現在、玄米はアメリカやヨーロッパでは、健康食に挙げられ、「ブラウン・ライス」という呼び名で持て囃(はや)されています。
玄米は籾殻(もみがら)を除いただけで、精白してない「米」の事であり、一般には「黒米」と言われています。そして玄米を主食とする食事法を「玄米食」と言います。
しかし日本では、この「玄米食」に関心をよせる人は決して多くありません。
むしろ精白した白米が主流であり、口当たりのよい、食品ばかりが好んで食べられています。
さて、玄米ですが、玄米は生きている米です。精白した白米を土に蒔いても発芽しませんが、玄米はそれ自体が生きている為、土に蒔くと発芽します。
この事から、米はその表皮部分である「フスマ」(麩/精白する時に、残る皮の屑)を取り除けば、生命力が失われてしまうという事が分かります。
また、精白米にはビタミンB群という成分が殆ど皆無であり、これが欠乏すると脚気(かっけ)、胃腸障害、自律神経や機能障害等の病気や、種々の難病を招きます。白米とは、単に「澱粉の塊」の「粕」(かす)を言うのです。
精白米はまさに「粕」であり、この文字からも解るように、「白米」はという字を横にすると「粕」という字になります。
カスとは、栄養素を奪い取った後の不要物質であり、また主成分の多くが、口当たりの良い澱粉質である為、精白米は究めて味が淡泊です。その為、濃い味のソース味ベースの、焼肉等の動蛋白が食べたくなるのです。
この欲求は、総ミネラルが玄米に比べて半減している事が原因で、こうしたミネラル分が不足しますと、慢性病体質への最大の病因となります。
これを順に挙げますと、まず白米は繊維不足の為に、腸内や血液の大掃除をしてくれる食物繊維が大幅に少なくなっているので、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を障げ、便秘を起こし易い状態を作ります。そしてこうした要因が、食肉の腐敗物質と重なりますと、腸内に排便を促す蠕動運動が弱まりますから、脚気体質になるばかりでなく、倦怠感や疲労感が現われ、その結果、肩凝りや腰痛、眩暈(めまい)、手足のむくみ等が現われます。
では何故こうした状態を招くのでしょうか。
それは「米」という食品には、ビタミンEが大量に含まれているのですが、その大部分は胚芽とヌカ部分に含まれています。
ところがこれを精白して白米にしますと、これが欠落してしまうのです。つまり白米とは、確かに美食として味合い、舌触りのよさを楽しむには、程よい味覚食品であるかも知れませんが、栄養食として白米を取り上げた場合、これは「老化食品」である事が分かります。
この老化食品の最大の欠陥は、白米を食べると、直ぐに血糖値が上がる事です。
何故なら、白米は消化がよすぎる為、食後に血糖が急増し、インシュリン(insulin/膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島のB細胞から分泌されるホルモン)が膵臓から分泌されて、血糖値を抑えようとするのですが、これが繰り返し行われますと、抑止切れなくなり、やがては糖尿病を煩う事になります。
しかし病因はこれだけに収まりません。
この時、動脈壁のインシュリンも緊急動員される為、動脈は非常に脆くなり、動脈硬化まで引き起こします。
インシュリン・ホルモンは、分子量5733の小さな蛋白質で、肝臓・骨格筋・脂肪組織などに作用して、ブドウ糖やアミノ酸やカリウムの取り込みを促し、更にはグリコーゲンの合成促進や分解抑制に働きます。また脂肪や蛋白の代謝にも作用し、結果として血糖を減少させる働きがあります。
ところがインシュリンが、三度三度の白米の摂取で常時分泌されますと、持続的な高血糖や糖尿を呈する代謝疾患が発生します。つまりこれが糖尿病の実態です。
今日の日本では糖尿病は、ポピュラーな病気になってしまいました。
日本人全体では、糖尿病患者数が700万人と推定され、中高年の約1.2%がこの病気にかかっていると言われます。しかしそのわりには、本当の怖さは殆ど理解されていません。
糖尿病の原因は白米などの摂取によって、胃の裏側にある膵臓から分泌されるインシュリンの働きが不足する為です。
