自己破産すればどうなるのでしょうか (53歳 無料相談室宛 元自営業)
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ズバリ申し上げよう。あなたは自己破産などする必要はない。
もうあなたは、債権者に対して、全く支払う義務は負う事はない。一円たりとも債務の義務は派生しないのである。既に「消滅時効」(期限の利益を喪失した日、あるいは支払いの最終年月日より換算して、法人では商法522条に5年、個人的使用の場合は10年と定められている。これによって「消滅時効」が成立する)が成立しているからだ。 但し、このまま放置したのでは、相手の思う儘(まま)に運ばれてしまう。まず、あなたは「時効の援用」をする必要がある。督促命令を出した裁判所宛に、異議申し立てをし、まず時効の援用をしなければならない。 この時効の援用は、貸借関係に詳しい弁護士か、司法書士を立て、法律の専門家から、かつての債権者に対し、督促の回答をよこした一件一件を虱潰しに、時効の援用を申し出る事もいいであろうし、余りにも件数が多過ぎるのであれば、法律専門家に払う報酬は膨大なものになるであろうから、自分で時効の援用をする事も一つの方法だろう。 また、裁判所からの督促命令は、意義申し立てする期間(特別送達を受け取ってから二週間以内)が定められているので、それ迄に異議申し立てをしない場合は、債権者側のペースに巻き込まれて、結局、元本と利息ならびに延滞金を含めた、全額の支払を命ぜられるだろう。 そこで、異議申し立てをし、とにかく一円も支払わぬ事だ。債権者が押し掛けて来て、脅(おど)されてても一円も払ってはならない。支払えば、時効成立は直ちに無効となり、その時点で、自分が全額を支払う事を認めたことになるので、この点は十分に注意して頂きたい。しかし脅されて、少額でも払えば、後は債権者の思うように料理されてしまう。旧(もと)の木阿弥(もくあみ)どころか、その数倍もの金額が請求されるであろう。 さて、債権者が郵便で回答書を求める方法でなく、直接押し掛けて来た場合は、かつての債務者に対して、貸金業者である事を証明する、各々の地方財務局発行の貸金業者の証明書か、その登録番号を示さねばならず、個人の街金業者でも、都道府県知事の発行する貸金業者の登録票を持っている。 また、貸金業を始めるにあたっては、東京法務局が発行する成年被後見人、被補佐人、任意後見契約の本人とする記録がない事を証明する、「登録されていない事の証明」という証明書を都道府県知事に提出し、貸金業に於ては、従業員であろうとも、こうした証明を提出し、知事から登録票をもらって営業しているのである。その際に、「登録申請者」としての身分証明が必要になり、債務者が彼等に対し、以上の証明の提示を求めれば、これに従い、貸金業者登録証あるいは各県知事の発行した登録番号を提示しなければならない。 取立に行く時間帯も法律で定められており、午前九時から午後九時までである。この時間外は違反となるので、こうした違反に対しては、各都道府県の金融課か、最寄りの警察署の生活経済係に違反取締を申し立てる事も出来る。脅されれば、これは立派な恐喝罪となる。脅されて精神の支障を来せば障害罪だ。 また、裁判所を通じて来た債権者に対しては、裁判所の支払督促命令を早急に取り下げてもらう事だ。十年以上を経過しているので、時効が成立し、「時効の援用」をする事が出来る。 では、時効の援用はどうすればよいのか。 一番手っ取り早い方法は、債権者に対し、郵便で「自分が時効の援用をした」ことを書面で回答する事である。この書面は内容証明(郵便局において、郵便物にした文書の内容を謄本で証明すること)でもよいであろうし、普通の便箋(びんせん)に書いて、郵便で送りつけてもよい。但し、この場合、支払督促状を突き付けた債権者だけを相手にする事だ。 支払督促をして来ない債権者もいるので、こうした相手に回答書を一々送る必要はない。寝た子を起こすような事をしても仕方あるまい。
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保証人を頼まれてどうすればいいか (24歳 会員 公務員)
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あなたの、先輩と言う人間の「保証人にはなるべきでない」と断言する。この人間に、「二言はある」のだ。
