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玄米を正食として食べるには、「雑穀ご飯」であることが大事である。今日の米は長年の品種改良により、野性のエネルギーを失っている。この野性を補う為に、五穀や赤米や黒米を加え、古代米に近い状態に戻す必要がある。

●高血圧症とは

 高血圧症とは、大循環系の血圧が慢性的に上昇する病症です。この病症は腎性や内分泌性などの原因疾患の明らかなものと、本態性高血圧【註】原因不明の症状または疾患についていう語で、本態性高血圧症や本態性低蛋白血症などをいう)とがあります。更に動脈硬化、心肥大、腎硬化、脳出血などを招来します。

 こうした招来の裏には、まず、現代人の食生活の偏った栄養過多に問題があります。高血圧症を招いている食生活での直接的な原因は、油脂類と鳥獣の肉や卵類などの動蛋白過多の状態が、問題であり、更にこれに追い打ちを掛けて、乳製品の摂取の多さに問題の起因が横たわっています。

 そして、この食生活の欧米偏重型・食思想は、戦後の現代栄養学が齎した悪しき元凶と言えましょう。油脂類、鳥獣に肉、卵類、更には「肉はスタミナの元」とか「牛乳神話」などが輪を掛けて、日本人の古来より連綿と続いた食思想体系を破壊してしまったのです。
 その為に、欧米型偏重の食思想が、糖尿病や心疾患、ガン発症などの慢性疾患を招来したと言えます。

私たちは、戦後の現代栄養学の論理の説く、欧米型食事と、動蛋白アミノ酸信仰に随分と騙されて来た。また、食卓ではお膳でなく、欧米人のようにリビングのテーブルに座り、椅子生活することが「豊かさの象徴」と思い込んでいた。
 ところが、この「豊かさの象徴」は明らかに幻想であり、むしろ「病巣の象徴」であった。長い間、肉のアミノ酸信仰と、水分と電解質代謝に混乱を起す牛乳神話に騙されて来たのである。

 この元凶を取り除く為には、まず、欧米食を大幅に減らし、日本の古来から連綿と続いた「和食を中心とした正食」に切り替えねばなりません。日本人の元々の主食は「米」だったのです。白パンではありません。
 「米」を主食として「正食」を実践し、これを食生活の基本にすることで、慢性疾患の予防ならびに改善回復が可能になるのです。

 玄米ご飯を主食として、これに合わせ、味噌汁、豆類、少量の小魚類、野菜類、海藻類を中心にした「食餌法」を実践します。こうした本来の日本人が連綿として培って来た和食に戻す事により、多くの慢性病は徐々に消滅して行きます。更には、こうした完全和食を実践することで、四季折々の「旬の味」の本当の価値が分かるようになり、「薄味」こそ、健康の根元であったと気付くのです。

 現代人は、戦後の現代栄養学に大いに翻弄(ほんろう)され、完全に日本人本来の食体系が狂わされてしまいました。動蛋白アミノ酸信仰に、完全に汚染されてしまったのです。こうした呪縛から、解き放たれなければなりません。
 実質として、「空虚な満腹感」のみを与える油脂の多い食生活から解放されなければなりません。

 さて、動脈硬化は動脈壁にコレステロールが沈着して組織が壊されることが起因します。血管動脈壁が肥厚かつ硬化して、弾力性を失い脆(もろ)くなる疾患です。この疾患は、中年以後に多く、高血圧、肥満、糖尿病などにより、更に促進され、血流障害や血栓形成を伴い、心筋梗塞や脳出血、脳梗塞や腎硬化などを引き起す恐ろしい病気です。

 心肥大は心臓の筋肉が病的に厚くなり、心臓の大きさと重量を増すことをいいます。高血圧や弁膜症、心筋炎や過度のスポーツなどにより、心筋への負荷の増大に対する反応として発症し、一定限度を超えると心不全に陥ります。そして最後には、心臓の機能が低下した状態の心不全となり、何れも心臓への無理な負荷が病因となっています。

 腎硬化症は性の腎疾患により腎組織が荒廃し、腎臓が硬く小さくなる状態を指します。糸球体腎炎や腎動脈硬化などに起因し、腎不全を来します。この症状は、萎縮腎(いしゅくじん)ともいわれ、腎臓が硬く縮む疾患です。また、高血圧性の細動脈硬化あるいは慢性腎炎の結果として起り、腎機能が損なわれます。

 脳出血は、脳の血管が破綻(はたん)して出血し、脳組織の圧迫し、更には破壊を来す疾患です。こうした疾患の多くは高血圧や動脈硬化によるものが最も多く、発作的に起ります。その結果、頭痛、意識消失、悪心、嘔吐、痙攣(けいれん)などを来し、出血部位により種々の神経症状を呈します。予後は出血の部位や、大きさにより異なりますが、しばしば半身不随などの後遺症を残します。

