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●整腸剤としての春の七草

 春の七草は、芹(せり)・薺(なずな)・御形(ごぎよう)・繁縷(はこべ)・仏の座(ほとけのざ)・菘(すずな)・蘿蔔(すずしろ)の七種類があります。古くは正月七日に羹あつも/野菜や豆腐等を入れて作った熱い吸物)のにしました。
 また後世は、これを俎(まないた)に載せて、囃(はや)して炊き、粥(かゆ)に入れて食べました。竃(かまど)の神に無病息災を祈願するのです。
 これを「七草粥」と言います。
 この粥は、玄米と併用し、胃腸の疲労を和らげる働きがあります。
 「七草粥」は正月七日に、春の七草を入れて炊いた粥のことで、後には薺(なずな)または油菜のみを用いました。
 また正月十五日には、玄米・玄麦・ハト麦・粟(あわ)・稗(ひえ)・黍(きび)・小豆・大豆などの七種のものを入れて炊いた粥を「七種粥」と言い、後には「小豆粥」となりました。

 過去の風習として「七草の祝」には「七草の囃し」と言うものがあって、前日の夜、または当日の朝、俎に薺または、七草や台所のすりこぎ・杓子(しゃくし)などを載せ、吉方(えほう)に向かい、「唐土(とうど)の鳥が日本の土地へ渡らぬ先になずな、ななくさ(ななくさ、なずな)」、または「唐土の鳥と日本の鳥と渡らぬ先に、ななくさ、なずな手に摘み入れて」等と唱え囃しながら、それらを叩く習俗がありましたが、今日ではすっかり忘れ去られ、こうした「祝の儀」もなくなりました。


【春の七草の種類と効用】

季節草 旬 の 食 材 の 例 
セリ科の多年草で、田の畦(あぜ)・小川・湿地に自生生息する。
 また、水田で野菜として栽培し、泥の中に白い匐枝
(ふくし)を延ばして繁殖する。高さは約20〜50cm。夏に花茎を出し、白色の小花をつける。若葉は独特の香り発し、食用には最適で、貧血症と解熱に効果がある。
アブラナ科の越年草で、路傍や田畑にごく普通に自生する。春、高さは約30cm。春に白色の小十字花を総状につけ、果実は扁平で三角形している。早春若芽を食用にするほか、高血圧・解熱・便秘・利尿・解熱・止血作用に効果がある。また煎じた液で洗眼すると眼の充血や痛みに効果がある。
御形 ハハコグサの異称で、春の七草に数えられ「おぎょう」とも言う。胃腸病全般に効果がある。
繁縷 ナデシコ科の越年草で、山野・路傍に自生する。高さは約15〜50cmで、下部は地に臥す。葉は広卵形で柔らかいく、春に白色の小五弁花を咲かせる。鳥餌または食用に供し、利尿剤や止血剤、としての効用があり、また全草を自然塩と混ぜて歯茎をマッサージすると出血や歯槽膿漏に効く。別名「あさしらげ」「はこべら」と言う名がある。
仏の座 キク科のタビラコの別称で、シソ科の一年または越年草。原野・路傍に自生する。茎は柔軟で高さは約25cm。春し紫色の唇形花を輪状に付ける。別名「ホトケノツヅレ」「三階草」とも言い、整腸剤として効果がある。
青菜(あおな)、または蕪(かぶ)の別称。食用にし、利尿・解熱・止血作用に効果がある。
蘿蔔 アブラナ科の多年草で、西日本の山地や岩上に自生する。高さ約15cm。走出枝を出し、根葉は叢生し長楕円形で、早春には白色の四弁花を総状に開かせる。胃腸病全般に効果がある。



●解熱剤や気管支疾患に使われる秋の七草

 秋の七草には、萩(はぎ)・尾花(おばな)・葛(くず)・撫子なでしこ/瞿麦)・女郎花(おみなえし)・藤袴(ふじばかま)・朝顔(アサガオは牽牛花とも書き、朝顔は今の桔梗(キキョウ)を言う説とムクゲなどを指す諸説がある)の七種類があります。
 秋の七草は『万葉集』にも挙げられ、山上憶良は、

