6



●宿便を取り、内臓を蘇らせる断食行

 現代人は、現代栄養学の食指針の誤りによって、多くの酸毒物質を体内に溜め込んでいます。これは如何なる薬剤をもってしても、あるいは精密な外科手術を施したとしても、決して取り除くことは出来ません。そこで、「断食」という、最後に残された自然浄化の「最後の智慧」が出て来ます。

 断食は、まさに心の躰(からだ)の大掃除です。この大掃除を「断食行」といいます。
 私たち現代人は、一般常識と社会通念によって支配され、「無我の境地」に達することを阻止されていますし、またこうした境地を得ようとしても、分別に囚われて居る以上中々難しいことです。また、騒音や物質的な欲望に囚われている為、脳波は常に掻き乱された興奮状態の「β波」に充(み)たされています。

 β波は脳波が20〜30Hzで、感情の興奮や知的活動の中等程度の緊張を顕わします。雑念や煩悩に覆われ、欲を露(あらわ)にした状態です。
 一方、こうした興奮状態から解放されると、言葉などに囚われない「α波」の状態が訪れます。安らぎを覚える波調です。α波の状態は脳波の周波数が10〜13Hzで安静状態を顕わします。これは雑念を退けた瞑想状態に起ります。
脳の神経細胞から発生する電気の波(脳波)

拡大表示

 つまりα波の状態になると、ある瞬間、すかっと目覚めた状態になり、これを無我の境地といい、この境地をかつては道元禅師(どうげんぜんじ)が「心身脱落」と称しました。この状態は、眼の前がパッと明るくなり、意識が屋根を突き抜けて空に飛び出すような感得が訪れるのです。
 これは意識的に心だけに感得するものでなく、これを転機に、身体の細胞段階までが一新されるのです。

 さて、断食行は人間の最大の欲望である「食欲」を断ちます。それだけの「命賭け」ということにもなり、体力を落し、一方で精神力を高め、生きるか死ぬかのギリギリのところまで突き詰め、それをこえると言う難行がかせられます。したがって、「命賭け」である以上、誰にでも実行可能と言うわけにはいきません。

 悟りの境地が誰にでも会得できないのは、周知の通りですが、ここに人間の人生を別ける明暗があります。それは「悟りを得る人」と「そうではない人」です。つまり、物質に対する「欲」や、知識に囚(とら)われる「欲」が両者の明暗を別けているのです。したがって「欲」は、人間を二分します。

 人間界には、その現象として欲に囚われて欲を燃やし続けることを人生の課題と考える人と、欲から解放されて精神分野にまで到達し、無我の境地を得て悟りを開く人です。
 この無我の境地を「悟り」といい、此処に至れば、神経が冴(さ)え、視覚や聴覚、嗅覚や触覚や味覚【註】断食後、味覚が正常戻るので薄味の食物の味が正しく理解できるようになる)の五官に加えて、第六感が働き始めます。仏道で言う、阿頼耶識(あらや‐しき)のことです。

 阿頼耶識とは、人間存在の根底をなす意識の流れのことであり、経験を蓄積して個性を形成し、また総ての心的活動の拠り所となる唯識のことです。此処に至り不思議な透明感が起ってきます。
 これが断食行を行った時に率直に感じる心の状態です。同時にこの透明感が、心身の細胞までもを生き生きと蘇らさせるのです。断食により、弾むような生命力の躍動(やくどう)を覚える人は少なくありません。

 但し、断食行には条件が課せられます。それは断食行が出きる人と、出来ない人です。両者の違いは、まずこれまでの体質および、食事内容に委ねられます。食事内容に於ては、「正食」をして来た人と、「雑食」しか知らないで、現代栄養学の食指針の「何でも食べよう」式に、和食擬きの欧米食をして来た人です。
 後者は断食をするにしても、その下準備が大変で、数日後から直ぐに断食と言うようなわけにはいきません。断食を開始するまでに、正食に切り替え、その後、粗食・少食の準備をして、かなりの態勢を整えてからの断食と言う事になりますが、結局こうした人も、断食は中々成功しないようです。

