大東新報



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●現世は穏微な集団の暗躍により、特定の意図を以て動かされている

 今日の世界動向は、ある意図を以て、穏微な集団の暗躍により、彼等の意図するままに動かされている。政治・経済・軍事の総てが、暗躍集団と複雑に絡み、歴史が搾取する側の意図で動かされている。

 社会構造あるいは歴史の流れを工学的に観(み)て行くと、何時の時代でも、世界の歴史は「支配階級」と「被支配階級」で構成されていたことが分かる。この構造を洞察すると、克明に瞭(あきらか)になることは、前者は圧倒的少数派(ひと握りのエリート)であり、後者は大多数派(底辺下層階級)に属し、しかもこの階級は無力である。

 そしてこうした構造が、中世を経て近代に至ると、少数派は政治に介入して強大な影響力を持ち、その影響力を以て国軍や警察機構を支配し、あるいは監視の眼として内部警察機構(秘密警察)を有し、しかも膨大な財力を以てあらゆる情報の実権を握り、これを加工し、コントロールして、底辺からは覗き見ることのできない堅固な組織体制を構築している。

 さて、人類の歴史の中には何が書かれているか。
 それは有史以来の人間の闘争であろう。歴史書には民族の紛争が上げられ、王朝の攻防が繰り返され、国家の浮沈が記載されている。そして歴史を根底から変化させるものは少数派に属する「人間の欲望」であった。

 支配階級は、その地位を保全するために新たな攻防を繰り広げ、また被支配階級はその立場を逆転させるためにしたたかな執念を燃やした。
 こうした攻防の繰り返しの根底には、やはり「人間の欲望」が大きな原動力となっている。

 歴史を振り返ると、民族間や国家間の紛争や闘争の裏には、こうした少数派に属する「人間の欲望」が見え隠れする。特に近代に至ると、欲望の中枢をなすものは地下資源であり、豊富な食糧であり、高価な貴金属や工業製品、そして豊富な労働力や饒(ゆた)かな領土であった。

 少数派の欲望が既存の支配領域で満足できない場合、長い時間を掛け、政治的折衝でこれを手に入れるという行動よりは、専(もっぱ)ら手っ取り早い、しかも効率的な、軍事力の行使でこれを手に入れようとした。
 差し詰め、植民地主義や帝国主義はこうした、少数派である支配階級の欲望を、拡散・膨張させたものではなかったか。

 世界人類の階級区分は、繰り返すが、少数派の支配階級と、大多数派の被支配階級とに別けられる。こうした区分が明確になり始めたのは凡そ、十七世紀後半の、地上に貨幣経済が盛んになり始めた頃からであった。そして十八世紀、イギリスで起こった産業革命に絡み、西洋列強は競って植民地主義や帝国主義の幕開けを宣言し、これが十九世紀に至ると、最高頂に達した。

 十七世紀以降の主な世界的事件を上げると、次のようになる。

1517年……マルチン・ルターが95ヵ条の論題を提出して教皇の贖宥(しょくゆう)(免罪符)販売を攻撃し、人は功績によらず信仰のみによって救われると主張し、聖書を正しい信仰の唯一の基礎とする立場から教皇権を否認したことが導火線となって、全ヨーロッパをその運動にまきこみ、宗派分裂時代の幕を開いた。裏側では1534年に結成し、40年にローマ教皇の公認を得た修道会「イエズス会」がこれを企て、暗躍したとも。表向きは反宗教改革の先頭に立ったとされるが……。日本にも同会士ザビエルらが渡来したことで有名。

1649年……クロムウェル宗改革(「聖書に帰れ」と題したローマカトリックへの反逆運動)であり、キリスト教否定運動。ヨーロッパ近世の初頭、ローマ・カトリック教会の弊害に対して改革を企て、これから分離してプロテスタント教会を立てた宗教運動。

1652年……オランダ・イギリス戦争勃発

1688年……名誉革命(後の89年の『権利の章典』に続く)

1689年……ウィリアム王の戦い

1702年……アン女王戦争

1717年……フリーメーソン国家建設石屋の仕組の取り掛かり。世界は思索的フリーメーソンSpeculative Masonによって動かされ始める)

1762年……ルソーの『社会契約論』発表(啓蒙思想の普及)

1776年……ワット蒸気機関を発明(産業革命の始まり)

1776年……イルミナティ設立(南ドイツ・バヴァリアのインゴールシュタット大学・法学部教授であったアダム・ヴァイスハプトによって組織された啓蒙活動をする秘密結社)

1776年……米国独立戦争(一種の米国革命戦争。フリーメーソンの打ち込んだ米国大陸への楔。米国は傀儡国家となる)

1789年……フランス革命当初、ラ・ファイエットらの動議に基づき、憲法制定議会を裁決。そして十七条からなる『人権宣言』を発表。自由、平等、人民主権など

1789年……フランス革命(ブルボン王朝の崩壊)

1791年……モーツァルト死去。イルミナティメンバーであったモーツァルトは、『魔笛』の中で、イルミナティ的信条と内情を露骨に表現したために暗殺された。イルミナティメンバーとしては、ゲーテや著名な哲学者ヘルダー、ベートーベンの師匠クリスチャン・ネーフェらもいて、その他、カトリック教会の背信的な聖職者、貴族、王子、学者、役人、裁判官など、この時の著名人は2000名以上を超えていた。

1804年……ナポレオンが皇帝となる

1806年……ナポレオン一世のベルリン勅令。神聖ローマ帝国の滅亡。

1812年……英米戦争(米国が英国に宣戦布告)

