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霊的浄化を目指して

 今の日本では、物質に恵まれ、飢えて死ぬ悲惨な現実は、遠い過去の昔話となり、人々はみな各々、個人の私事に追われ、毎日を気ぜわしく生きています。
 そして、自分一人の為だけの小さな幸せを願い、この平穏無事な安穏とした日々は、これから先もずっと続き、半永久的にこの現状がいつまでも続くものと思っています。

 今のままの姿で、これでよいのか。日本はこれでよいのか。こうした事を真剣に考えている人はそう多くありません。
 大半は、日本の事など何も考えず、ただ仕事に追われ、遊びに明け暮れ、少しでも乗ずる隙
(すき)があらば、妻以外の女性と性交渉を持ったり、あるいは夫以外の男性と不倫に奔(はし)り、心には邪(よこしま)な悪想念を掻き立てている人も少なくありません。
 巷間
(こうかん)では、そういう人が大半を占めているようです。
 そして、この平和がこれから先もずっと続いて欲しい。そう願う人は少なくないでしょう。

 しかし、果たして現在日本国民が享受しているこの繁栄は、未来永劫的なものでしょうか。
 これは非実在界の幻夢
(げんむ)の上に現れ出た、仮初(かりそめ)の平和であり、今後とも永久不変に続くものではありません。極めて不安定なのは言うまでもありません。

 今日の人類の上に君臨する近代物質文明は、日本のみならず、世界規模で、余りにも多くの犠牲の上に成り立っています。
 動物達への無益な殺生と無惨な殺戮、自然環境の破壊、資源の浪費、そして弱者を犧牲にした富裕層の傲慢。
 どれ一つとってみても、人間が人間の魂を生贄
(いけにえ)にしつつ、民主主義と言うエゴイズムの中で、自分一人の幸せの為に奔走しているという姿が、この世界の偽わざる実情です。

 人間は、自分一人の為だけに、ご都合主義と独善的利益を追求して、その皺
(しわ)寄せを弱者に押し付けている習性があります。
 また、本来ならば守護するべきはずの動物を喰らい、大量に殺戮を繰り返し、彼等の魂を弄
(もてあそ)んでいます。

 いま世界は、そうした大きな「兇いメグリ」の総清算期に突入したと言えましょう。
 しかしこうした、現象人間の非実在世界の不穏な動きに気付く人は、そんなに多くありません。

 多くの人は、華やかな夜の喧騒
(けんそう)に繰り出して、昼間の勤労の気休めに浮かれ、騒ぎ、これに喜びを感じている人は少なくありませんが、一方、日本各地の地方都市は、その霊的波動が日増しに粗(あら)くなり、どす黒い暗雲に覆われ始めました。

都会の夜の喧騒は、どす黒い暗雲に覆われている。

 こうした状況下で、いま都会に魅了されて都会に群がる人と、逆に、こうした都会に厭気(いやけ)がさして、都会を離れると言う二つのグループの人に分かれ始めました。

 現象人間の棲
(す)む非実在界は、想念によって動かされます。その想念は、一度悪想念と早変わりすれば、この非実在界は悪想念で覆(おお)われます。
 こうした想念はやがて、人災や天災等の災いとなって、人類の頭上に降り注ぎます。
 これが現象人間に課せられた「火」と「水」の試煉です。

 この試煉は、来るべき近未来の大激変となって、激しい霊的バイブレーションを起こすはずです。
 そしてこれより、人類淘汰の時代が始まります。

 では、何故、激しい霊的バイブレーションが起こるのでしょうか。
 それは、いま人類が、現在の現代人のままで、亜人類として朽ち果てるのか、あるいは見事に最終進化を成し遂げて、未来の知性体として生き残れるかの、過度期に立たされているからです。




●現代は「肉喰った報い」が現れている

 病気、事故、怪我、不和、不倫、争い、戦争と言ったこうした現象は、総べて「兇いメグリ」から起こる産物です。肉食をすれば、性腺を刺戟(しげき)して異常性欲が起こることは繰り替えし述べて来ましたが、現代の不倫や少年少女の不純異性行為は、総て肉食が原因であり、肉食をすれば「色が乱れる」というのは、肉(じし)喰った報いの「兇いメグリ」から、こうした現象が現れているのです。男女の乱れは、肉食に原因があるのです。

 肉食主義者が概して短命で、老化現象が早く起こるのは、内臓機能に障害が起こるからです。こうした障害の原因は、肉の分解によって生じた強酸類が、血液を酸毒化するからです。酸毒化された血液は代謝機能を根底から狂わせますから、その結果、性的な異常病的興奮や深刻な排泄機能障害を引き起こします。

 また血中の過剰な強酸類は、絶えず性腺(せいせん)を刺激しますから、異常な性的興奮が起こり、常に動物が四季を問わず発情しているような状態となります。こうした事が、早熟の原因であり、こうした早熟は、老化を早めるという現象を起こします。

