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●体質の中庸化
病気にならない、伝染病に罹
(かか)
らないと言う体質を、総じて「体質の中庸
(ちゅうよう)
」と言います。
こうした中庸の体躯
(たいく)
を養成するのに、現代栄養学的に「肉も野菜も何でも食べよう」式は大きな誤りなのです。厚生労働省が発表している、バランスの採れた食事をする為には「一日30種品目以上の食品を摂る必要がある」と言われていますが、この「何でも食べよう」式の誤った固定観念は、やがてガン疾患等の成人病へと発展します。
特に、こうした誤った思考が「肉と野菜をバランスよく」等という固定観念を造り上げ、成人病に追い込んでいく病因を作りました。
まず、ヒトは「何を食べたら健全に生きていけるか」と言う事を真摯
(しんし)
に考えなければなりません。そしてその本質を見極めるとき、そこには人間の「歯の構造」に大きなヒントが隠されていることに気付きます。
歯型こそ、食性の証拠に他なりません。
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ヒトの場合、臼歯
(上下とも左右に前臼歯二枚、後臼歯二枚ずつ)
は「穀歯」であり、門歯
(
上下の顎の前方中央部に生える歯で、左右各二枚ある)
は「菜歯」に他ならず、穀歯が一番多く、次に菜歯です。この事はヒトが、穀物菜食性の動物であると言うことが分かります。また、犬歯
(門歯と臼歯との間に位置する上下各二個の鋭い歯)
は木の実等の殻を割る為の歯です。
つまり、ヒトの食性は、穀物を主食にし、それに適量の野菜や魚介類を副食にした食事を摂る事によって、「生理機能が健全に営まれる」という、そうした存在が「人間」なのです。
そしてこの事実は、人間の背負っている「生物学的宿命」ですから、食べ物の好みや、考え方によって変更出来るものではないと言うことです。
万一、この生物学的宿命を自分の独断と偏見で変えてしまえば、そこには現代の難病・奇病と言う不治の病が襲い掛かります。
では、「穀物を主食にする」という事は、一体どんな意味を持つのでしょうか。
これは自動的に栄養のバランスを摂ると言うことになります。穀物はあらゆる食品の中で非常にバランスの採れた、優れた食品です。多彩な有用成分を含み、これだけを一定量摂っていれば、他の条件には左右されず、「中庸」が維持出来ると言うことです。
食品としては、たったの一種類であっても、内容的には多彩な有用成分を含み、躰にとって必要な栄養素は総て網羅
(もうら)
されていることになり、需要をしっかりと満たしてくれているのです。
だからこそ、栄養バランスを採ると言うことに於ては、むしろ人間の方が、あれこれ過食に趨
(はし)
るのではなく、せっかくの穀物の持っている多彩な有用成分の素晴らしい性能を、邪魔しないように心配りをし、多く摂り過ぎない事なのです。
現代は飽食に時代と言われます。これまでの一日三食が、四食になり、五食になろうとしています。現代人は一日中食べ続けて、内臓を疲弊
(ひへい)
させています。その結果、食品産業と結託した現代栄養学や現代医学は「主食を減らして、副食主体の食事にせよ」「肉と野菜のバランスをとれ」「一日30種品目以上の食品を摂る必要がある」等と言います。
こうした発想は、人間の躰と言うものの、自然性を無視した思考であり、全くのナンセンスとしか言いようがありません。また、副食についても基本的な考え方は同じで、躰にとって、必要な食品を確実に摂取していれば、それでよいわけで、あえて「主食を減らして、副食主体の食事にせよ」等のように、こうした偏見を抱かなくてもすむわけです。
主食に添えて摂取する副食が、「血液浄化」や「内臓機能の健全化」ということを根底に置けば、副食は「野菜を主体にして、発酵食品と小魚介類を加えればそれで良い」という結論が出ます。そしてこの場合、健康へのポイントは、副食はむしろ少ない方が良い結果が出ると言うことになります。
こうした観点で、現代医学を追及していくと、その思想の裏側に隠れている現代医学の慢性病に対する考え方は、根本的に間違っていると言わなければなりません。
何故ならば、「ヒトが発病するカラクリ」は、唯一つしかないからです。
