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●人が生まれると言うこと

 人間は何処か分からぬ、宇宙の闇の彼方からやってきます。胎児の極限は、渾沌(こんとん/天地開闢(かいびやく)の初め、天地のまだ分れなかった状態)たる宇宙空間の闇に存在する一元素(あるいは素粒子)に過ぎません。

 この一元素を量子力学の理論体系を以て言わしめれば、分子・原子・原子核・素粒子等の微視的物理系を支配するプランク恒数(定数の意味で基礎定数の一つで、宇宙におけるエネルギーの最小単位数)とでも、いえるものでしょうか。

 輪廻転生の循環律を以て表現するならば、胎(胚胎)のその以前は「絶」(ぜつ)ですが、無での絶ではなく、胚胎へと移行するのが「胎」(たい)であり、更に「養」(よう)へと移り、「生」(せい)となってこの世に姿を現します。

 人間は男女和合によって、精虫が母体の輪卵管で卵子と出合い、ここで一体となります。
 この時、染色体遺伝子は外界からのあらゆるエネルギー作用を受けて、その組み合わせが決定され、受精という形で一個の細胞が誕生します。この誕生した新しい細胞は固有の波動を生じ、この固有の波動に最も近い波動が霊魂(霊体構造を造る命体)と共鳴し合い霊的波調を同じくします。これ以降、霊魂の波動は、霊的波調を揃えつつこれに合うような肉体が造られていきます。これを霊魂の鋳型(いがた)構造といいます。

 こうして肉体に霊魂が宿ることで、人体としての形が整うのである。

受精から受精後の胎児並びに榊式胎児体重概算法

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 この際、霊魂は鋳型のような役割をし、この鋳型に合わせてその霊的波調に合うような細胞形成され、母体から取り込まれた栄養素は体細胞として、各々の臓器を形成していきます。この段階が霊魂の鋳型構造で、肉体が造られるまでの過程です。

ヒトの5週目の胚。命体としての意識に目覚める。
ヒトの6週目の胚で悪阻の開始時期。命体と生体の一体化。
8週目の胎児。この時期に入ると、性別迄が明確になる。

 さて、命体(霊魂)が何時(いつ)宿るかについては様々な諸説があります。本ページでは榊式胎児体重概算法に従い、胎児が子宮内における成長度合の過程の中で推理してみました。
 榊式胎児体重概算法によると、卵子の大きさは直径約0.2mmと言われ、悪阻(つわり)は妊娠6週間目ころから現われ、妊娠四ヵ月末まで続くと言われています。

 この悪阻期間に眼を付け、「悪阻」現象とは何か、ということを推理してみました。それは命体の重さを約70gから100g未満と推定して換算した計算によるものです。
 この換算法は人間が死んだ直後、全体重の1000分の1が失われるとする結果から割り出したものです。
 喩えば、体重60kgの人であれば、その1000分の1は60gであり、90kgの人であれば90gであるからです。

 これは人間が絶命する際に、床ぐるみに台秤に載せ、刻々と変化する様子を計測した実験結果によるものです。この結果によると、死の刹那(せつな)に、重量は次第に軽くなるという事実によるものです。実験結果から分析すると、平均して約60gから約90gが減ると言う目方の減少から導き出したものです。
 そうすると心臓の鼓動が停止し、数分後の死亡した重さと、死ぬ前の重さを差し引いたものが、命体の重さではないかと推測されるのです。

 さて、卵子の大きさが0.2mmとするならば、その重さは0.003g相当になるので、受精後直ちに命体と一体化するとは考えられません。

 繰り返えしますが、命体の重さは凡そ60gから90gです。したがって90gを超える重さになるのは、榊式胎児体重概算法では妊娠四ヵ月部分であり、この間体重概算法(グラム単位)は妊娠一ヵ月で2g、二ヵ月で16g、三ヵ月で54g、四ヵ月目でやっと128gとなり、ここでやっと90g以上になります。

 また、悪阻とは命体の波動が卵子に何らかの増殖作用を及ぼし、その現われが悪阻ではないかと推理されます。卵子が命体の鋳型の波動に合うように振動を繰り返し、この時点において、命体との合体が行われる時期ではないかと推理できます。

 悪阻は妊娠六週間目(42日)頃から始まり、約四ヵ月末で治まることからして、生体(肉体)の胎児の重さは命体の重さを少し上回る程度になります。これが命体と生体の一致時期ではないかと思われます。
 また悪阻が軽減されたり薄らいでいくという現象は、一致したということを指す安定期に入ったと推測されます。

 逆に言うと受精時、命体の波動が生体の波動より強いので、完全に波調は一致するまで、その波動は乱れが生じます。この乱れこそが悪阻の現象と考えられるのです。この期間が妊娠六週間目頃から四ヵ月末迄で、以降悪阻期間は軽減し、薄らいでいきます。そしてやがて軽快します。