1813年……ライプツィッヒ諸国民の紛争。連合軍はナポレオンを敗る。

1815年……ワーテルローの会戦(ロスチャイルドはこの会戦において、天文学的といわれる巨額な利益を取得)

1818年……マルクスの科学的社会主義と唯物弁証法

1823年……米国、モンロー主義宣言(欧米両大陸の相互不干渉を主張する、米合衆国の外交政策の原則で、ヨーロッパ諸国の米国大陸への干渉を排撃。孤立主義路線の原則となった)

1829年……英国カトリック教徒解放令

1840年……阿片戦争勃発

1848年……マルクス、エンゲルスの共産党宣言

1859年……チャールズ・ダーウィン(アシュケナジー・ユダヤ人)の『種の起源』発表(生存競争による適者生存と自然淘汰の思想。後にスペンサーの社会ダーウィニズムに発展)人類は猿から進化したものとするこの説は、最初からデッチ上である。類人猿と人類の先祖が、クロマニヨン人と結び付けるはずの「ミッシング・リング」など、初めから存在しないものであった。

1861年……米国南北戦争勃発

1863年……米国奴隷解放宣言

1967年……土佐藩郷士・坂本龍馬(フリーメーソン高級会員)暗殺、同・中岡慎太郎暗殺(両名は、長崎グラバー邸の持ち主でフリーメーソン武器商人であったトーマス・ブレーク・グラバーの日本支社長の許で、海援隊と陸援隊を組織し、武器販売を商としていた。特に坂本龍馬の亀山社中は有名。両名はフリーメーソンの内情を知りすぎたために、刺客の暗殺される)

1868年……明治維新(フリーメーソンの仕掛けた革命戦争)

1869年……米国大陸横断鉄道開通

1870年……プロイセン・フランス戦争

1872年……福沢諭吉(フリーメーソン)の『学問のススメ』第一版発行。

1873年……森有礼(フリーメーソン)が社長になって「明六社」(創設年代が明治六年に由来する)が創設。高級社員として福沢諭吉が筆頭に上がり、中村正直、西村茂樹、津田真道(つだまさみち)、西周(にしあまね)、神田孝平、箕作麟祥(みのつくりりんしょう)、加藤弘之らが加わり、翌年には『明六雑誌』が刊行され、啓蒙運動が盛んになる。

1877年……西南戦争勃発。明治10年の西郷隆盛らの反乱。明治政府に対する不平士族の最大かつ最後の反乱で、隆盛が「征韓論」に敗れて官職を辞し鹿児島に設立した私学校の生徒が中心となって2月に挙兵、熊本城を攻略できないうちに政府軍の反撃にあって敗退。9月西郷が自刃。鹿児島では「ユッタ衆」といわれるフリーメーソンの仕業であると考えられ、ユッタ衆の存在を知り、しかも敵対していた西郷は、口封じのために征韓論者にされて歴史から葬り去られた。

1894年……日清戦争勃発

1904年……日露戦争勃発

1914年……第一次世界大戦勃発(6月28日、サラエボでオーストリア皇太子フェルディナンド夫妻がセルビア人によって射殺される。暗殺を実行したのはセルビア人のカブリノウィツで、暗殺計画を立案したのはカジミロウィッツで両名ともフリーメーソン社員で、フリーメーソン組織「大東社」(グラントリアン)がこれを決定)

1917年……ロシア革命(ロマノフ王朝の崩壊)レーニンによるソビエト連邦樹立

1929年……ウォール街の株式大暴落。(世界大恐慌の始まり。この巧妙な演出により、ロックフェラー、モルガン、クーン、ロエブ財閥による米国支配のスタート)

1931年……昭和6年9月、満州事変勃発

1931年……ドル買い事件(日本政府の金輸出再禁止を見越した財閥系銀行・会社がドル貨証券の買入れに狂奔した事件。同年12月犬養内閣により金輸出再禁止措置がとられ、ドル買い側は巨利を得た)

1932年……ナチス(国民社会主義ドイツ労働党)が第一党に躍り出る。

1933年……独国第三帝国樹立。ヒトラー首相に就任

1937年……日中戦争勃発

1939年……ノモンハン事件(中国東北部の北西辺、モンゴル国との国境に近いハルハ河畔の地。1939年5月から9月中頃まで、日ソ両軍が国境紛争で交戦、日本軍が大敗を喫した。裏でスターリンを操ったのはロスチャイルドである)

1939年……第二次世界大戦勃発(世界ユダヤ革命)

1941年……太平洋戦争開始(米大統領ルーズベルトの日本への挑発。日本ユダヤ革命)

1942年……連合国共同宣言が米国・英国・ソ連など26ヵ国により発表され、大西洋憲章の原則を確認した国々は連合軍となる。

1943年……イタリア、連合軍に降伏

1945年……2月ヤルタ会談、4月サンフランシスコ会議、5月ドイツ降伏、7月ポツダム会談、8月東西ドイツ分断、8月15日日本降伏(大日本帝国の崩壊)、北方領土がソ連に占拠、南北朝鮮分断、10月国際軍事裁判開廷。日本の戦後は親米政権によって成立し、幣原喜重郎、吉田茂らの日本保守政治かが活躍する。自由民主党単独政権38年間の石杖はこの時に、莫大な資産を抱えた児玉誉士夫とともに成立する。

1946年……東京裁判開廷

1948年……ユダヤ国家確立。シオニズム運動の結果パレスチナに流入したユダヤ人がイスラエル共和国を樹立、5月第一次中東戦争勃発1948年イギリスの委任統治終了とともに建設した共和国。この国家の存在は、以降の歴史において中東紛争の中で焦点となっている。首都はエルサレムだが国際的には未承認)。この国家の確立はそのまま世界政府樹立へとつながる。