  秋の野(ぬ)に咲きたる花を指折りてかき数ふれば七草の花

 と詠んだ歌があります。
 七草の花は萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、藤袴、朝顔の花の七種です。


【秋の七草の種類と効用】

季節草 旬 の 食 材 の 例 
マメ科ハギ属の小低木の総称で、高さ約1.5cmに達し、叢生する。枝は垂れるものはが多く、葉は複葉である。夏から秋に紅紫色または白色の蝶形花を多数総状につけ、のち莢(さや)を結ぶ。一般には観賞用として用いるが、家畜の飼料等にも使われ、普通にはヤマハギ・ミヤギノハギを指す。腎臓病と胃腸病に効果がある。
尾花 一般にはススキの花穂を指し、これが花が尾に似ているので尾花とも言う。
また、食養としては、「尾花粥」があり、宮中では八月の朔日
(さくび)に、疫病を除くために用いて粥にする。この粥にする場合は、ススキの穂を黒焼きにして粥に混ぜる。江戸時代には早稲(わせ)の穂を黒焼きにして黒胡麻を混ぜて用いた。肝臓病に効果がある。
マメ科の大形蔓性の多年草で、山野に多く、蔓の長さは約10m以上にも達する。葉は大きく、裏面は白っぽい色をしている。秋に葉腋に花穂をつけ、紫紅色の蝶形花を総状に咲かせ、花後、平たい莢を生じさせる。根は肥大し、生薬の葛根(かつこん)として解熱薬に用い、また、葛粉を採る。蔓の繊維をとって葛布(くずふ)を織り、また蔓で行李などを作る。この名前の由来は、奈良県国栖(くず)の地名に因(ちな)むという言い伝えもある。胃腸病に効果がある。
撫子 ナデシコ科の一群の草本の総称で、自生種ですが、最近では園芸品種も多く出回っている。
 撫子は一種の多年草で、日当りのよい草地・川原などに自生します。高さは数10cm程で、葉は線形になっている。八〜九月頃、淡紅色の花を咲かせます。花弁は五枚で上端が深く細裂し、種子は黒色で小さく、薬用効果としては利尿に有効である。
女郎花 オミナエシ科の多年草で、高さは約1mくらいです。山野に自生し、夏・秋に黄色の小花を多数傘状につける。漢方では根を乾して、利尿剤に使われる。
藤袴 キク科の多年草で、やや湿気のある所に自生します。高さは約1mほどで、全体に佳香がある。秋には淡紫色の小さな頭花を咲かせ、多数散房状に花を開かせます。整腸剤として使われる。
桔梗 キキョウ科の多年草で、夏・秋の頃に、茎の先端に青紫色、または白色の美しい五裂の鐘形花を咲かせる。
 また桔梗と言う漢名は、『神農本草経』
(502〜557年に編纂)にはじめて紹介されており、山地・丘陵・草原に自生し、根は牛蒡(ごぼう)状で太く、乾して生薬の桔梗根とし、気管支炎、偏桃腺炎、肺病、解熱に効果があり、去痰(たんをとる)・鎮咳薬などに用いられる。



●フキやツワのきゃらぶき
 その健胃・整腸効果。
 材料……フキ、またはツワ。調味料……味噌、酢、黒砂糖。
 茹でる前に皮を剥き、灰汁(あく)抜きの為に水に晒(さら)す。その後、茹で、酢物等にする。
フキ/キク科の多年草。
 日本各地に自生、食用に栽培。茎は地中にあって甚だ短い。葉柄は長さ30〜70cm、上部に大きな腎臓形の葉をつける。早春、葉に先立って、大きな苞
(ほう)に包まれた花茎、「蕗の薹(とう)」を生じ、多くの細かい白花を開く。
ツワ/キク科の常緑多年草で「つわぶき」ともいう。
 フキとは別属で、暖地の海辺に自生、観賞用に栽培。葉は長柄があり、フキに似、厚くて光沢がある。初冬に60cmくらいの花茎を出し、黄色の頭花を総状に配列する。若い葉柄は食用にするほか、葉は腫物・湿疹などの薬用効能がある。

フキと厚揚げの煮物 ツワの花。春口に咲く。


●その他、厄年に耐える霊的食養道クッキングなどを初公開!