それは食物が腸壁内で腐敗し、血が汚れるから病気が生みだされると言うことであり、病気とは「炎症」であり、これが「体細胞の世界」で起こった異変として、直接的な因果関係をつくり出すからです。つまり、「血液の世界」に起こったことが、「病変」と言う異常であり、ここに病因の禍根があるということなのです。
病気になる上での問題は、病気を招く体質の悪さにあります。個人の持つ先入観や固定観念の中には「自分だけが正しくて、他は総て間違っている」という、思い込みがあります。自分を棚
(たな)
に上げ、他人のせいにしてしまいます。病気になっても、病気の原因は自分以外のもののせいにしてしまいます。
その為に、病気は病原体のせいにしますし、伝染病はその大方が細菌のせいにされ、慢性病に於てはウイルスのせいにしてしまいます。
また現代医療でも、ウイルス探しに躍起
(やっき)
になります。確かに、ウイルスには強力な感染力があります。発病の直接に切っ掛けになったりもします。しかし発病の真因はウイルスそのものではなく、ウイルスに感染してしまう軟弱な自分自身の躰の感受性にあります。これこそが病気の真因であり、ここに「体質」というものが問題になって来ます。
体質は、陰にも陽にも偏らない「中庸」が大事であり、体質が中庸であれば、同じようにウイルスや細菌の作用を受けても、発病するとは限りません。むしろ発病しない確率の方が大きいのです。
発病する人としない人の差は、「体質」であり、発病する人は「微生物に対して、耐久性を持っていない」と言うことになります。
逆に言えば、「微生物」は真の病因ではなく、発病するかしないかは、その決定権が、各々個人の「体質」にあり、体質の悪さこそが発病の真因なのです。
体質とは、「体細胞の質」を指し、この質は、血液の状態によって決定付ける事が出来るのです。
ここに
食
→
血
→
体
という躰の基本構造があり、この流れの中で異常が発生する場合、発病のメカニズムを考えていけば、その真因は「血液の汚れ」と言うことになり、ここには「何でも食べよう」式の誤った固定観念が病気を招いていることがよく分かります。
更に、「血の汚れ」は食物の腐敗によって作られていることも分かります。食物が腸内で腐敗するから、「血が汚染」され、この汚染によって、体細胞の質も悪くなり、これが「体質の悪化」となって、病変である「炎症」や「腫瘍」を発生されると言う事が明らかになります。
●七草粥に使われるスギナの不思議
「春の七草」として知られるスギナには、不思議な能力を秘めています。
スギナは「杉菜」の漢字が用いられ、トクサ科の多年生シダ植物です。温帯に広く分布し、長く横走する根茎から直立した地上茎を生じ、輪状に枝を出します。茎は緑色で、節に鱗片状の葉をつけます。春、淡褐色の胞子茎を出し、これが土筆
(つくし)
です。春に収穫したものは食用
(採取時期は三月から五月)
に用います。このスギナは強い繁殖力を持っています。
さて、ツクシの食べ方は、袴
(はかま)
をとり、煮びたし、おひたし、各種和え物、ツクシ玄米御飯、胡麻油炒め、ツクシの佃煮、乾かしてお茶にもすることができます。
また、全草を利尿薬として非常に効果が大きいものです
更に、天日に干したものを煎じて飲めば、扁桃腺炎や咳、腎臓病等にも効果があります。
▲
スギナ
▲
スベリヒユ
一方、スギナはスベリヒユ
(スベリヒユ科の一年草で、世界の暖地に普通の雑草)
と同様、農家では雑草として扱われ、その繁殖力の強さに嫌われる植物です。しかしスギナの持つ生理学的、生物学的、薬学的効能は非常に不思議なものを持っています。
スギナの胞子にはカルシウム
(
calcium
/Ca)
が微量に含まれていますが、数週間成長したツクシは、カルシウムを70%以上も含みます。こうした、カルシウム量が急増した理由は、有機的に原子転換したからだと考えられます。然
(しか)
もツクシは、カルシウムを含まないケイ素
(
silicon
/Si)
ばかりの土地に成長し、これは木賊
(
とくさ
/砥草とくさの意で、トクサ科の常緑シダ植物)
も同様です。木賊やツクシの豊富なカルシウム成分は、古来より民間療法として、驚くべき効能を挙げて来ました。
例えば結核の場合、ツクシを煎じたものを服用したり、食用すると、結核空洞の石灰化が起こり、結核が次第に治って行きます。この石灰分は有機的ですから効果がありますが、西洋医学における化学療法では与える石灰分は無機的ですから、一向に効果は現われません。