1949年……中華人民共和国樹立

1950年……朝鮮戦争勃発

1956年……10月第二次中東戦争勃発、スエズ戦争勃発

1960年……ベルリンの壁敷設(東西冷戦の意図的激化。冷戦構造の強化により、軍拡競争が起こり米ソによる世界支配のスタート。政治的主導権であるアメリカヘゲモニー確立)

1960年……南ヴェトナム解放民族戦線が結成

1964年……フルシチョフ首相失脚

1967年……6月第三次中東戦争勃発

1971年……ドルショック(スミソニアン体制の開始)

1973年……米軍は南ベトナムから撤兵

1974年……10月第四次中東戦争勃発、第一次オイルショック

1975年……ヴェトナム共和国は崩壊

1976年……南北ヴェトナムは統一して、ヴェトナム社会主義共和国が樹立

1978年……第二次オイルショック(イラン革命/ホメイニらを指導者として1978年に勃発し翌年にパフレヴィー王朝を倒した革命。イラン・イスラム共和国が成立)

1979年……ソ連、アフガンに侵攻

1980年……レーガン政権成立(レーガノミックス/小さな政府と軍備増強を主張、また冷戦終結に関与)、イラン・イラク戦争勃発

1985年……プラザ合意ニュー・ヨークのプラザ‐ホテルで開催された先進5ヵ国蔵相会議における合意事項。アメリカの貿易赤字を縮小するため、各国の協調介入によるドル高是正と、日本など黒字国の内需拡大などを内容とする)、ソ連のゴルバチョフ体制開始(ソ連崩壊の指示)

1987年……ブラック・マンデー

1989年……天安門広場事件、東欧諸国の激動期

1990年……米ソのマルタ会談、湾岸戦争勃発(イラクのクウェート侵攻)、日本株式の大暴落(バブル経済の崩壊/バブル経済を工作した影の勢力による、平成バブルを築いた日本企業の買い占めの策謀の暴露)

1991年……東西ドイツ統一

1992年……ソ連崩壊(ロシア共和国並びにウクライナ共和国の独立)、EC市場統合、国際平和維持活動(PKO)。日本への経済戦争と不況の演出、ドイツのEC融合、中国の民主化、アラブの無力化、ロシア連邦のコントロールなどが確立。

1993年……東京サミット、EU(ヨーロッパ連合)の成立

1995年……阪神・淡路大震災(自然淘汰の原理というが……。活断層域の海底に打ち込まれたミサイルで人工地震の疑いもある?)

2001年……9月世界貿易センタービル爆破

 以上の歴史は疑いようもなく、十七世紀後半から一つの脈流にしたがって、人工的に、しかも意図的に導かれてきた観が否めない。歴史はまさに少数派の特定の目的を以って、支配階級が工作し形成してきたといっても過言ではない。したがってこうした歴史構造を「自然発生的」な自然体と見るのは余りにも短見的なのだ。

 歴史が動く原動力は「人間の欲望」である。古代から現代に至る迄の戦争の歴史は、これを明らかにしている。
 例えば歴史を「工学的」に洞察すると、一つの民族や国家・王朝が、敵対する他のどの勢力よりも強大である場合、世界地図の塗替えは圧倒的に強大国家の方に塗替えられた。そして想像を絶する広大な領土がひと握りの支配階級の手中に治められた。

 ユーラシア大陸を見てみても、マケドニア、ペルシャ、サラセン、蒙古などがそれであり、これが自然体である限り、民族や国家・王朝の栄枯盛衰はまた自然の摂理にほかならなかった。

 ところが十七世紀後半から、こうした自然体を無視して、一種独特な動きをし始めたことが分かる。
 この当時の世界の動向は、中世からブルジョア革命に至る過度期であった。そして米国建国、フランス革命、第一次世界大戦、日露戦争、ロシア革命、第二次世界大戦、ベトナム戦争、湾岸戦争へと続く。この脈流構造を探究すると、その後に続く戦争を含む、総ての現代史が、一つの方向に向かって、導かれている疑いが強くなる。

 そうした目的の背後には、究極の姿として、イルミナティやフリーメーソンが目論む「世界統一政府」の青写真があり、この青写真の構想に従い、あらゆる民族や国家を巻き込んで、支配体制のひと握りのエリートのための世界を作り上げる意図が浮かび上がってくる。

 今日の世界は白人主導型で運営されている。この運営のもと、二つの大きな大戦を人類が経験した。またこの間、同じ白人国家でありながら、西欧資本主義とは極端に対峙する社会主義国家「ソビエト」が誕生した。

 こうした構図を歴史的に凝視すると、そこにはある一本のシナリオで描かれた作為がハッキリと浮かび上がってくるのである。この作為の根源こそ、今日の巨大な金融勢力を作り上げた「国際金融資本」である。彼等はひと握りのエリートで構成され、ロスチャイルドを頂点とする巨大金融財閥で、宗教や思想や政治をコントロールし、金融を以て、戦争までもを支配し、司令塔よりの命令で世界を運営してきたのである。

 さて、われわれはこうした意図的な世界運営の事実を知ろうが知るまいが、人各々に人生は全(まっと)う出来る。しかし「知らずにいる」ことは、明日の民族の、人類の未来を失うことである。

 何故ならば、「世界統一政府樹立」は「ワン・ワールド」の意味であり、「一つになった世界を少数派のユダヤエリートによって、大多数派の人間を支配し、コントロールするばかりか、家畜化、動物化する」ことが目的なのである。この家畜化・動物化はユダヤ教の経典『タルムード』のいうところの「ゴイム(豚)」であり、大多数の被支配階級を管理し、監視する政治体制を作り上げることなのである。