 基本的に断食をする前に注意しなければならないことは、食事の量を徐々に減らしていく減食期間を設けねばならないことですが、この減食に失敗する人が多いようです。
 手順としては、まずこれまでの「何でも食べよう」式を、正食に切り替えてある程度の期間を置かなければならないのですが、それは例えば主食の場合、ご飯の量は、まずいつもの二分の一にする必要があります。この「腹五分」にする条件を長期に亘って行い、これが2〜3週間程過ぎた頃から、この「二分の一食」を、七分粥、五分粥、三分粥、重湯と、徐々に減らしていきます。

 したがって、これまで雑食をしている人が、断食の翌日まで思いきり喰(く)い溜めをして断食に臨むようなことは非常に危険となります。
 断食行を始めるにあたり、まず次のような人は断食行は適当ではありません。

先入観が烈(はげ)しく、自分勝手に何事も運ぶ人。意志が弱い人は途中で挫折して、烈しい食欲に襲われ、多喰いをしてショック死を起こす場合がある。こうした死に方をする人を、昔は「頓死(とんし)」といった。「横死」の典型と言えよう。不名誉な死に方である。
長期間「何でも食べよう」式の雑食をして来た人。正食に切り替えるのに大変な苦労を要す。普段から粗食・少食に徹していない人は難しいし、食の細い人も、ジャンクフードなどを食べていて体質が悪ければ失敗する可能性が大きい。
減食期間は本断食の前後に二回あるが、普段から大食漢で、口の卑(いや)しい人は成功しない。問題は断食終了後に発生する。美食の誘惑に負ける人も少なくない。

 断食する期間は、それぞれの本断食の長さに応じて減食期間の補食の長さを調節していきます。断食期間は少なくとも本断食は三日が必要となります。また健康的な意味での断食であれば、一週間は欲しいところです。更に断食の理想を言うなら、「28日」は欲しいところです。
 但し、二週間以上の断食を行なう場合は、家庭に居て働きながらと言う断食は不可能になりますので、正しい指導者について断食指導を受けるべきです。

 さて、人間の躰は身体に何も食料を摂取しなくても、28日程度ならば持続できるように生まれながらに造られています。それが出来たり、出来なかったりするのは、人それぞれに持っている先入観や固定観念です。こうした観念が、断食を失敗させたり、断食後の健康を脅かしたりするのです。断食で失敗する人の多くは、これによる場合が多いようです。



●断食が成功する人

 断食は体内の余分な脂肪などを燃焼させ、水銀などの重金属の酸毒物質を排泄し、心身共に爽快にさせるものです。したがって、断食を成功に導く為には、減食期間が必要であることは言うまでもなく、問題は本断食終了後の補食をとって徐々に普通食に戻していく段階です。多くに人は、此処で失敗してしまうのです。

 本断食は無事にやり終えても、断食終了後で失敗をする人が多く居ます。つまり、この補食の期間は猛烈が飢餓感に襲われるからです。ある意味で、人間はそれだけ「口の卑しい生き物」であると言う事になります。これさえ克服できれば、断食は大いに意味があり、健康状態と体質は今までに比べて驚くべき変化が現れます。

 その大きな成果が、宿便が完全に排泄させることです。外界からの刺戟が少なくない、内臓が休息すると言うことは、内臓が新生すると言うことです。断食による効果は、まず消化や吸収の働きがゼロになると言うことで、ストレスなどの刺戟に対して、緊張する交感神経が休息できると言うことです。
 また平静な心を造る事が出来、副交感神経が優位に働きます。

 したがって、高血圧症や動脈硬化、心臓障害や糖尿病などの慢性病の治療や肥満の解消にもなるし、普段から怒りっぽくイライラしている人は、逆に、断食することにより穏やかな性格になっていきます。つまり、人間の性格そのものが、「中庸化」されてきて、正常な状態に戻ると言うことです。

