精神病について
 昨今は、社会構造も複雑になり、また食生活の誤りから、精神機能に障害を訴える人が多くなり、精神病が増えています。この病気は、主として内因性および器質性のものが挙げられ、殊に精神分裂病と躁鬱病を二大精神病と言います。

 さて、昨今の精神医学を見てみますと、精神分裂病は「自我が潰された病気」としていますが、これに対して決定的な科学的治療法は、まだ確立されていません。多くの患者は、一進一退を繰り返しながら、徐々に悪くなっていくというのが実情です。
 ところが旧ソ連邦において、早くからこの治療法に専念し、この解決法を研究していた医学グループがおりました。
 このグループはあらゆる科学的な治療法を試みましたが、いずれも失敗し、サジをなげて絶食を患者に試みたところ、かなりの効果があったということを認め、以降これが定説になり、断食療法が試みられていますが、日本ではあまりこれを知る人はいません。

 精神病患者を見ますと、精神病が悪化すると、患者は殆ど食べ物を口にしなくなります。こうした患者に精神科の入院病棟では、体力の消耗を考えて、鼻から流動食の管を差し込み、無理やりに栄養補給することを徹底させます。
 こうした事に対し、森下敬一医学博士は、「これが一番いけないことである」と断言しています。患者が食べ物を食べないということは、躰が食べ物を受け付けないということであり、自然に食欲が出るまで待つことだ、と言います。そして患者が食べ物に手を出したとき、それは治る前の前兆だと言います。
 こうした事を考えて見ますと、食と肉体は深い関わり合いを持っていることが分かります。

 「自我が潰される」ということは、どこまでも強い正義感を持ち、不正に敗けない頑固一徹の人が胸のシコリが溶けないような状態で、ストレスを起こすと、たちまり神経細胞が緊張しますから、こうした事で精神障害を起こします。ヒステリーを押さえようとして、かえってヒステリー球が殖えてしまうのです。こうした現象が、精神病なのです。
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