 彼等「国際金融資本」は様々な分野を駆使して、マスコミを操縦し、政治中枢を支配して、その巧妙な仕掛けを以て世界の大半を手中に収めている。権力並びに支配権を確立して、地球は彼等によって永遠に統治されるような縮図ができ上がっている。

 最早こうなれば、底辺に位置する大多数派の庶民層は、永遠に人権が奪われ、奴隷化の道を余儀なくされるであろう。そして一度こうした世界が誕生すると、その強大な軍隊と、内部警察機構の監視により、こうした世界に変革を求めようと、これを潰すことは不可能に近くなり、大多数派は家畜化、動物化の、人間としては絶望的な未来しか与えられなくなるであろう。

 管理体制が強化され、監視体制が水も漏らさぬ電子制御でコントロールされるとき、大多数派は総背番号を振り分けられることにより、人々は階級化され、機能化されて、まさに『タルムード』のいうところの「ゴイム」となるであろう。

 そして何よりも忘れてもならないことは、民主主義は社会機構の中で卓ぐれた機能を持っているが、この政治システムは、国民が「愚民」であるばあるほど「悪魔の道具」となりうる危険性を持っているのである。

 今、国民の関心は、観戦スポーツであり、芸能・娯楽情報であり、あるいは風俗情報や、パチンコを始めとして競輪・競馬・競艇などの小ギャンブルであり、日本人の間には無智と事なかれ主義が蔓延している。そのために自分自身と政治は無関係、という考え方が大半を占め、昨今は未曾有の失業率の増加を記録している。
 一体こうした現実は、日本人に何を暗示しようとしているのか、われわれは今こそ真剣に、一方方向のみに流される脈流の流れを変革しなければならない。

 今、われわれが認識しなければならないことは、歴史は自然体によって動いて居る事ではないということである。
 革命や戦争は、それが大規模なものであるほど、自然発生的に、偶発的に起こるものではないということである。何らなの意図をもって、ひと握りのエリートの画策による、作成されたシナリオによってこれが演出されるのである。

 表面では「正義」「自由」「解放」などの美辞麗句を掲げているが、これはマスコミを巧妙に駆使して大衆を扇動しつつ、ひと握りのエリートの画策を成功させるために欺瞞の行為であり、悪名名高いヒトラー自身「戦争とは欺瞞であり、策略であり、詐欺である」と述べているのだ。



●資本主義崩壊の道

 現代社会は多くの情報に撹乱されている。しかしこれ等の情報の多くは、その実体がお粗末な限りで、どの情報も、加工され、あらかじめ下処理されて、浅薄な俗見が事務的な一本調子で繰り替えされている。差し詰め、テレビなどはこの最たるものと言えよう。

 特に冷静な洞察力を要する国際問題を、根拠なき愚かな、自身の私感に基づく感情論で、知力程度の低いアナウンサーが、裏で操る指示者通りの言動は、まさに国民にとっては大きな弊害である。
 これは平成13年9月11日に起った米国同時テロ事件の解説に、その浅はかな、しかも浅薄な俗見を見て取る事が出来る。

 さて歴史を工学的構造で観て行くと、人類の歴史にはある一種の年代周期や、時代法則が存在する事が分かる。古代の人類は運命共同体としての共棲から始まった。彼等は集落を造り、氷河期当初においては原始共産主義の形態がなされ、際立った貧富の差はなかった。

 しかしここに一人の権力者が現われ、支配階級と被支配階級の格差が次第に大きくなると、武力の行使を以て他部族を柔躙する事件が起きた。いわゆるこれが、武力で他を圧する「力の支配」つまり「武人の時代」である。

 そして武人の時代によって統制された時代が終焉を向かえると、次は金持が猛威を振るい、彼等は特権階級としてマネーで支配階級にのし上がった。これまでの欧米の大富豪の金銭至上主義を考えれば、その猛威がどれほど凄まじかったか容易に想像がつこう。これが「富者の時代」だ。

 しかし富者の時代も一頃に加えてその威力が失われ、資本主義市場経済の大本尊である米国資本主義国家の屋台骨はぐらつき始めた。確実に資本主義は崩壊の方向に向かって動き始めているのである。

 同年13年9月11日、米国ニューヨーク市のマンハッタン島にある、国際金融の中枢を司る世界貿易センタービルが爆破された。その衝撃はあらゆる方面に波及した。

 このマンハッタン島はハドソン川の河口に位置し、ここには国連本部やウォール街、ブロードウェーやセントラル‐パークなどがある。こうした米国の経済の顔ともいうべき金融の中枢が同時テロ(イスラム原理主義の極左テロリスト集団の犯行と称され、その背後にはオサマ・ビン・ラディン氏が居たと言う。氏はサウジアラビアの大富豪の家に生まれ、その莫大な資金を使ってこれまで数々のテロ活動を指示したと言われるが、その根拠は定かでないし、特に富豪出身と言っているのは眉唾物であろう)によって破壊されたのである。

 これは米国に昏い影を投げかけ、資本主義崩壊を暗示するものであった。その他、ワシントン郊外のペンタゴン(米国国防総省)にも一機の旅客が突入した。
 これをジャーナリスト達や米国有識者は「神風」と言って憚らず、日本赤軍の示唆によるものと決めつける節も少なくなかった。米国はこの日、金融経済の象徴である世界貿易センタービルと武力の象徴であるペンタゴンに同時テロを受けたものであった。

