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●物忘れの酷いのは宿便が原因

 歳をとると「記憶力の低下」が挙げられます。その記憶力の増強を妨げているのが、病気の根元である「宿便」です。
 さて、ここでは宿便の害に触れる前に、宿便は発生するメカニズムについて述べることにしましょう。

 人間は生きていく為に、日々必要なエネルギーを種々の食べ物から、栄養素を頂かなくてはなりません。人間は食べ物から、命を頂いて生きているのです。
 その際、食べ物から栄養素を摂取するのですが、その栄養の消化吸収の役割を担っているのが、「口」から始まって「肛門」で終る消化器官です。

 「口」から「肛門」までの消化吸収の機能を追うと、次のようになります。

人間は口から食物を取り込んで、肛門で排泄する多くの生物体の仕組みを使用している。しかし、口から取り込む食材には有機成分と食材の中に含まれる無機成分によって、カリ塩とナトロン塩の調節を行っている。
 そして、ここで問題になるのが、その人が普段から「正食」をしているのか、「雑食」をしているのかで、体質が決定されてしまう。
 断食は、正食をして居る人は、長期の断食でも割合長く耐える事が出来、体質も改善されるが、白米か食パンに魚肉や獣肉や乳製品などのナトロン塩の多い食べ物を食べている人は、断食中も、断食満願後も食の妄想に襲われて、断食を失敗することが多い。

 哺乳動物の消化器官は、各々に特長あるシステムを備えていますが、人間の場合のこの機能は、非常の巧く出来ています。
 人間の持つ消化・吸収機能は、人工的なインスタント食品やジャンクフード、ならびに偏った動物性蛋白質の脂肪分ばかりを食べていなければ、この機能は非常に巧く働き、健全に機能します。

 ところが、この機能を正しく働かせる為には、まず口に入れた時点で「よく噛む」という人間側の作業が行われねばなりません。食物をよく噛んで、小さく裁断し、すり潰し、唾液と云う消化液と、充分に混ぜ合わせてから胃に送らなければなりません。唾液と食物を充分に混ぜ合わせる事により、胃液と云う消化液の浸透が進み、消化酵素の働きを助けます。
 唾液の成分は、唾液腺から口腔内に分泌される消化液です。この消化液は無色・無味・無臭でやや粘い性質を持っています。

 人間ではアミラーゼやマルターゼなどの酵素を含み、澱粉を一部消化し、また食物をのみ下しやすくする働きがあります。これは「よく噛む」ことで、更にその働きの効果を挙げます。

 唾液の分泌は、口を動かし、歯で充分に噛む事で、よく分泌が促されます。唾液は口の中で食べ物を入れただけでも、反射的に分泌されて来ますが、よく噛むことで、更にその分泌状態が増してきます。
 そして「よく噛む」作業は、胃液の分泌に繋(つな)がり、口と粘膜に食物が触れると、それが刺戟となって、唾液の分泌が促されることになるのです。

 また、「よく噛む」という大事は、胃と腸の神経反射を促し、胃に食物が入り、胃の運動が盛んになると、回腸の内容が結腸へ、結腸の内包が肛門へと伝達されます。こうして、口がよく動き、唾液が分泌されれば、次々と連鎖反応を引き起こし、肛門まで届く情報伝達のシステムが出来上がっています。

 ここで「よく噛む」という作業が、どんなに大事か述べてみましょう。
 よく噛めば、食物が口から胃に達するまでに数秒しかかかりません。ところが、噛まないで、唾液とよく混ざり合っていない場合は、乾いたもので堅い物であれば、15分以上もかかってしまうのです。胃に入った場合の食物は、水や液体などの流動食に於ては、素早く通してしまいますが、一般の普通食だと、胃が消化の為の胃液を分泌して、胃の中が空っぽになるのに3時間から最高6時間もかかってしまうのです。

 胃液は、胃粘膜の胃腺から分泌される消化液のことです。この液は、無色・無臭・強酸性で、塩酸やペプシンその他の消化酵素を含み、主に蛋白質の第一段階の消化を行うものです。こうした消化液分泌に対し、動蛋白などの脂肪食だと、胃で消化する時間が長く、したがって脂肪食は玄米穀物などの炭水化物に比べて、逆に云うと「腹持ちがいい」と言う事になりますが、実はこの時点で「胃がもたれる」という病的現象が起っています。
 この現象は、菓子やケーキやアイスクリームなどを食べて、「胸焼けがする」ということと、セットになっているので、充分に注意しなければなりません。

 美食には、様々な病巣が隠れていることを知らなければなりません。美食こそ、病気を丸ごと呑み込んでいると言う危険な食事法であり、美食に溺れると、短命で終ります。世の著名な美食家が、せいぜい50歳前後で死んで行くのは、この為です。
 つまり美食家とは、「雑食者」なのです。雑食が齎(もたら)す様々な現代病は、枚挙に遑(いとま)がありません。

