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●赤血球造血

 人体は「食の化身」であると言われるといわれる所以は、これまで繰り返し述べてきました。
 これを腸造血説の観点から更に詳しく述べると、赤血球造血は、系統的にも発生的にも腸内の繊毛の部分でなされるとし、進化論では下等動物は腔腸や消化器で造血がなされ、個体発生的な人間の場合でも第一段階では卵黄嚢の繊毛で行われ、これを「卵黄嚢造血」と言います。

 そして第二段階に入ると、卵黄の少ない哺乳動物や人間では子宮内面の子宮壁にある血管の開放端から出血し、その血球モネラから胎盤絨毛ができ、絨毛壁細胞から血球ができる。妊娠中の胎児は胎盤の絨毛で母体からの赤血球を吸収し、それによって黄嚢絨毛や胎盤絨毛の壁細胞を新生します。

 その結果、絨毛壁細胞が形成され、その成熟によって内部の無核の赤血球十数個と胞子形成する過程で新生し、それが連続して血管となり臍帯の静脈から胎児の体内に運ばれ胎児を形成する細胞の母体となっていきます。これが「胎盤造血」のメカニズムです。これが第三段階の過程に当たります。
 そして出産後は母親からの血液補給が断たれるので、新生児は母乳によってその消化産物から腸粘膜の絨毛を形成し、以降絨毛で造血を行っていくことになります。これが「腸造血」のメカニズムです。

 以上を要約すれば、第一段階は卵黄嚢の絨毛で、第二段階は胎盤の絨毛で、そして第三段階は腸管内の絨毛で造血されるということであり、これを植物の当てはめて考えれば、人体における腸の絨毛は、食物における根毛に相当し、動物は腸壁内の絨毛で、植物は根を伝播(でんぱん)して、体内に栄養素を吸収するメカニズムになっています。

 つまり人体は、「食の化身」であると言う、東洋医学の説がここで再浮上するのです。こうした事実が医学者の間で冷笑され、間違った仮説として考えられていることは大変に残念なことです。



●千島喜久男の「赤血球分化説・可逆分化説」とケルブランの「原子転換説」

 千島博士の「赤血球分化説」並びに「可逆分化説」は、物理学者・ケルブランの「原子転換説」と非常によく似たメカニズムをしています。


 千島学説の根底を流れる哲学は、一種の「逆戻り理論」を基軸に、自然や、そこに生息する生命は総て輪廻の輪の如く、循環しつつ、それが波動と螺旋(らせん)的な動きをして、変化するということを定義にしています。

 また一方で、西洋の科学思想の中には「エントロピー増大の法則」(energie/ クラウジウスが命名した熱力学上の概念)と言うのがあり、可逆変化なら、エントロピーは一定で、不可逆変化では必ず増大するという「熱力学第二法則」です。

 この法則は、エントロピーの増加分と定義する概念で、熱は高いところから低いところに移動し、やがて平衡状態になり、均質になるという熱平衡の概念です。
 自然界は万物総(すべ)てが、複雑から単純へ、無秩序から秩序へ、差別から平等へ、不均質から均質へ、時間の経過とともに移行していきます。

 この事から、宇宙の利用できるエネルギーは、同じように時間の経過とともに減少し、やがては宇宙全体が冷たくなると考えられています。その為、時間は一方方向に向かい、決して逆戻りしない、と言うのが法則の根底にあり、自然科学はこうした考え方を基礎に据えています。一種の「死の法則」という事になります。
 ところが実際に自然界を考えますと、この法則が当て嵌(は)まらない現象が起こっています。進化という現象は、この法則が当て嵌まりません。

 西洋科学の生んだ「エントロピー増大の法則」は、自然界の側面を支配するもう一方の法則であり、これはいわば「死の法則」というべきものです。
 それに対して東洋では、輪廻転生に見られるような「再生」という哲学思想があり、死んでは生まれるという法則があり、自然界は「生と死が一つになっている」という《生命発展の法則》があります。
 まさに、この《生命発展の法則》に、千島学説はその基盤が窺(うかが)えるのです。

 人間は健康で体調の良好な時は、赤血球から総ての体細胞や生殖細胞への分化が可能となり、発展を続けます。いわゆる太り続ける、豊かな状態です。
 ところが栄養不良になったり、病気になったり、大量な失血があったり、食を絶って断食を行いますと、躰は痩せ細ってきます。

 こうした現象を現代医学では、脂肪や筋肉が消耗するからだと定義づけているようですが、千島学説はその実験結果から、この「躰が痩せ細る現象」を、「細胞が逆分化して血球に戻る」という学説を立てました。これが「赤血球逆分化説」です。

 これは「断食をする」という結果からも窺えます。
 断食を行いますと、まず、体質が変わり、若返り現象が起こります。
 また、断食をしなくとも、節食や少食を実行しますと、やはり断食と同じように、顔色や肌の色が若々しくなっていきます。これは体細胞や生殖細胞が血球に戻ったということを証明するものです。

 現代栄養学は何でも沢山食べて、栄養分を取れば取るほど健康になり、躰も丈夫になると定義していますが、東洋思想に立脚する『食養道』では、「腹八分に医者要らず」という諺(ことわざ)からも窺えるように、減食し、多少空腹の状態の方が、健康状態は良好である、と定義します。

