人類淘汰の時代が始まった
粗食・少食の省エネ体質
 肉常食者は安易に肉体力の養成を目指します。
 一方、穀物菜食主義者は、健全な体躯を養成しながら、質の向上した躰の養成に励みます。
 如何なる肉体美の持ち主でも、三十五、六の肉体的な臨界点を超えれば、やがて衰退に向かって、肉体力は衰えの方向に向かいます。そして肉体が衰え始めると、同時に気力も衰え始め、しいては「戦意」を失う事にも繋がります。
 したがって肉体だけを鍛えても無駄であり、「体質」を鍛えなければならないのです。
 つまり魂を鍛え、粗食・少食にも耐えていける、「省エネ体質」に変貌させて、齢をとっても「元気」であるという躰を造らなければなりません。

 氷河期の人達は、食糧が入った時だけが、食糧補給の時機であり、それ以外は何日間も、何週間も一切食糧を補給せずに、元気に活動をしていました。丁度、氷河期の人達を近代の人間に喩えるならば、まさに「またぎ」となります。
 彼等は口の中に食べ物が入り、そうした時だけが元気でなく、口に食べ物が入らない時でも元気だったのです。

 では、どうして、こうした事が可能だったのでしょうか。
 氷河期時代の人々は、食糧にありついた時だけが栄養補給のチャンスでした。
 この場合、食べ物の中に含む澱粉や糖分などは、消化・吸収の過程で、血中のブドウ糖になりますが、食糧が何日も、あるいは何週間も手に入らない場合、その期間においては、これまで体内に蓄えておいた蛋白質や脂肪を分解して、これを血糖に変換したり、血糖値を維持するという人体構造を持っていたのです。

 人間は、元来こうした人体構造を持って生まれて来たのですが、先祖のこうした構造は、今日、三食主義に変わり、常に、口の中に六時間おきに食糧が投げ込まれますから、この機能が退化して、作動しなくなってしまったのです。
 つまり貯蔵栄養分から血糖を造り出す働きが、機能麻痺に陥っているのです。

 ダンベル体操や筋トレをやり、平素から動蛋白を多く摂り、飽食に明け暮れている人は、人体構造に欠陥がある為、簡単には絶食状態には持ち込めないのが実情です。
 したがって、一言で「断食」と言っても、現代人がこれを行うと、大きな危険が伴います。
 そして現代のように、世界各国の食べ物が溢れ、温室栽培で旬の味覚が失われた食材が点在する中、過食や飽食が日々連続されれば、当然、血糖値を造り出す回路は一方通行だけになってしまい、貯蔵栄養分から自由に血糖が造られないというのが今日の現代人の実情です。
 これはまさに、退化した現代人の実像といえるでしょう。
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