人間は宇宙の闇の彼方からやって来ます。胎児の極限は渾沌(こんとん)たる宇宙空間の闇に存在する一元素に過ぎません。
この一元素を量子力学の理論体系を以て言わしめれば、分子・原子・原子核・素粒子などの微視的物理系を支配するプランク恒数(定数の意味で基礎定数の一つで、宇宙におけるエネルギーの最小単位数)とでも言えるものでありましょうか。
輪廻転生の循環律(じゅんかんりつ)を以て表現するならば、胎(胚胎)の前は絶(ぜつ)ですが、無での絶ではなく、胚胎へと移行する胎であり、更に養へと移り、生へとなってこの世に姿を表わします。
人間は夫婦和合によって、精虫が母体の輪卵管で卵子と出合い、ここで一体となります。
この時、染色体遺伝子は外界からのあらゆるエネルギー作用を受けて、その組み合わせが決定され、受精という形で一個の細胞が誕生します。
この誕生した新しい細胞は固有の波動を生じ、この固有の波動に最も近い波動が霊魂(霊体構造を造る命体)と共鳴し合い、霊的波調を同じくします。
これ以降、霊魂の波動は霊的波調を揃えつつ、これに合うような肉体が造られていきます。これを霊魂の「鋳型構造」と言います。
こうして肉体に霊魂が宿ることで、人体としての形が整うのです。
この際、霊魂は鋳型のような役割をし、この鋳型に合わせて、その霊的波調に合うような細胞形成され、母体から取り込まれた栄養素は、体細胞として各々の臓器を形成していきます。この段階が霊魂の鋳型構造で、肉体が造られるまでの過程です。
さて、命体(霊魂)が何時宿るかについては様々な諸説があります。
大東流霊的食養道では「榊式胎児体重概算法」に従い、胎児が子宮内における成長度合の過程の中で推理してみました。
榊式胎児体重概算法によると、卵子の大きさは直径約0.2ミリメートルと言われ、悪阻(つわり)は妊娠六週間目ころから現われ、妊娠四ヵ月末まで続くと言われています。
私達、大東流霊的食養道研究グループは、この悪阻期間に眼を付け、「悪阻」現象とは何か、ということを推理してみることにしました。
それは命体の重さを、約70グラムから100グラム未満と推定して換算した計算によります。
この換算法は、人間が死んだ直後、全体重の1000分の1が失われるとする結果から割り出したものです。
喩えば体重60キロの人であれば、その千分の一は60グラムであり、90キロの人であれば90グラムであるからです。
これは人間が絶命する際に、床ぐるみの台秤に載せ、刻々と変化する様子を計測した実験結果から得られたデータを基準にしました。
この結果によると、死の刹那に重量は、次第に軽くなるという事実によるものです。実験結果から分析すると、平均して約60グラムから約90グラムが減ると言う目方の減少から導き出しました。
そうすると心臓の鼓動が停止し、数分後から約三十分後に、全体重の1000分の1が失われるものであると確認できたからです。この失われた1000分の1の重さが、命体の重さではないかと推測されるものであるからです。
さて、卵子の大きさが00.2ミリメートルとするならば、その重さは0.003グラム相当になるので、受精後直ちに命体と一体化するとは考えられません。
繰り返しますが、命体の重さは、凡そ60グラムから90グラムです。
したがって90グラムを超える重さになるのは、榊式胎児体重概算法では妊娠四ヵ月部分であり、この間体重概算法(グラム)は、妊娠一ヵ月で2グラム、二ヵ月で16グラム、三ヵ月で54グラム、四ヵ月目でやっと128となり、90グラム以上となります。
また悪阻とは、命体の波動が卵子に何らかの増殖作用を及ぼし、その現われが悪阻ではないかと推理しました。卵子が命体の鋳型の波動に合うように振動を繰り返し、この時点において命体との合体が行われる時期ではないか、と推理する次第です。
悪阻は妊娠六週間目(四十二日)頃から始まり、約四ヵ月末で治まることからして、生体(肉体)の胎児の重さは、命体の重さを少し上回る程度になります。これが命体と生体の一致時期ではあるまいか、と推測する次第です。
また悪阻が軽減されたり、薄らいでいくという現象は、一致したということを指すのではあるまいか、とも推理しました。
逆に言うと受精時、命体の波動が生体の波動より強いので、完全に波調は一致するまで、その波動は乱れが生じます。この乱れこそが悪阻の現象と考えられるのではと。
この期間が妊娠六週間目頃から四ヵ月末迄で、以降悪阻期間は軽減し、薄らいでいく。そしてやがて軽快する、というプロセスが、妊娠、その後の悪阻、そして悪阻の軽減という形に現われているようです。
さて、命体の波動における周波数は、およそ15〜50Hz(ヘルツ)であると推測されています。
これは卵子が径0.2ミリメートルだとすると、その周波数は42kHz見当とされます。
したがって、命体と卵子の周波数は、この時点の状態においては非常に隔たっているので、この状態で二つの周波数の波動が一致する付近を推定すると、命体が18Hz付近と35Hz付近で共振・安定する生命波が観測されました。この段階では卵子は非常に小さく、胎児の目方は命体の目方十分の一を超すことから安定期に入り、一体化するのが六週間頃であると推測されます。
では悪阻現象とは何でしょうか。
それは命体と胎児が生体として、一致するまでの生命波帯と、非生命波帯の不一致の乱れと考えられます。
この乱れが山場に達するのが、母体の生命波を乱す悪阻であり、四ヵ月末までに胎児は100グラム以上になった時点で命体より目方が重くなり、これによって完全な一致が行われたのではないかと推測されます。
したがってこの安定期に入るまでの、胎児の波動と命体の波動の乱れと不一致が悪阻です。
これは一種の「船酔い」と考えることができます。双方の波動の違いから起こる船酔い現象です。
船酔い現象は振動によって起こります。生体の生命波が乱れることによって起こります。
したがって胎児は成長するに伴って、生体と命体の波動の周波数の違いから船酔い現象を起こし、母体の生命波が乱されます。
しかしやがて、胎児の生体と命体が一致し、振動がなくなると母体の生命波も正常に戻り、船酔い現象は消えます。これは胎児の生体と命体が一致したからだと推定することができます。
以降、母親の摂取した食べ物からの栄養素は、消化器官を通して腸で血球が造られ、その血球が胎児を養うということになります。
そして血球は全身を巡り、組織細胞を形成し、体細胞に変化します。(千島学説『腸造血説』による。現代医学では、血液を造る処は骨髄と考えられ『骨髄造血説』が主流であるが、『腸管造血説』を唱えた千島喜久男医学博士の造血説を支持) |
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