 さて、命体の波動における周波数は、およそ15〜50Hz(ヘルツ)であると推測されています。これは卵子が径0.2mmだとすると、その周波数は42kHz見当とされます。したがって命体と卵子の周波数は、この時点の状態においては非常に隔たっていますので、この状態で二つの周波数の波動が一致する付近を推測すると、命体が18Hz付近と35Hz付近で共振し、安定する生命波が観測されました。
 この段階では卵子は非常に小さく、胎児の目方は命体の目方10分の1を超すことから安定期に入り、一体化するのが六週間頃です。

 では、悪阻現象とは何でしょうか。
 それは命体と胎児が生体として、一致するまでの生命波帯と非生命波帯の不一致の乱れと考えられます。この乱れが山場に達するのが、母体の生命波を乱す悪阻であり、四ヵ月末までに胎児は100g以上になった時点で命体より目方が重くなり、これによって完全な一致が行われたのではないかと推測されます。

 したがって、この安定期に入るまでの、胎児の波動と命体の波動の乱れと不一致が悪阻です。
 これは一種の「船酔い」現象と考えます。
 母子双方の波動の違いから起こる船酔いなのです。

 船酔い現象は振動によって起こります。これは生体の生命波が乱れることによって起こりまする。
 したがって胎児は成長するに伴って、生体と命体の波動の周波数の違いから船酔い現象を起こし、母体の生命波が乱されるのです。
 しかし、やがて胎児の生体と命体が一致し、振動がなくなると、母体の生命波も正常に戻り、船酔い現象は解消されます。これは胎児の生体と命体が一致したからだと推理されます。

 以降、母親の摂取した食べ物からの栄養素は、消化器官を通して腸で血球が造られ、その血球が胎児を養うということになります。
 そして血球は全身を巡り、組織細胞を形成し、体細胞に変化します。(千島学説『腸造血説』による。現代医学では、血液を造る処は骨髄と考えられ『骨髄造血説』が主流であるが、著者は『腸管造血説』を唱えた千島喜久男医学博士や、『腸造血説』が正しいとする森下敬一医学博士の造血説を支持する)

 さて精虫と卵子の合体により、父母の遺伝的要素受け継ぐのであるが、その染色体が組み合わされるときは地球と月と太陽並びに惑星や星雲等の万有引力の影響を受けるので、同日・同時間に生まれた人は、何処か似通った性質を持って生まれてくるようです。

 しかしその人の運命と、運・不運は別問題であり、九星気学や西洋占星術は時として、全く意味不明な回答を出すのはこれを混同し、先天的(親の遺伝)なものと、後天的(環境や境遇)なものを一緒くたにして考えているからです。

 特に、生年月日を占う占いの類は、同年同月日に生まれた人の運勢の違いを説明することができません。だから今度は霊的なものを持ち出してきて、霊感?と称するもので逃げ道を考えます。占い師の事務所等に行くと、よく神棚等が祭られているのはこうした意味合いからであり、一種の逃げ道を象徴しているように思えます。

 確実に当たるものであれば同年・同月日に生まれた双生児などは全く同じ運勢でなければならないはずです。
 また惑星の位置や運行によって、人や国家の吉凶などの運命を占う占星術や、年・月・日・時間の四つの要素を干支と五行に当てはめて、その人の運命を占う四柱推命術は、その人の生まれた日によって占い、まことに大雑把です。

 また、占いの類に問題があるのが時間差です。
 日本と日本以外の外国で生まれた場合、同年・同月日で同時間であっても、記録される生年月日は異なってきます。一日違えば当然運勢も異なるはずです。もし、年・月・日・時間(秒まで含む)で占うとすれば、地球時間のそれでなければならないはずです。

 また同年・同月日で占う類は、各々の運勢が異なるのは、姓名が違うからだと答える占い師もいます。
 人間が生まれるというのは、各々に異なった遺伝を父母や先祖から受け継いで、現世を修練の場として生まれてくるのです。
 一旦生まれた以上、親から受け継いだ肉体と命体は、先天的な素材であるので、作り替えることはできないのですが、後天的には如何様にも作り替えることができ、ここに人間が生まれてくる意味を含んでいます。
 人生は二度繰り返さないといわれます。したがって悔いのないような人生を歩まねばなりません。こうした意味で、生まれてくることの意味、そして、人生の意味を考えなければなりません。
 それを考える上で、一番の課題となるのは「自分とは何者か?」ということです。人は自分を探すためにこの世に生を受けたのです。これは、一生かかって取り組まなければならない重要な課題なのです。