胃がもたれる白パン・獣肉・乳製品
胸焼けを起す菓子・ケーキ・デザート類

 「胃がもたれる」とか「胸焼けがする」とかは、骨からカルシウムが急激な勢いで奪われているばかりでなく、膵臓からインシュリンとグルカゴンとを分泌して、血糖の量を調節しようとする働きが起るので、膵臓炎を起す場合があります。
 また、甘い日本酒を飲む人なども膵臓炎を起し易く、慢性膵炎は、屡々(しばしば)大酒家に見られ、習慣的な過度のアルコール摂取が原因であることが多いとされていますが、実のところは原因不明です。
 しかし「夫婦アルカリ」から考えますと、明らかにナトロン塩の摂取過剰が起因している場合が少なくありません。肉や乳製品などの脂肪食の危険性は、ここにあります。

 しかし、脂肪食は小腸を通過する時間は割合に速く、食後数時間で回腸の末端に到着します。更に食べた物全部が、大腸に達するには6時間以上もかかります。
 回腸と盲腸の間には「回盲弁」というものがあり、これは一旦大腸に流れ込んだ内容物が、回腸に逆流するのを防ぐと共に、小腸からの大腸に流れ込む食物のカスを制限し、調整するのです。

 そして大腸に送られて来た食べ物の残りカスは、大腸内に約10時間から20時間かかって肛門から排泄されます。つまり、食べ物を口に入れ、順調に進めば、肛門から排泄されるまでには、おおよそ24時間で体外に出されるわけです。

 ところが、食物のカスは全てが排泄されるわけではなく、腸の襞(ひだ)などに、カスがこびり着き、腐敗物質として腸内に残留します。これが宿便の正体です。宿便は腐敗物質として腸内に残留すると、年齢と共に記憶力や頭の回転が悪くなります。また腐敗物質が原因して、蜘蛛膜下(くもまっか)出血なども引き起こします。

 この出血は、頭蓋腔内で蜘蛛膜下に出血する疾患です。蜘蛛膜下または隣接する脳実質内の血管の破綻によるものが大部分で、外傷・脳動脈瘤・高血圧・動脈硬化などを原因とし、突然はげしい頭痛・項部硬直・嘔吐を来し、屡々(しばしば)意識を失うことが起ります。こうした病因も、宿便であるといわれています。

 また宿便は、脳の毛細血管を目詰まりさせて、アルツハイマー型痴呆症を引き起こします。この病気は、老年痴呆のことで、40代始めの初老期に始まり、記銘力の減退、知能の低下、高等な感情の鈍麻、欲望の自制不全、気分の異常、被害妄想、関係妄想などがあって、やがて高度の痴呆に陥り、全身衰弱で死亡する、恐ろしい病気です。この病気も、宿便が原因していると云われます。

 こうした現代病の脅威が存在する以上、やまり人間は「禊(みそぎ)」として、人体をリフレッシュさせる為に、断食をする意義があると言えましょう。
 断食をする季節としては、一年のうちで「春」が一番理想的であるといえます。それは冬の間に溜まった、余分な塩分、特に獣肉から取り込んだナトロン塩や、正食をしていても、それ以前に雑食であった場合、ナトロン塩が多く残留している為、こうした塩分を取り除き、また肉類や乳製品などから取り込んだ脂肪分などの老廃物を排泄しなければなりません。

 冬と云う時期は、寒い為に脂肪分の多い、またナトロン塩の多い食品を多く摂ろうとします。防寒対策の本能が働くからです。日本と違って、ヨーロッパ人は肉などの脂肪を摂取しようとするのは、そこに位置が地理的に寒冷地帯であるからです。寒冷地方に棲む人は、どうしても必然的に動物性脂肪や蛋白質を取ろうとします。
 そして、これにより体躯を養い、来るべき春を待つのです。

 一方、日本の位置する奇峰風土は、四季こそありますが、全体的に視て温帯地域に属します。温帯地域では、実の事を云って、本体は肉や乳製品などの動蛋白は必要無いのです。しかし、西洋化の波に押されて、動蛋白摂取をするという雑食に趨ったのでした。雑食の結果、体内にはナトロン塩が多く残留すると言う実態を招いたのです。
 そこでナトロン塩を排泄し、塩分を抜くという体質改善を行わねばならないのです。この体質改善を行う一番いい時期が、「春」なのです。

 では、なぜ春が一番良いかと言うと、春と言う季節は、植物の芽吹きと同じで、自然がこの時期にリフレッシュし、新しい息吹き吹き出すのと同じように、人間の人体も、この時期を機転として新陳代謝が活発になろうとして、蘇生する力が一番強くなるからです。その為に、「断食の効果」がより高まるのです。