春の七草の種類と効用
 春の七草は、芹(せり)・薺(なずな)・御形(ごぎよう)・繁縷(はこべ)・仏の座(ほとけのざ)・菘(すずな)・蘿蔔(すずしろ)の七種類があります。古くは正月七日に羹(あつも/野菜や豆腐などを入れて作った熱い吸物)のにしました。
 また後世は、これを俎(まないた)に載せて、囃(はや)して炊き、粥(かゆ)に入れて食べました。
 これを「七草粥」と言います。

 この粥は、玄米と併用し、胃腸の疲労を和らげる働きがあります。
 「七草粥」は正月七日に、春の七草を入れて炊いた粥のことで、後には薺(なずな)または油菜のみを用いました。
 また正月十五日には、玄米・玄麦・ハト麦・粟(あわ)・稗(ひえ)・黍(きび)・小豆・大豆などの七種のものを入れて炊いた粥を「七種粥」と言い、後には「小豆粥」となりました。

 過去の風習として「七草の祝」には「七草の囃し」と言うものがあって、前日の夜、または当日の朝、俎(まないた)に薺(なずな)または、七草や台所のすりこぎ・杓子(しゃくし)などを載せ、吉方(えほう)に向かい、「唐土(とうど)の鳥が日本の土地へ渡らぬ先になずな、ななくさ(ななくさ、なずな)」、または「唐土の鳥と日本の鳥と渡らぬ先に、ななくさ、なずな手に摘み入れて」等と唱え囃しながら、それらを叩く習俗がありましたが、今日ではすっかり忘れ去られ、こうした「祝の儀」もなくなりました。

1.芹(せり)……セリ科の多年草で、田の畦(あぜ)・小川・湿地に自生生息します。
 また、水田で野菜として栽培し、泥の中に白い匐枝(ふくし)を延ばして繁殖します。高さは約20〜50cm。夏に花茎を出し、白色の小花をつける。若葉は独特の香り発し、食用には最適です。貧血症と解熱に効果があります。

2.薺(なずな)……アブラナ科の越年草で、路傍や田畑にごく普通に自生します。春高さは約30cm。春に白色の小十字花を総状につけ、果実は扁平で三角形しています。早春若芽を食用にするほか、高血圧・解熱・便秘・利尿・解熱・止血作用に効果があります。また煎じた液で洗眼すると眼の充血や痛みに効果があります。

3.御形(ごぎょう)……ハハコグサの異称で、春の七草に数えられ「おぎょう」とも言います。胃腸病全般に効果があります。

4.繁縷(はこべ)……ナデシコ科の越年草で、山野・路傍に自生します。高さは約15〜50cmで、下部は地に臥します。葉は広卵形で柔らかいく、春に白色の小五弁花を咲かせます。鳥餌または食用に供し、利尿剤や止血剤、としての効用があり、また全草を自然塩と混ぜて歯茎をマッサージすると出血や歯槽膿漏に効きます。別名「あさしらげ」「はこべら」と言う名があります。

5.仏の座(ほとけのざ)……キク科のタビラコの別称で、シソ科の一年または越年草です。原野・路傍に自生します。茎は柔軟で高さは約25cm。春し紫色の唇形花を輪状に付けます。別名「ホトケノツヅレ」「三階草」とも言います。整腸剤として効果があります。

6.菘(すずな)……青菜(あおな)、または蕪(かぶ)の別称。食用にし、利尿・解熱・止血作用に効果があります。

7.蘿蔔(すずしろ)……アブラナ科の多年草で、西日本の山地や岩上に自生します。高さ約15cm。走出枝を出し、根葉は叢生し長楕円形で、早春には白色の四弁花を総状に開かせます。胃腸病全般に効果があります。
戻る次へ