 またこの事件は、日本の経済活動を根底から震憾させるものであった。不良債権に苦慮する銀行の含み損を更に拡大させ、企業の設備投資を悉々く停止させるものであったからだ。こうした悪材料になる経済諸悪が、日本の近未来に大きな翳りを投げかけ、今、日本はその自覚症状のないまま、資本主義崩壊の道を歩こうとしているのだ。

 では資本主義は、何故崩壊の道を辿るのか。それはこの資本主義メカニズムの中に生きる人間の「格」と「知的レベル」と無関係ではなかった。
 資本主義市場経済について、あるいは民主主義について、多くの人々が見逃した事柄は、このメカニズムを持つ社会構造は、社会を構成する各個人の人格や知的レベル、それに倫理的・道徳的水準が極めて高くなければ、正しく機能しない社会システムであることであった。極端にいえば、社会を構成する約九割の人々が哲学者的な頭脳にならない限り、このシステムは正常に機能しないということなのだ。

 個々の人間が、その習性の本質から変わらなければ、資本主義も民主主義も正しく機能しないシステムなのだ。
 資本主義を謳歌し、民主主義を唱える多くの賛同者は、この一面を見落としていたのである。

 もともと資本主義の枠組に置かれた資源の有効配分は、一部のひと握がその恩恵に預かるだけに止まった。下々にはその恩恵が回ってこなかった。その結果、資本主義を律し、経済活動における利益配分の動悸は、拝金主義者、金銭至上主義者の金銭欲に対する、人間の快楽や欲望に結び付いて、この範疇から抜け出し、人類を哲人の域にまで押し上げる結果には至らなかった。

 ただ快適で、便利で、豊かな物質的恩恵を、人々は享受するに至っただけで、多くの資源の有効配分は一部のひと握りの大富豪にだけ齎されたのであった。
 逆に発展途上国や後進国は、資本主義の恩恵を充分満喫することが出来なかった。依然として国民の多くは貧困に喘いでいた。

 一方で飽食の限りが繰り返されて、グルメを気取り、舌鼓を打っている国があるかと思うと、貧困の極みにあって食糧不足に困窮し、生まれては死ぬという短い周期で、人の生き死にが繰り返されている国もあった。東南アジアの一部やアフリカでは今も飢餓に悩まされている。

 そして特に、中東地域のイスラム教世界では、資本主義市場経済の先進国に対する憎悪の念は激しく、パレスチナ地域はその憎悪を一段と募らせる地域である。
 彼等の悲願は、米国の援助で傲慢に闊歩し、傲慢を売り物にして国家を維持している宿敵・イスラエルを血祭りの槍玉に挙げることである。
 1948年、シオニズム運動の結果パレスチナに流入したユダヤ人が建国したこの共和国は中東地域の禍根であった。世界の戦争の火種の発信地はこの共和国なのだ。

 こうした現実を踏まえると、10%の、金によって得られた豊かさを満喫する国家に対し、90%の飢餓に苦しむ国家の憎悪がストレートに反応して、豊かな国に憎悪の怨念を投げかけるのである。これが資本主義の崩壊の心情的要因である。
 したがって資本主義は間違いなく崩壊するのだ。

 さて世界貿易センタービル爆破事件は、金融経済に大きな衝撃を齎した。午前9時頃、南北に並んだ同ビルが、同時テロで爆破され、この日のニューヨーク株式市場ならびにナスダックは、11日と12日に一時市場を停止した。

 そして米国経済に関連を持つ日本の東証株価は、17年振りに1万円の大台を割り込み、9月12日の株価は9610.10円で682.85円の今年一番の安値であった。
 更にTOPIX(東証平均株価指数)は、990.80ポイントで前回よりもマイナス67.32po 32ポイントを下げた。株価は続落の傾向にあった。
 その下落傾向の中で、東証一部12日の株価を辛うじて引き揚げたのは帝石やアラ石のような石油株の一銘柄だけであった。

 これは石油の産地・中東を懸念しての近未来予想の観測からであった。こうした絡みは、おそらく資本主義崩壊に益々拍車を掛けていくことであろう。現に世界の政治、軍事、経済を牛耳る米国はその機能を失い、混乱に至っている。この混乱の最たるものが世界銀行総裁会議の中止であろう。

 これまで日本も米国の傘下で金融重視の経済政策を展開させて来たが、ニューヨークとワシントンが同時テロによってその機能を失った事から、米国に対する価値観も失墜していく事であろう。この失墜を反映して現にEUではドルが売られ、ユーロが買われるという逆転現象が起っている。
 そしてFRB(連銀)はこれに対抗する為、大幅な金融緩和とドル拡大策を打ち出したのである。これはまさに資本主義崩壊の暗示ではないか。

 では資本主義が崩壊した後の、ポスト資本主義は何か。
 次に現われるのは知識階級による時代の統制であろう。管理された社会秩序と言い替えてもいい。

 曾てカール・マルクスは、そのユダヤ的発想によって資本主義の「搾取」を非難し、社会主義における計画経済の桃源郷をマルクス・レーニン主義に寄せて、露国などの東欧で実行する切っ掛けを作った。そしてその根は今も生存している。
 世界各地の至る所で起こる同時テロは、この革命分子の根が耐えていないことを如実に物語っている。

 次に訪れる時代は、社会主義を歓迎し、今までの社会主義を更に科学的に探究し、研究して、その変形をなした高度社会主義が戦争の火種の中、やがてそれが発火して大きな産声を上げるであろう。
 この高度社会主義をリードする進化した人間こそ、「知者の時代」を統制するひと握りの階層なのだ。つまり司令塔としての中央集権制度の機能を持つ共産党本部のようなものである。社会全体がこの司令塔によって科学的にコントロールされ、管理されて、一党独裁による世界新秩序が幕開けするのである。