 但し断食は、本断食の前後を挟み、この全般を通して「断食行」と称するのであって、本断食のみを断食と言うのではありません。したがって、断食はあくまで「行」として考えねばならず、断食期間中、ただゴロゴロして横になり、食べ物のことばかり考えているようでは、結局、「行」の意味は達成されません。
 また、幾ら断食しても断食中に何も運動をせずにゴロゴロと寝てばかりでは、潜在意識の中に強いリバウンドが起り、断食を終えてから暴飲暴食に趨(はし)り、以前より更に体調を悪化させ、ガン発症などの慢性病を抱え込む人も居ます。

 したがって、断食は有り難いことばかりでなく、心の持ち方や意志薄弱な人は、断食は危険であるとさえいえます。断食を行いには、体力は余り問題ではありません。問題は「体質の善し悪し」です。体質の悪い人は不向きであると同時に、こうした体質の悪い慢性病持ちの人が断食をやると、途中で挫折して命に関わるような事故を起こすこともあるので、自分の体質を充分に下調べした上、食餌法に心掛けて約一年以上は正食に切り替えておく必要があります。

 さて、断食を始めると、本断食三日目頃から体液が酸性に傾きます。それは中和しようとする現象です。その為、胃酸などが分泌され、大量に吐く人も居ます。また、喫煙者が急な断食をするのも好ましくありません。断食しようと志を立てるのなら、やはり一年以上は禁煙しておく必要があります。もし、喫煙者が一ヵ月やそこら禁煙して断食すると、烈しい嘔吐(おうと)を催し、ニコチンを含む胃液が大量に吐き出されます。これは大変に苦しいもので、断食を志す人は、最低一年以上の禁煙が必要で、断食に成功した暁には、それ以降も禁煙を続け、以後完全に頭の中からタバコを忘れ去ってしまうべきです。

 次に、断食四日目頃になると、烈しい食欲に襲われたり、眩暈(めまい)などはいくぶん和らぎ、大体スムーズにいくようです。しかし、腸が捻れていたり腸捻転で苦しむ場合もあるので、この場合は断食や男色を指導できる内科医の診断を受けなければなりません。また胃の中に炎症があったり、潰瘍がある場合は痛みを伴います。
 更に、体内に大領の宿便を溜め込んでいる場合は、氷壁から宿便が剥がれ落ちるときに痛みが伴います。


 しかし、宿便は四日程度では中々排泄しません。こうした状態が後三、四日続く場合も少なくありません。その時はかなりの腹痛があります。宿便を抱えている人は、こうした腹痛が起こりう、中には4〜5kgも宿便を抱えた人がいます。これを完全に出し切てば頭もスッキリし、腸から吸収する栄養や酸素も少食で賄えるようになるのですが、断食の峠は四日目の後半から八日目頃にかけてであり、だいたい九日目になるとこれらは排便時間とは関係なしに、まるで雑巾を搾(しぼ)るように幾らでも出て来ます。

 そして断食の効果が最も絶好調になるのは、断食十四日目頃が最高となります。則(すなわ)ち、白血球の活動が、極めて活発になり、これを起点に次第に落ち着いて来ます。この十四日目に、体内に傷や炎症がある場合、白血球が修復して廻るのです。
 アトピー性皮膚炎やアレルギーなどの疾患を抱えた人は、この頃に反応も烈しくなり、一気に皮膚病が噴き出すことがあります。しかし、これを起点に徐々に治まり、断食二十日目頃には消滅して、綺麗な肌が戻って来ます。まるで赤ん坊のような、肌理の細かい餅のような肌になり、肌の色艶(いろ‐つや)も非常に良くなります。

 二十八日までの断食をすれば、まず10年は若返ります。
 しかし、断食は両刃の剣であり、プラス面と同時にマイナス面も持っています。特に断食終了後の、補食期間に掛けて、重湯、三分粥、五分粥、七分粥と戻していく中に、急に貪欲な食欲に襲われ、反動により大喰いに趨(はし)る傾向が見られます。更には、補食期間を無難に通り抜けたとしても、断食中に潜在意識の中に美食に対する妄想を追い掛ければ、断食後にこの妄想が吹き上げ、その後、美食家に転落する場合もあるので、断食後の食生活は断食中以上に注意する必要があります。