 霊学的に言って、上顎(うわあご)は「火の気」であり、下顎(したあご)は「水の気」です。これを噛み合わせる事によって「火水」となり、火水とは「神」のことです。
 また「火水」は陰陽を顕わす組み合わせであり、「噛めば噛むほど神」になるわけです。陰陽をしっかり噛み合わせる事によって、不思議な力が生まれ、体内の浄化作用が促されるのです。

大豆と小豆の玄米御飯 野性の三つ葉と玄米粥

黒胡麻塩振りかけの玄米御飯

 穀物菜食に基づく正しい食事療法を実践すれば、死線を彷徨(さまよ)う程の難病や奇病を煩っていても、正食を心掛ければこうした病を克服し、元の健康体を取り戻しで、病気になる以前よりも元気になってしまう人は多いのです。

 特別な行法をしたり、占い師や祈祷師の助言や除霊に頼らなくても、食を正し、慎むだけで、実際に病気が治ってしまったり、運が開けて来るわけです。
 しかし「治らなかった人」も、また居るわけです。
 それは何故でしょうか。
 そうした人を追跡調査すると、要するに「悪い想念」を抱いたまま、単に病気治しに正食法を利用し、自分自身の御利益だけを願って奔走し、表面上、真似事として実践した人です。そして共通している事は、心の中に「自他離別」と「自他差別」の想念があり、全く「歓喜」の意識がなかったと言う事です。
 治らない人は、まず「喜び」の意識(光明思想)がなく、「自分の病気だけを治したい」あるいは「早く病気から解放されて、楽になりたい」というような思いから仕方なく、イヤイヤ好きではない玄米菜食食事療法を実践した為でした。こうした思考で、食事療法を実践しても治りません。心を遣い、意識を愛の想念の置き換えない限り、良くなるものまで悪くなってしまいます。そして「神の気」たる正流を、受ける事が出来ないからです。「光明思想」を学ぶべきです。これが霊的食養道の真髄です。

 「神の気」を受ける為には、「イヤイヤ」とか「シブシブ」とかの意識は禁物であり、心を素直にして「無理にやっている」という意識を解き放たなければなりません。これが「無理のない道」なのです。
 無理のない道とは、苦労はあっても、樂しい苦労であり、やればやるほど「喜び」を感じると言うものでなければなりません。
 正食法に関する実践する上での三大重要事項は次の通りです。

三大事項 食 性 の 方 法 と 種 類 
身土不二 自分の棲む土地(国)で採れた穀物や野菜や近海での魚介類を食べる。魚介類の場合、背中の青い小魚のみであり、大型魚や高級魚は食べてはならない。
咀嚼法 しっかりと噛む。最低でも50回以上。噛めば噛むほど良い。100回噛んでも構わない。噛みながら「一二三(ひふみ)の祝詞」を心の中で念ずる。
歓喜の意識 「喜び」の意識を持つ。自分一人の健康だけを願わず、「自他一体」という《愛の想念》を以て、自分だけの健康恢復だけではなく、病気で苦しむ他の人への慈悲心も併せ持つこと。また、「正食法をすると、あなたの病気は治りますよ」と、自分自身が実践して、知らせてやることも大事である。小乗仏教的な、「自分さえ良ければ」と意識は消去しなければならない。《光明思想》が大事で、これこそが霊的食養道の真髄である。。