では、成長したツクシの70%に及ぶ石灰分は、一体何処から来たのかということになります。
理論物理学者のルイ・ケルブラン博士の学説によれば、ツクシが土の中から吸収したケイ素と、空気中の炭酸ガスから分離した炭素が融合して、Si+C→Caに転換したからだと言われています。
ツクシはサイクロトロン
(
cyclotron
/磁場の中で円運動をしているイオンを同じ周期の高周波電場によって加速して、1千万〜数億電子ボルトのエネルギーをもつようにする装置)
のようなものがあり、これが熱も出さず、爆発もせず、無音で行なっているのではないかと言われています。
これは人間及び動物も、植物と同じような非植物より遥かに高い能率で、原子転換する事実を数千件にも及ぶケルブランの実験から発見されているからです。
その実証例としては、カルシウム不足でノイローゼになった殻無し卵しか産生まなくなった鶏に、雲母
(珪酸塩鉱物)
を少量与えると、24時間後には殻のついた立派な卵を産むと言う事実。これは鶏の血液が原子転換の能力によって、雲母の主成分であるカリウム
(K)
やケイ素
(Si)
等をCaに原子転換したからです。
また、海の蟹は脱皮によって固い甲羅
(こうら)
を脱ぎ捨て、一旦は軟体動物のような状態になって生命の危険にさらされますが、その間は岩穴等に隠れ我が身を護り、24時間後には、また立派な甲羅をつけて現われます。
これは、Caの少ない海水からナトリウム
(Na)
を取り、水素を融合してマグネシウム
(Mg)
を作り、更に酸素を取り入れ、融合して原子転換し、カルシウムを作り出したと考えられます。
(
【註】
Na+H+O→Ca)
しかし一方で、 Na
(アルカリ金属元素の一つで、酸素と化合しやすく、水と激しく反応して水素を発生する。地殻中には珪酸塩として、海水中には食塩として多量に存在)
とK
(アルカリ金属元素の一つで、水と激しく反応し、水素を発生して水酸化カリウムとなる。海水や岩塩中にカリウム塩として存在。生体では細胞内の電解質の主成分)
は、生化学的には各々に対峙する相尅性を持っています。それは白と黒、善と悪といった極端な相尅性です。
ところが原子転換によって、悪を善にしたり、禍を福にすることができるのです。
また、ルイ・ケルブラン学説の、NaがNa+Hで「Mg」を作り、MgがMg+Oから「Ca」を作り出す、あるいはNaがNa+Oで「K」を作り、KがK+Hから「Ca」を作り出すこの構図は、千島学説の『赤血球分化説』ならびに『赤血球可逆分化説』と非常によく似ていることが分かります。
▲
千島学説「赤血球分化説・可逆分化説」とケルブラン「原子転換説」
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●赤血球分化と可逆分化でガン細胞は正常な赤血球に戻る
私たちは、長い間、「ガン」と言う病気は、「細胞分裂によって、ガン細胞がどんどん増えていくものだ」と言う、細胞分裂の従来の生物学的な見知からこれを認識し、そのように安易に信じて来ました。ところがガン細胞は、病的になった血液中の赤血球が変質して生じたものだったのです。
今迄に、ガン細胞が正常な赤血球に戻ったということを確認した医学者は、千島喜久男医学博士の他に、癌研究会癌研究所の菅野晴夫所長以下三名の医学者が、ネズミの赤血球から出来たガン細胞に核酸
(DNA)
の合成を阻止す剤薬をる加えたところ、ガン細胞が正常な赤血球に戻る事を発見しました。
また、京都大学ウイルス研究所の市川康夫助教授
(1975年)
の研究では、ネズミの白血球性乳ガン細胞をネズミ胎児のセンイ芽細胞の培養液に接触させると、ガン細胞は二種類の正常白血球に分化した事を発見しました。
更に、国立がんセンターの穂積本男実験室長は、ネズミの乳ガン細胞を、ネズミの腹部に注入し、八日後にその腹水を白血病細胞に与えたところ、その細胞は正常化したと認めています。これらはいずれも、ガン細胞が正常な細胞に戻ったと言う共通点を有しています。
千島学説から言えば、「ガン細胞は赤血球に戻る」あるいは「赤血球からガン細胞はできる」と言うことになるのですが、この理論は異端少数派に押し遣
(や)
られ、マスコミでも全く無視されたままになっています。
しかし、事実としては、「ガン細胞は血球に戻る」という現実があり、定説である「赤血球は骨髓で造血し補填する」という学説と真っ向から対立し、以降、『骨髓造血説』が主流を占めています。