 この事から、千島学説を考えると、減食生活と、食べ物を穀物菜食にして食生活の改善を行うと、細胞が血球に逆分化して、血液を浄化し、これまでの体質が変わって、病気の人でも、健康体が取り戻せるという理論的裏付けが証明されています。

 例えば、肝臓病に人が、肝臓に蓄積された老廃物や有害物質を取り除く場合、食の改善を行いつつ、少食あるいは断食にして、肝細胞から血球を逆分化するということを試みますと、細胞から血球が逆分化して遊離し、次に血液中に入り、尿として排泄されます。
 こうした事を試みますと、一時的に肝臓機能は一層低下したような状態に陥りますが、こうした中で節食、あるいは断食を続けますと、時間と共に肝臓機能は恢復(かいふく)し、健康な人の肝臓と同じ様な状態を取り戻すことができます。

 その他、筋肉や各種内臓の細胞も同様であり、節食、あるいは断食を続けますと血球に逆分化して、組織の大掃除がなされ、若返りが始まります。こうした行いを、日本では古くから「禊」(みそぎ/身に罪または穢れのある時や、重大な神事などに従う前には、川や海で身を洗い清めること。大祓(おおみそぎ)の詞として有名)を言ってきました。
 こうした東洋哲学の思想は、一方で「再生」を催し、千島学説の「赤血球分化説・可逆分化説」の再生理論は、ケルブランの「原子転換説」と非常によく似ています。



●浄血によってガンを克服する

 現代医学は、ガンは早期発見によって、早期治療を行なえば「必ず治る」と盛んに宣伝しています。また、世間一般にも「ガンは非常に怕(こわ)い病気」と思われているようです。こうした事はマスコミの意識調査等で克明に現れ、ガン患者の闘病記録や手記やエッセイ等が著わされています。
 こうした苦痛の記録に目を通しますと、悲痛の叫びとともに絶望が著わされ、「一度ガンを煩えば、治らないのではないか」というような思い込みが、更にガンに対する恐怖を掻き立ているようです。

 現代医学は「ガンは早期発見」が肝腎と言い、ところが一方、早期発見されたガン疾患者でありながらも、ガンによって命を断つ人は後を絶ちません。
 然(しか)も、現代医学の最先端医療技術の恩恵に預かりながら、たいていは、一時的に恢復(かいふく)したかのように見えても、その後、急速に悪化して、見る影もなく、無惨に窶(やつ)れ、衰えていきます。その上、抗癌剤投与や、その他の治療によって、大変な苦痛を味わい、早期発見から数ヵ月後には死亡すると言うことも珍しくありません。
 更に、これにかかる莫大な高額治療費もバカになりません。

 しかし、現代医学が言う「ガンの実体」は、実際には、このような大袈裟なものではありません。
 今日の外科医の収入の多くは、ガン手術によって高額な所得が齎され、これによって多くのガン治療に携わる医療関係者は、相当に金銭的には潤っています。ガンが「数兆円産業」と言われるのは、この為です。ここには外科医のガン手術職人として、高額な収入を得ている医療現場の実態があるからです。

 さて、ガンを自然医学の立場から言えば、最先端医療技術を駆使しながらも、結局、ガン患者の殆どが五年以内に、死に絶えると言う現実は、その先端医療に、どこか無理があり、不自然な治療をしているから、そうした悲惨な結末が待っているということになります。

 ガンは、マスコミが宣伝するほど怕い病気ではなく、正しい食事を行なえば、他の慢性病と同じく、スムーズに治癒していくのです。まず、気付かねばならない事は、今迄の日常生活における「食への間違い」があったこと気付く事であり、食への慎みと乱れが、ガン疾患を招いたという事です。これがガンの最大の病因であり、また、憑衣される隙(すき)を作った言う事になります。

 ガンを自然治癒させていく為には、血液の汚染を取り除く事が最大の急務であり、自然食によって浄血する事がガン克服への近道となります。

 そして、ガンと言う病気の最大の特徴は、どの部位に発生したガンであっても、非常に共通した側面を持っています。
 ガンは上皮細胞と言われる、機関や臟噐を覆っている一番外側の細胞に起こる病変で、上皮組織がある部位ならば、何処にでも起こる可能性があります。したがって、発生部位によって、現れる症状は異なりますが、発病条件や治癒条件は、いずれも殆ど変わりないのです。

 要するに、「○○ガン」ということには、こだわらなくてよいのです。脳腫瘍だから、白血病だから、肝臓癌だから、胃癌だから、肺癌だから、大腸癌だから、直腸がだからと、一々こだわる必要はなく、肉等の動蛋白摂取によって、食事を誤った結果からガン体質にったのであって、その人の一番弱い部位にガンが発生したのです。したがって発生後は、ガン体質を食事療法で改善していけばよいのです。

 ガン体質を改善していく方法は、第一に浄血に努める事であり、これを行なっていけば、どの部位のガンも自然に消滅していきます。しかし中には、自分はガン家系だからとか、卵巣癌だから、この適応外等と考える人がいますが、食事療法によって、浄血に努めれば自然治癒するものなのです。
 したがって、幾分、個人の食歴や体質差があって治癒する速度は区々(まちまち)ですが、最終的にはガンは消滅して、治癒の方向に向かうのです。