 こうしたマイナス面を考えると、一口に断食と言っても、中々容易なことではありません。人間は美食に対して口が卑しく出来れいるばかりでなく、心の解放感は、一人の人間の食欲をとんでもないところに導いてしまうので、美食に暴走しない意志力が必要です。

 つまり、断食して成功したか、あるいは失敗だったかは、断食中よりも、断食が終了してからの、一ヵ月目、二ヵ月目、あるいは半年後、一年後などに顕われて来るものなのです。こうした直に、再度、断食を行ったり、大食や美食に動かされなかったのであれば、その人の断食は一応成功と言えるでしょう。

 断食をやる場合、季節的には一年の中で「春」の時期が一番理想といえます。これは「冬」を考えた場合、冬は実は「殖(ふ)ゆ」という意味があることから、冬の時期は春に向かって新生への貯える時期であり、この間にはタンパク質と同時に余分な脂肪や塩分、更には老廃物が溜まります。これを取り除く為に、時期的には春が一番よく、然(しか)も新生の時期であり、それは植物の芽生えなどから、大自然の新生を彷佛(ほうふつ)させることで窺(うかが)えます。

 人間は大自然の一員であり、人体も大自然の周期と動きに同調します。つまり、新陳代謝も一番活発になる時期なのです。この時期こそ、断食の効果は大きく、一年の中(うち)で無理なくできる時期と言えるでしょう。
 《癒しの杜の会》では、各期間の断食の指導を致しております。
理想的には、28日間の断食が最も効果的ですが、その他にも次の断食指導を行っております。

酵素を使った誰にでも
無理なくできる3日間断食
3日間を酵素(大高酵素の「クオリコウカ」)を使い、「三日間のミニ断食」です。誰にでも無理なくできる断食で、断食特有の貧血や眩暈(めまい)や倦怠感などは起こらず、仕事や学業をやりながら実践する事が出来ます。
水だけの3日間断食
仕事や学業をやりながら、無理なく安全に、家庭でできる3日間断食です。
水だけの7日間断食
仕事や学業をやりながら、家庭でできる7日間断食です。但し、本断食の前後に行う、減食期間の法則は断食指導者について、正しく教わり必要があります。
酵素と水を組み合わせた
無理なくできる7日間断食
仕事や学業をやりながら、酵素(大高酵素の「クオリコウカ」)を使い、家庭でできる7日間断食です。酵素を組み合わせた場合、断食特有の貧血や眩暈(めまい)や倦怠感などは起りません。

 これまで現代栄養学は、体内に詰め込むだけの「入れる栄養学」を行えば健康に慣れると宣伝して来ました。ところが、こうした考えは、多発する成人病を見ても、間違いであることが明白となって来ました。
 現代人は、体内に入れ込む健康法ばかりに眼を奪われていますが、実は体内に取り込むよりも、体内に蓄積された重金属や老廃物を、「出す健康法」に目を向けなければならないのです。

断食についてのお問い合せは《癒しの杜の会》
【お問い合せと相談、ご入会】
 〒802−0985 福岡県北九州市小倉南区志井6丁目11−13(尚道館ビル2F)

癒しの杜研究所  電話093(961)8228
電話受付時間:日・祝日を除く午前10時〜12時 午後2時〜6時
(何月何日の何時頃というメールでの予約が必要になります)


断食についての予約メールこちら



【会員の方で、断食について電話で相談される方へのお願い】
 電話は大変込み合いますので、電話で相談される方は、上記に定められた時間内に、あらかじめ相談される内容を準備され、手短にお一人様20分以内でお願いします。

 また、入会を希望され、「断食についてのお問い合せ」をされる方も、手短にお一人様20分以内でお願いします。
 電話が込み合いますので、最初から入会の意志がなく「一応、参考の為に」という程度での、お問い合せはご遠慮下さい。