 老化が早まりますと、心身共に頑張りが効かない躰(からだ)となり、更に老廃物の充満で、精神的にも肉体的にも疲労し易くなり、考え方も単純となります。そして思考的には、皮相的な物の見方しか出来なくなりますので、深層部で起こっていることに気付かなくなり、表面だけを見て「どうせ、この程度……」等と思い込んでしまいます。
 こうした安易な考え方が、お金を貰って誘われれば何処にでも蹤(つ)いて行く、あるいはフィーリングだけで安易に性交渉を持つと言う崩れた状態に陥って行きます。

 肉食を続ける限り、血は間違いなく汚れて行くのです。血が汚れれば病気を引き寄せ、精神的には霊的波調が低下し、霊的神性が曇らされます。そして、神性が曇らされたまま波調が低下しますから、その質は随分と粗末に、粗くなり、その粗さの隙(すき)を窺(うかが)って憑衣・憑霊現象が起こります。
 子宮筋腫や子宮癌、あるいは前立腺肥大症や睾丸癌や陰茎癌で苦しんでいる多くの中年層は、少年少女の時代、軽はずみにも、こうした早期の婚前交渉を重ねて行った人達でした。

 さて、肉食の弊害はこうした病的な異常性欲ばかりではありません。そうした人の精神にも襲い掛かって来るのです。その第一段階が生活習慣病と心身相関病です。
 こうした病気は一般には「不定愁訴」と言われるものですが、やがて憂鬱(ゆううつ)を伴って表面化して来ます。



●生活習慣病と心身相関病の自縛からの解消法

 食肉のみを滋養物として、日本固有の穀物菜食を度外視の人間の性情は、エゴイズムに代表される利己主義に趨(はし)ります。利己主義に趨りますと、生物一般に対する愛情が失われ、「愛する想念」は掻き消されてしまいます。こうした状態になりますと、ますます野獣のような欲望ばかりが増幅されて、性欲発散の為に異性や同性を求めて奔走が始まります。悪しき個人主義の実体は、ここに存在します。
 今日、不倫が激化し、不道徳や、少年犯罪の低年齢化が現れていますが、これは総べて肉食をして、その魂が穢(けが)された為に起った現象です。

 虎やライオンが獰猛(どうもう)な性格に至るのは、常に動物を食糧にしているからです。また獰猛でなければ、動物を捕らえて喰う等と言うことは出来ません。喰うから獰猛になり、獰猛になるから、またその血の味が忘れられずに捕らえて次を喰うという、輪廻の輪の順環の堂々巡りとなり、肉食獣的はこの輪廻の輪から一歩も抜け出すことが出来ません。

 逆に、草食動物である馬や牛は、人間に比べて巨大な体躯(たいく)を持ちながらも、その性格が温順なのは植物性のものを食糧にしているからであり、これは動物を食べず、草食あるいは穀食の影響の為です。

 こうした生物における自然現象を見てみても、肉食をする人間の心情は無慈悲になり、他人が死のうが斃(たお)れようが、無頓着で、自分以外の者を意に介さなくなります。自分のみの都合を計り、食と色の他に何の興味も示さなくなります。

 こうした人間が世の中を覆(おお)い尽くすようになると、世界は不平と不満で充満し始め、種々の喧(やかま)しき問題が表面化して行きます。

 また、ここの人間に於ては、霊的波調が低くなり、粗くなって、今まで感得できなかった低級霊達との交流が始まります。そうした霊は祓(はら)っても祓っても、自分自身が霊的波調を高揚して変化を齎(もたら)さない限り、永遠に憑(つ)き纏(まと)われます。悪霊の餌食になる理由は、食を乱した結果、血を汚したことが原因になっているのです。そしてこれは衰運に繋(つな)がり、結末は衰退であり横死(おうし)と言う非業(ひごう)の死を遂げる人が少なくないようです。
 横死は、事故や殺害等により、思い掛けない災難によって死ぬ、不慮の死の事です。

 さて、健康な方こそ、その発想が健全であり、「ひらめき」による創造力が豊かで、仕事、家庭円満、対人関係良好、そして輝く功績を多く残すことができます。
 しかし、こうしたことが頭で解っていても、多忙を極める日常生活の中で、実行となると中々容易ではありません。それはあなた自身に柵(しがらみ)として残る、これまでの「歪んだ知識」(暗い固定観念の残像)の誤りから来る先入観と、過去の暗い性癖(せいへき)と淫習(いんしゅう)が原因して、あなたを病的に、何処までも歪むませようと働きかけます。これが「宿業の根」です。

 そしてこの宿業の根は、あなたを腐らせる為に、性癖を加速させ、淫習(いんしゅう)を増幅させて、生活習慣病と心身相関病という、憂鬱(ゆううつ)な「不定愁訴」の形をとってあなたを襲い、苦しめます。

 不定愁訴とは、自律神経が病んだ状態で、明白な器質的疾患が見られないのに、様々な自覚症状を訴える状態を指します。これに深く絡んで、複雑にしているのが、食べ物(動物性食品)や飲み物(アルコールやコーヒーや多糖の刺戟を伴う清涼飲料水)や不規則な生活(昼と夜の逆転)に関連した生活習慣病であり、それが要因となって心身相関病(心と身体が二元論一次対極的に対立するのではなく、相互的に関係し一体化する病気)を合併させます。これが生活習慣病に霊的に絡み憑(つ)きます。これが憑衣現象です。