 この時、日本も例外ではないのである。革命の舞台は、何も中東に限った地域ではないのである。日本は日米安保条約によって多くの米軍基地を要している。ここが攻撃され、革命の舞台になるかも知れないのだ。

 日本にはシンパサイダー(sympathizer)といわれる、共産主義に同情的な進歩的文化人が多く、彼等は直接共産主義運動に参加はしないがそれを支持し、援助する人たちであり、マスコミ界や有識者と称する知識階級に多く存在している。
 こういう知識層が、曾ての日本赤軍といわれた革命家と迎合して共同戦線を張れば、一度は崩壊したはずのマルクス・レーニン主義が今度は、高度社会主義に姿を変えて復活するのである。その上、日本は朝鮮半島を背中に背負い、その背後には中国が控えているのである。革命の戦場になり易い要素は充分に備わっているのである。

 私達日本人は、こうした事の配慮も必要であり、これについて議論しあう姿勢が必要ではあるまいか。



●現代情報戦の開幕

 太平洋戦争が始まる開戦直後、陸海軍情報部は、某商社の商社員を軍属に招き入れ、中国南東部から東南アジアの麻薬地帯を詳しく調査する部門を設けていた。この部門で働く軍属は商社員という名目で東南アジアに飛び、麻薬地帯からの麻薬取引が中心であった。
 一般に国家や政府機関は、公正に物事の善悪を判定し、正義の名の下に、公平に運営されていると信じられている。

 しかし各々の国々は、その国家生き残りに於て、各々の犯罪組織や秘密結社と深く関わり合いを持ち、諜報活動の触覚網を張り巡らし、これは多くの国民の預かり知らぬ所で、ドロドロとした水面下の戦いを演じている。今日の我が国では、内閣調査室と下部機関の警察や自衛隊や外務省の一部がこれを担当している。

 これは戦前・戦中から引き継がれた裏側の秘密組織であり、現在も変わるところがない。これから先も、これらの機関は水面下で益々熾烈な戦いを演じていく事であろう。

 さて、現代の戦争は一種の情報戦である。そしてこの情報戦の裏側で、麻薬と色仕掛けと買収という欲望の粋が集められ、この世界では極めて常識的な考え方になっている。

 この考え方は太平洋戦争勃発直前頃に、確固とした国家ビジョンに組み入れられて発足し、CIAの前身であるOSS(アメリカ情報局・戦略事務局)が世界に先駆けて、情報戦略を開始した。
 OSSは中国南東部の麻薬組織や秘密結社と、日中戦争当時盛んに接触を開始し、また麻薬の原産地である東南アジアのデルタ地帯等の調査にあたり、運搬ルート等を研究した。

 特にラオス、タイ北部、ミャンマーを結ぶ通称「黄金の三角地帯」は、現在でも世界の阿片の70パーセントを生産する原産地として知られている。

 過去も現在も、日本に持ち込まれる麻薬の多くは、ストレートに東南アジアから持ち込まれるものは少なく、戦前・戦中は上海経由で軍の機密物資として持ち込まれ、戦後はロサンゼルス経由で広域暴力団によって持ち込まれるというのが主流である。
 戦前・戦中を通じて、上海にはOSSと接触をしたといわれる児玉機関が麻薬取引の総窓口を行っていた。児玉機関の総帥・児玉誉士夫はOSSから操られ、大量の麻薬を日本の犯罪組織に売り捌き、巨万の富をなした人物である。

 児玉は一見すると、極右の過激国家主義者ように映る。しかし当時は、日本やくざのリーダー的役割を演じたに過ぎなかった。

 戦前から、賭博や売春、麻薬や人身売買で、自前の資金を蓄えていた児玉は、その資金力に物を言わせて上海にある「新アジアホテル」に、麻薬調達のための本拠地を置いた。これを「児玉機関」と称した。

 また陸軍軍閥の一部と結び付き、特に関東軍参謀河本大作大佐らと結託し、日本軍の機密情報を入手してこれをOSSに売渡し、それと引き替えに彼等から大量の麻薬(特に阿片)を仕入れた。
 当時の中国大陸における日本軍の極秘機密情報は、既にアメリカ合衆国の情報局で分析され、日本の戦力情報は筒抜けであった。

 当時の情報の筒抜けに、日本外務省の紫暗号の情報筒抜け事件があり、これはよく知られているが、上海の児玉機関から関東軍の極秘情報の漏洩事件はあまり知られていない。児玉機関は大量の麻薬と引き替えに、日本の情報をアメリカに売っていたのである。これを偽装するために、児玉は極右の過激国家主義者を装ったに過ぎなかった。

 この情報の漏洩はアメリカだけでなく、ソヴィエトにも吉報を齎した。太平洋戦争末期のソヴィエトの参戦に決意させたのも、この児玉機関がアメリカに売った情報から、ソビエトに提供されたものであった。
 また児玉は、不法的な手段だけではなく、暴力的な手段で手に入れた、通貨や金塊や銃等の商品を引き替えにして、陸軍の特権階級の座にのし上がる事になる。

 当時、上海に特務機関の出張所として根を下ろしていた「上海事務所」に、運営資金を提供したり、上海憲兵隊司令部の後ろ楯を以て、特権の猛威を振るい、1940年頃には、麻薬から上がる利益が日本軍の軍事行動の活動資金に遣われていた。この事実を掴んだのは、アメリカ人ジャーナリストであるマーク・ゲインだった。