 そして、脳の急激な血液循環障害による症状として脳卒中があります。
 この症状に襲われると、急に意識を失って倒れ、手足の随意運動は不能となります。脳出血によることが最も多いのですが、脳塞栓や脳膜出血などでも似た症状が起ります。



●高血圧症の克服法

 では、まず高血圧克服の為に、有効な健康食品を上げて行く事にしましょう。

霊芝。マンネンタケ(万年茸)の漢名。高血圧症やガン発症抑制に有効とされる。
 定価は1ヵ月目安で6,000円前後で、4gほどを2リットル程の水で煎じて飲む。
韓国産の高麗人参茶。カロテンに富み、高血圧症に有効とされる。
 定価は2ヵ月目安で8,000円前後で、湯呑み茶碗に附随している小匙でお湯に溶かして飲む。

高血圧症に効果が大きいといわれる銀杏の葉のエキスのハイギンコ。
 定価は1ヵ月半目安で15,000円前後。一日6粒を飲み続ける。
ガンや高血圧症に抑制と治癒力を持つといわれるロシアチャーガ。「ガン患者友の会」の奨励。
 定価は1ヵ月目安で60,000円前後と大変高価。茸の粉末を毎日1袋、煎じて飲む。

 ここに紹介した健康食品は、高血圧症やガン発症に対し、大きな効力を持つといわれる健康食品ですが、何(いず)れも大変高価な食品です。金銭的に高くつき、経済的ではありません。「病気の沙汰も金次第」の観があります。
 したがって、高価な健康食品に頼る生き方を選択するのでなく、普段の食生活を見直す方が、経済的にも安くつきます。

 さて、高血圧症を克服する為には、まず食事を徹底的に見直し、これを改善しなければなりません。食事の改善で大事なことは、「満腹感の食事」を改めて「充実感のある食事」へと移行せねばなりません。

 「充実ある食事」にする為には、まず、主食を改善することが大事です。この主食は、パンや白米ではなく、「玄米・雑穀」にすることが大事です。その時のポイントは、次の通りです。

玄米60〜70%に対し、雑穀を40〜30%にした「雑穀ご飯」にすること。現在に日本米や外国米は、長年の品種改良により、大人しくなって飼い馴らされた家畜のようなもの。したがって、雑穀にするのは野性的なエネルギーを加えて、この中に五穀や赤米、黒米などを加える事により、本来の古代米に近付ける事が出来る。
玄米雑穀米を炊く場合は、自然水を使い、昆布や、干し椎茸の戻して刻んだものや、上質の日本酒を少量加えることにより、食べ易く、美味しくなる。
また玄米雑穀ご飯には、ミネラル豊富な天然自然塩を小匙(こざじ)「半分程」を入れる。自然塩は玄米雑穀ご飯の薬用効果を引き出す働きがある。物忘れが酷くなり、記憶力が衰えたり、うっかりミスなどは、塩が足らない事から起る。但し、天然自然塩【註】塩化ナトリウムの他に、20%のミネラル分を含む天日干しの塩)と、食塩などのイオン交換樹脂法【註】イオン交換を行う不溶性の合成樹脂で、製塩や薬品精製などに用いられる方法)で精製された塩化ナトリウム99.99%の精製塩とは異なるので注意。

 玄米・雑穀にしてこれを主食にする理由は、他のパン食や白米食と違い、玄米・雑穀の方が繊維質が多くあり、よく水分を吸収することです。その結果として、便量が食べた量より多く感じられるのは、この為です。

 こうした便量が多く感じられる理由は、繊維質が豊富な為、腸管の襞(ひだ)の隅々にまで入り込み、古便を削ぎ落します。その上に、満遍なく腸内を刺戟します。これにより、頑固な便秘も改善して行くわけです。

 まず、腸内から腐敗物質が一掃されることにより、そこで発生する悪臭便【註】悪臭便の元凶は、鳥獣の肉や卵類や乳製品が腸内で腐った腐敗物質から発生するもの。またケーキやその他のスナック菓子から発生する合成糖分などの甘味料などであり、これが併せて「腸マヒ現象」を起す)が取り除かれます。肉や高級魚などを食べると、これ等の食物は腸内で腐り、これは腐敗物質に変質します。この変質により、血液を汚染させ、高血圧症へと導くのです。

 したがって悪臭便をまず、取り除かなければなりません。悪臭便が取り除かれると、肝臓が腐敗ガスを取り除く作業が軽減され、肝臓の酷使状態も改善されて行きます。
 しかし、肝臓で解毒されなかった腐敗ガスは、血液中に漏れると、血管の細胞も、その毒素を回避する為に萎縮し、硬くなって行きます。これが動脈硬化に病変して行くメカニズムです。

 一方、このガスが脳に移行すれば頭痛の原因ともなります。便秘持ちの人に、頭痛持ちが多いのはこの為です。こうした人は、大腸と皮膚の相関関係に於いて、肌の色艶(いろつや)も悪いようです。最近は凄い勢いで大腸ガン患者が急増していますが、これは肉食過多と、繊維不足が要因しています。