 この状態を放置すると、高血圧、高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、精神病、糖尿病等の現代の奇病に取り憑かれることになります。これは精神的に言っても、一種の自縛(じばく)状態で、これらから一日も早く解放されることが急務です。
 特に、憂鬱な日常が一ヵ月以上継続された場合、人間は忽(たちま)ちのうちに「神」しん/神とは精・気・神の三者構造のうちの頭部を指す)が冒され、精神分裂病という病気を招きます。

 私たち日本人の多くは、戦後生活様式や食文化が西欧化した為、西洋式を科学的で進んだ優れた社会、日本古来のものを旧式で、非科学的で、封建的で、迷信じみた遅れた社会と考え、これを排除する為に奔走した革命が明治維新であり、続いて太平洋戦争の敗北という形で終焉(しゅうえん)した戦後民主主義という、二つの革命で西欧化を実現しました。
 文化的にも、言語においても「横文字文化」の氾濫(はんらん)で、周囲は日本語の持つ『万葉集』に見られる大和言葉等の「美しい言霊」までもを失ってしまいました。

 更に、食文化においても、食生活の大半以上が洋食であり、食卓の上にはアメリカ国旗の星条旗や、フランス国旗の三色旗が、所狭しと並んでいます。ビーフステーキやハンバーガーやフライドポテト等々。はたまた調味料や香辛料の一切。その総てが欧米に由来しています。そして食生活体系が欧米化したため、日本人は食への慎(つつし)みを忘れてしまいました。

 昨今は不況でありながらも、日本人の食生活は未(いま)だに飽食の時代であり、世界の半分以上が飢えと戦っているという状況にありながら、日本人は食卓の上では贅沢(ぜいたく)と優雅さを競っています。昨今は、子供にまで飛び火した小児糖尿病は、こうした食の誤りから来る現実が起因しています。
 これは食を乱し、食への慎みを忘れた「報い」だと言えます。



●肉喰った報い

 特に動物性蛋白食品は、牛、豚、馬、羊、山羊、鯨……鶏、卵……大型高級魚の鮪、鯛、鮃、鰤……その他の魚介類の順に並び、哺乳動物に近いほど、人間の性(もって生れた性質や宿命)に近く、性が近いということは屠殺される場合、彼等は自分達を殺す人間に対して、恨みと怨念を残して殺されていきます。あなたは牛や豚が屠殺場(とさつじょう)に曳(ひ)かれていく悲しい姿を見たことがあるでしょうか?!

 彼等は人間以上に第六感(勘あるいは直感)が発達している為に、即座に殺されることを悟ります。屠殺(とさつ)直前に頭部に拳銃を向けられた時、大粒の涙を流します。こうした哺乳動物の命を奪われる瞬間の悲劇を忘れてはなりません。

 そしてこの悲劇は、食した者に、即不幸の影を投げかけます。
 動物性蛋白食品を摂取するとは、実はこうした悲劇的な犠牲の上に成り立ち、私達人間は彼等から「命を頂いている」ということになります。

 古来より洋の東西を問わず、ある国は祈りを捧げ、日本では食事をする前に両手を合わせて「頂きます」というのは、彼等から命を頂くから「頂きます」という言葉を、感謝の念とともに、食前に掛けるのです。しかしこうした風習も今は廃(すた)れ、何の感謝もなく、命を貪(むさぼ)っています。こうした無礼極まる日常生活において、運気は益々衰退していきます。殺された哺乳動物である彼等の怨念は、決して消える事がないからです。

上下の歯の構造

 そして人間の歯の構造は、成人で普通32本ですが、そのうち20本が臼歯といわれる「ウスバ」であり、これは穀物を噛み砕く為に遣(つか)われ、すり潰す為に遣われます。
 このことは、人間の人体構造が肉食をする構造には作られていないということです。
 また門歯と呼ばれる8本の歯(前歯)は、根菜や葉菜を包丁のように切る為に遣われるもので、残りの犬歯と呼ばれる4本の歯は、木の実などの固いものを食べる時に用いられる歯なのです。

 一部の学説の中で、この犬歯は肉食に適合する為に備わった歯と主張する学者がいますが、これは誤りで、犬歯についていえば、肉などの動物食を摂り過ぎると、この歯が必ず尖(とが)ってきて肉食動物のようになり、大きく鋭くなって、甚(はなは)だしい肉食家は門歯より長くなってしまった人もいます。そして、性格的には傲慢(ごうまん)で、怒りっぽく、好色家(肉食をすると異常性欲が起こり、早熟になる)で、常に好戦的で、喧華早く、獰猛な性格の一面を持ちます。
 こうした性格はやがて短命へと駆り立て、自らを粗末にして、自滅する運命を辿ります。これが「肉喰った報い」です。