では、果たして赤血球は、本当に骨髓で造血されているのでしょうか。
健康な人の骨髓には脂肪が充満していて、とても造血できるような状態ではありません。したがって、千島学説では、既成学説である骨髓造血を否定し、腸造血説を全面に打ち出しているのです。
さて、人間や哺乳類の赤血球は、無核で均質な細胞しか所有していません。この赤血球が体内の各部分に運ばれて、一定の場所に定着すると、ここではじめて赤血球の原形質の内部に核酸
(DNA)
を含む、核が新しく形成されるのです。そこで各々が、各細胞へと分化していきます。躰
(からだ)
の総ての細胞を作る赤血球は、細胞に分化するまで多少長い時間を要します。
下等動物や両生類、それに鳥類等は最初から核を主有しますが、ヒトの場合は無核なのです。その為に、新しく形成されるまでに時間がかかります。
定説では、赤血球の寿命は120日とされています。この赤血球は、毎日2000億個の血球が、体内の何処かで崩壊している事になっていますが、それを見た学者は一人もいません。また定説では、赤血球は、肝臓や脾臓等で主に崩壊すると言われていますが、それにしても、毎日2000億個の血球が崩壊するのですから、当然不足が生じ、足りなくなります。それを毎日補填しなければならないのですが、では、この補填は、何処で行なわれるかと言う事になります。
定説では、赤血球は骨髓で造血され、補填されていると言います。しかしこれは、果たして全くの誤謬
(ごびゅう)
ではないのでしょうか。
更に、千島学説では、ガンは一種の「慢性炎症」だと言っています。しかし、一般の病理学者は、ガンと炎症は各々に区別すべきだと、さも常識のように一蹴
(いっしゅう)
します。
それによると、「炎症による腫瘍は、実質細胞が障害を受けており、中心部で死滅している事が多い。血管は拡張し、血液が集まり、組織中への白血球、大食細胞、血液の水溶性成分等が出ており、各種の細胞の複合化ならり、防御的な反応を示している。これが組織の炎症を起こしている実態である。
ガンがこれと根本的に異なるのは、ガン腫はガン細胞ただ一種だけの集まりであり、その場所で、どんどん増殖する。間質を形成している血管やリンパ管はあるが、あくまでガン細胞への栄養補給の役目を持つだけである。腫瘍や炎症は、外来の原因を取り去れば治癒するが、ガンは外因を取り除いても治らない」としています。
しかし、これにも誤りがあるように思われます。
ガン細胞に於いても、形状や染色性には色々な差異があり、決して一種類ではなく、血液も栄養補給のみが、その役割だけではありません。また、炎症性腫瘍やガン腫に於いても、血球の腫瘍細胞への移行像を示します。この移行像は、炎症部位に於ての血液集中の刺戟反応であり、外因が除去されると炎症は治るが、ガンは治らないという、一般の病理学者の言は、必ずしも本質的な差とは結論付けられません。
これは、彼等が言うような本質的な差ではなく、程度の差であり、逆に《予定説》の結果から考えれば、「刺戟源が完全に去らない」と言う結果は、結果として招来した「慢性炎症」であるからであり、これが「ガンは治らない」という、従来の医学的な結論を導き出しているだけで、ガン腫もその他の腫瘍も、結局は血球が腫瘍細胞へ分化する点では共通を見るものの、刺戟を受けた局所の血管の拡張や、血液の集中等は、「炎症」や「腫瘍」の根本的な病因では、「ガン」も、全く同じなのです。罹病するべきして罹病したという結末であります。
そもそも、「予定されていたのでは?」と疑いたくなります。その元凶が食の誤りにあったのでは?……。
こういう図式が成り立つのでする。一応これを疑ってみる必要がありましょう。果たして、動タンパクに偏らなかったか?…を?です。
要するに、ガンは血球が変質した「慢性的な炎症」であり、他の炎症と慢性的炎症が異なっている点は、全身の活力が低下して、他の炎症より激しく著しいと言う事です。
例えば、末期ガン患者は、ガン細胞が広範囲に広がっていると考えられます。しかしその場合でも、身体全域がガン細胞であるのではなく、炎症状態の箇所に、ガン細胞が点在していると考えられます。
つまり、これは慢性的な炎症であり、本来ならば、正常細胞になるべきはずの赤血球が、変質して病的になった為、悪質なガン細胞に変質したという事であり、千島学説からも赤血球の分化という事から容易に理解できるはずです。