 ロッキード事件の禍根は既にこの時に始まっているのである。児玉はアメリカの情報部と結び付くばかりでなく、こうした軍需産業(今日の軍産複合体)にも積極的に結びついていったのである。
 これ等の機関は、また麻薬でコントロールされる事でも有名である。だから児玉は、世界共通通貨の代用である大量の麻薬が必要であったのだ。そして傀儡国家と称された満州国は麻薬でコントロールされた国家であった。

 満州国皇帝を始めとする、愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ/1932年、日本軍部に擁せられ満州国の執政、34年皇帝)とその一族並びに取り巻きの大臣達は、曾てのイギリスが仕掛けた阿片窟さながらの地獄の様相を呈し、関東軍とそれに寄生する特権階級達に踊らされていたのである。

 当時の児玉への麻薬提供者は、CIAの前身であったアメリカ情報局のOSSであり、彼等は児玉に麻薬を提供する事を引き替えに、日本の極秘情報を児玉を通じて盗み出し、対日本戦に備えて、着々と準備をしていたのである。

 アメリカ情報局は児玉機関を麻薬で操り、太平洋戦争勃発の機会を窺っていたのである。
 そして日本海軍の連合艦隊司令長官・山本五十六大将は、アメリカ合衆国第32代大統領で、フリーメーソンの最高位階(三十三位階)に君臨するルーズベルの意向を受けて、航空機で真珠湾を奇襲する作戦を立て、陸海両方から、日本の袋叩きの構図を作り上げるのである。

 ちなみに山本五十六は、フリーメーソンの高級メンバーであり、児玉誉士夫は戦後ロッキード社の代理人になって、戦後、韓国にロッキード社製品を売り込んだ、統一教会代表の文鮮明配下の高級会員であった。
 そして戦後、麻薬によって巨万の富を気付いた児玉誉士夫は、その巨額な金を投じて、戦後の日本の特権階級の象徴・自由民主党を創設したのである。

 1955年から1993年までの38年間の長きに亙って、保守政権を担当したのは自由民主党であった。この長きに亙る特権階級の巣窟を養ったのは、児玉が麻薬で儲けた巨額な軍資金であった。
 第二次世界大戦での敗北で、議会制民主主義へと表面上の様相を転換させた日本は、CIAの援助を以て、政権を長い間担当したという事はあまり知られていない。

 児玉誉士夫によって創設された自民党は、アメリカ情報局の援助を受けながら、事実上一党独裁体制の政治を実行して来た。

 しかしどんな国でも同じであるが、長い間、一党独裁体制が敷かれ、一党が国民不在をいい事に、長い間その上に胡座をかくと、国家は自然と崩壊の方向に向かうのは自然の摂理として、しごく当然の事である。
 これは政治決定における頑迷な保守主義的保身政策が、固執の方向に向かうと、政治は新鮮さを失い、腐敗や転落の方向に向かうという、自然の摂理をあらわした当然の成り行きといえよう。
 また、政治も経済も、自然が包含する、生き物の一つであるからだ。



●「神」の発明

 人類の発明の一つに、西欧風の一神教の守護神「神」がある。これは東洋で云う、八百万の神とは異なる。一つの宗教、一つ神を礼拝し、崇める事で、この契約は成立する。

 欧米人の多くは、神の事を引き合いに出し、これを好んで使う民族である。神を真理だとか、正義だとは呼びたがる。しかし彼等の口から発する神は、真理でもなく、正義でもなく、また神自体ですらないのだ。

 この神は宮殿としての大寺院に鎮座し、巨大な権威によって運営され、神という人間の傭兵が、莫大な寄附と尊崇とを引き替えにして、引受るべき役割を、真理と正義の名において、他を威圧し強奪した、狡猾な神であった。キリスト教が過去の歴史において、如何に人間の血を求めて来たか、歴史を見れば一目瞭然である。

 友愛団体。それは儀式と誓約と、勇気を試されて初めて入団が許可される秘密結社である。この秘密結社の形式を模倣する団体は多い。殊に新興宗教はこの形式を悉々く模倣し、洗脳法や教義もその儘真似て宗教ビジネスの基本形を成している。

 今日においても、二、三の宗教法人を除いて、その実態は欲に絡んだ金儲けであり、その原動力は布教や信仰活動の折伏という、人を以て、人を寝返らせる手段を講じるのである。

 では何故、神から神へと乗り移れるのか、それは日本人の性格がそうさせるのである。日本人の心の中には、元々神も仏も存在しないのだ。世界の民族にあって、日本人ほど多神教者であり、その癖、神など信じない民族は世界にも類がないである。

 そもそも世界人類の大半は、宗教等どうでもいいと思っているのが実情だ。年代が下がれば下がるほど、この人口層は増す。彼等にとって、所詮他人事なのだ。

 だが病気で苦しみ、貧困に喘ぎ、心が毒されて来ると新興宗教の餌食となる。そして日本で最も流行している新興宗教の基本形は、他宗から一人の折伏者を出せば、その教団に位置する地位は上がるという事が約束されている。

 多くの新興宗教は、教祖が信者を獲得するための手段として、教祖自身のカリスマ性になびかせる事が少なくない。また教祖の個性が、その儘売り物になる。その個性とは、多くの場合、取り巻の演出と、教祖自身の役者性の才能の有無にかかっている。そのため、教祖は突然サンスクリット語で喋り始めたり、あるいは宇宙語と称する、一般にはその判別のしにくい巧妙な小細工で、信者予備軍を引きずり込もうとする。

 引きずり込んだ後は、各段階の洗脳が待ち構えていて、ワン・ディ、ツー・ディ、スリー・デイと云った洗脳の段階に進み、これをクリアーした時点で、麻薬による悦楽とセックスが待ち構えている。この両者を使わない新興宗教は僅か一部を除いて存在しない。