それを順に上げていこう。まず、先輩と言うこの男は、礼儀知らずである。 本来、あなたに保証人になってもらうのであるから、あなたを電話で呼びつけるという礼儀知らずは働かない筈だ。しかし、この礼儀知らずの禁を、この男は犯している。この男の言う「武道家」とは、名ばかりだろう。 もし、あなたに心から保証人になってもらう事を願い出るのならば、この先輩夫婦が、二つ頭を揃えて、あなたの所に「お願い」に出かけて来るのが筋道ではないか。 「礼儀と言う物指し」で、この男の頭の程度を計れば、この男は、必ず不履行などを仕出かして、その尻拭いを、あなたがさせられるのは明白である。 「絶対に迷惑をかけない」と言った人間に、絶対に保証人に迷惑をかけなかった人間は、この世には、一人も居ないと言う事を、心して知るべきであろう。「絶対」という言葉を軽々しく使う人間は、霊的に言って「格」の低い人間である。言霊(ことだま)の重要性を知らない人間だ。 また、この男は返済計画にも甘いところがあるようだ。他人への依頼心が強く、他人を充(あ)てにしているところが多分に見られる。 かつて滋賀県で、空手道場を経営する親子が身代金目的で誘拐事件を働き、逮捕された事があった。犯行理由は、道場を建てた返済金に窮しての事だった。そこで思い付いたのが身代金を目的にした児童誘拐であった。逮捕後、父親の方は捜査当局の厳しい追求で身体を害し、心労で獄中死し、今は息子の方だけが獄に繋(つな)がれている。 返済計画は、最初は順調に行っているように思えても、自分が計画した通りには行かないものなのである。商売と言うものは、どれも同じであろうが、思惑が外れる事が多い。「棒ほど願って針ほど叶う」という現実を知らねばならない。自己資金を含めて、潤沢(じゅんたく)な資金を準備してからでないと、事業計画はなかなか旨く行かないものだ。楽観的に考えるのではなく、最悪の状態を予測し、こうした時の「見通し」も立てておかねばならない。あなたの先輩と言う男に、こうした「見通し」はあるだろうか。 さて、あなたが保証人になった場合を考えてみよう。 保証債務を負う人間は、法律上これを「連帯保証人」と言う。これは、身柄引き受けや、身元などを保証する、単なる「身許(みもと)保証人」とは訳が違うのだ。 法的には、連帯保証債務を債務者と同じ責任を負うのであるから、債権者は連帯保証人に金額請求を行っても構わないのである。 そして重要な事は、保証人が主たる債務者と連帯して、連帯保証人は履行する義務を負う保証債務を責務とする事だ。また、普通の保証人と異なって、連帯保証人は催告や検索の抗弁権(請求権の行使に対抗して、その作用を阻止しうる権利)を持たないという事である。 そして未(ま)だある。 例えば、あなたの先輩と言う男が、あなた以外にも、既に保証人を立てて、数人の債務者がいる場合、これは「連帯債務」という状態が発生する。あなたの先輩を、同一の内容の債務について数人が連帯債務を負う事である。一見これは、一人の連帯保証債務でなく、複数だから、いいように思う。あるいは債権者も保証する人間が多くて安心できるように思える。 ところが、これには落し穴がある。 数人で、同一内容の債務に、連帯債務を行い、最後にあなたの所に連帯保証人の依頼が廻って来て、これにあなたが署名捺印し、数人の中の連帯保証人になったとしよう。そしてあなたの先輩が支払の不履行を企て、債権者があなたの所に取り立てに来て、月々の支払のうち、一ヵ月分でも、一部金でも、あなたが保証人として立て替えれば、あなたが以降の支払一切を履行した事になり、他の債務者の債務は総べて消滅する債務関係を作る事だ。つまり、あなた一人がババ(婆抜きゲームのジョーカー)を掴まされ、貧乏クジを引いた事になる。 本来保証人は、各個人間の信頼関係で派生するものである。義理や強制で派生するものではない。義理深くて、人情に厚く、お人好しの人間は連帯保証人の罠(わな)に嵌(はま)って、一生を台無しにする者が少なくない。 頼み事をされた時は、まず「礼儀と言う物指し」で、その人間を計ってみる事だ。そしたら、その人間が、どの程度の人間か、見えて来る筈である。 はっきり言うが、前途あるあなたの人生を、自身で台無しにしたいのなら、連帯保証人になって生涯金欠病で苦しめられるのも、立派な「身魂磨き」になるので、火中の栗を拾いたければ、それもよかろう。どちらを選ぶか、それはあなた次第だ。 |