしまった病気といえるようです。
昨今の若者が「切れやすい」という現象も、単に肉体的な分野に止まらず、その人間の根源を司る、霊体にまで及んでしまっている事は明らかなようです。
この事は、裏を返せば、こうした化学合成で人造的につくられた食べ物が、健全な肉体を貪るという事実を物語ったものに他なりません。 |
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