このインシュリンは血液中の糖分を筋肉や肝臓に送り込み、糖分を活動エネルギーに変える働きを持つホルモンです。そしてこれが低下すると、血糖値の上昇を抑え切れなくなって、糖尿病に至ります。この結果、常に水分が不足しがちになり、「やたら喉が渇く」という症状が現われます。
喉の渇きを覚えたら、まず糖尿病と思って間違いありません。
糖尿病の非常に怖い事は、始めのうちには「病気」と気付かない事です。しかしこの初期の段階で、既に合併症を煩っている場合が少なくありません。
糖尿病はインシュリンの欠乏ならびに作用阻害があり、糖や蛋白や脂質の代謝異常を伴い、口渇や多飲や多尿を呈します。
またこれに併せて、網膜症(網膜剥離と言われる病気で、眼底の網膜色素上皮が網膜視細胞層から剥がれ、その間隙に液化した硝子体(しょうしたい)が貯留する病変。強度の近視者などに、特発性に起るほか、糖尿病患者などに続発する病気)や腎症(腎臓炎・腎臓結石・腎臓癌・腎動脈硬化・ネフローゼ・尿毒症など)や動脈硬化を併発し易い病気です。そしてこうした事に気付き、発見した時には、下肢の壊疽(えそ/腐った状態)といった致命的な疾患を頻発させます。
糖尿病には二種類の依存性があり、インシュリン依存性とインシュリン非依存性があり、前者は発症が急で症状が重く、インシュリンの投与が必要になりますが、後者は経過緩慢で、必ずしもインシュリン投与が必要ではありません。しかし腎症を併発しますから、腎機能不全に陥り、体外的な腎透析が必要になる場合があります。
腎透析とは一般的に「人工透析」の名で呼ばれ、人工の装置(人工腎臓)を用いて、患者の血液を透析し、本来腎臓から排泄されるべき有毒物質を除去する治療法です。この治療法は腎機能不全の患者に、一定の間隔(数日間)を置いて反復して行う必要に迫られ、血液透析などとも称されています。
白米は欠陥食品です。
その欠陥を示す白米の病気に、代表的なものとして「脚気」があります。
脚気は室町・戦国時代の昔から、堺の豪商などに多く見られた病気であり、これは江戸期に入って「江戸煩い」と言う名前で、全国に知られるようになります。
また日清・日露の戦争においても、日本陸軍には多く発生した病気であり、ビタミンE不足から、戦う戦意すら失わさせる病気でした。
明治時代この病気は、陸軍に限っての病気でした。海軍はイギリス式のシステムを採用していた為、パン食が中心であり、脚気にかかる兵士は殆どいませんでした。
さて、昨今の現代の若者が特に無気力になったり、無感動になったりする多くの原因は、この「白米」に禍根があるからです。
明治維新以来、日本人は欧米食の模倣と、それに併せた「ライス」と言う感覚で、白米を澱粉として食べてきました。
澱粉は炭水化物である、アミロースとアミロペクチンの集合体にしか過ぎません。
したがってこうした炭水化物は、その燃え粕が、体内に停滞して炭水化物代謝を疎外し、徐々に蓄積されるため肥満しやすい体質になります。
肥満は根気を失わせるばかりでなく、疲れ易い体質を作り、貧血などに陥って、スタミナ切れとなり、バテやすくなるのです。夏バテなどを回復させる為に、安易に焼き肉などに走りますが、これこそスタミナ切れを起こす元凶となってしまいます。
また無気力を誘発させる病気に貧血があります。
貧血は血液中の赤血球数や血色素濃度やヘマトクリット値が、正常より減少した状態を言います。
赤血球産生の低下とともに、赤血球破壊が亢進し、出血が原因で、鉄欠乏、ビタミン不足、造血器の障害、中毒、感染症、悪性腫瘍などによって起る要因も挙げられています。こうした疾患を煩うと、皮膚蒼白・心悸亢進・眩暈・倦怠などの症状が現われてきます。総てこれは「白米」の仕業です。
さて、こうした欠陥だらけの「白米」を是正する為に、白米が悪ければ「パン」があるではないか、という考えに至ります。
しかしこれも早計です。
確かに小麦には胚乳部もあり、麩もあります。また白米に比べて、ビタミンB群の含有量も多く、ビタミンEも含んでいる事は確かです。しかしこれは、玄米に比べて十分な量とはいえません。
まして一般に市販されている小麦は、殆どが漂白されていて、その成分組織は玄米や玄麦(イネ科に属するオオムギ・コムギ・ハダカムギ・ライムギ・エンバクなど)より遥かに劣ります。
白パンも、病巣の元凶なのです。 |
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