 夫婦者であれば、その妻は他の夫婦者の良人に仕え、また良人は他の夫婦者の妻に仕える。教団はその組み合わせをコントロールし、新しい女、新しい男に夫婦交換を行って、新たな配偶者義務を与える。また独身者にも、集団結婚という名の儀式を以て、夫婦契約を結ばせる。
 そうする事によって、各男女は宗教にのめり込み、教祖の意の儘に動かされる、絶対服従の性交奴隷が誕生するのである。

 この場合、苦痛に耐えれば耐える程、その信仰への信仰心は増し、曾てのキリスト教を見ればこれは判明する。
 踏み絵。拷問。転びバテレン。こう云った迫害にも負けず、苦痛に耐え、殉教した信者は決して少なくない。

 新興宗教にとって、こうした苦痛に耐え続ける殉教の徒を育成するのも、大切な教団運営の一つである。また、配偶者を交換するという極めて異例な、システムを考え付いたのも教祖ならではの妙案であった。これは配偶者を法律上は、前回のものを引きずりつつも、実体は配偶者交換を実行して、乱交の味を一度味わえば最早ここから後戻りする事は出来なくなるスワッピング洗脳である。これは、これ以上喰われる苦痛が、以前にも増して、その依存度を深めるからだ。

 これとほぼ酷似した形態を用いて、財界人の卵を養成する機関がある。これが有名大学における、表面上は社交を目的とした《倶楽部》である。
 奨学金を提供しつつ、《倶楽部》という名目で、現役の学生を養成する機関である。
 彼等が入会時に課せられる事は、学術優秀、品行方正、容姿端麗、そしてスポーツマンを表象する、これが入会の条件となる。

 そして曾祖父母の代まで遡りその家柄と、血統を問うのである。父母で二人、祖父母で四人、曾祖父母で十六人という事になり、自分より四代前を遡るのである。ただしこれはアメリカにおいてである。

 ちなみにアメリカでは、先祖三十二人までを遡り、髪の毛の黒いものが混じっていれば、仮にそれ以外の条件をクリアーしていても、即不合格になるという仕組になっている。それはスペイン系とか、イタリア系でも駄目で、イギリス出身のアングロサクソン・プロテスタントでなければならないのである。アメリカは、実に血統主義である。

 しかし日本においてはこれが不可能であり、此処までの厳密な先祖三十二人に遡る事は出来ない。それは母方の系譜が不明確であるからだ。

 さて日本において、通り一遍の諸条件をクリアーした後、洗脳及び、麻薬分析にはいる。半催眠状態にしておいて、過去の洗いざらいを告白しなければならないのである。
 ユダヤ神秘主義の中枢を成すカバラ思想には、「生命の樹」なるものがある。この生命の樹は十の球体の「セフイロト」と呼ばれる惑星に、二十二の小径の「パス」があり、これによって大宇宙が完成すると言う、宇宙観がこれに秘められていると言う。

 この生命の樹を完成させる為に、先ず初心参入者はブルーロッジで自らを告白しなければならない儀式を受ける。
 このユダヤ神秘主義の歴史は、ソロモンの神殿を築いた建設技師にその源を発する。ソロモン王は彼等建設技術者達に自由に行き来できる特権を与え、更に建設の秘密保持のために同業者間で秘密結社を結成する事を認めた。

 この伝統を引くものが薔薇十字団で、この秘密結社はキリスト教神秘主義者や神智学者などを巻込んで、近代には、ユダヤ・フリーメーソンが装いも新たに登場する事になる。
 そしてこの思想の中心は、生命観を掘り下げる事であり、創造主の所産として生命の起源を唯物論に求め、自称科学的と称される脳科学に生命の解明を求めようとしている点である。



●麻薬分析と宗教

 阿片は、鴉片とも書く。ケシの未熟な果殻に傷をつけた時に分泌する乳状液を乾燥して得たゴム様物質で、モルヒネ・コデイン・パパベリン・ノスカピンなど種々のアルカロイドを含み、鎮痛・催眠作用を呈する薬物である。

 しかし常用すれば、阿片特有の中毒を起す。阿片の吸飲によって起る中毒作用が起るのだ。急性中毒では悪心・嘔吐(おうと)・眩暈(めまい)を生じ、昏睡・呼吸麻痺に陥るが、慢性中毒では神経・精神症状が強く、阿片を渇望し、与えないと禁断現象を起す、厄介な代物である。
 そして精神的には強い暗示性を持つ。

 このため、古来より宗教団体や秘密結社はこの薬物を用い、麻酔分析をして、時には強い暗示性を利用して、殺人やテロ行為を強要して来たのである。

 切支丹信仰は、デウスを最高神とする信仰で、それは天にあって、宇宙を主宰する神、デウスへの信仰であり、デウスの御掟をそむく事を戒める信仰であった。デウスは天帝とも云われるが、仏教では帝釈天を意味する。

 さて切支丹は最初、吉利支丹と書かれていたが、禁教後は鬼理死丹や切死丹等と書き改められ、また、徳川五代将軍・綱吉以後は「吉」を避けて、切支丹と記したのである。
 この宗教は、天文十八年(1549)イエズス会の修道士フランシスコ・デ・ザビエルらが日本に伝えたカトリック教で、その信徒は南蛮宗と呼ばれた。

 キリシタンが布教の方便として用いたものは、理化学応用や医術などの西洋技術で、当時は魔術と看做みなされ、転じてこの術者を魔術師と称された。
 また魔術師はバテレンと呼ばれ、これは一方で魔導師の意味を持つ。バテレンという呼び名は、元々ポルトガル語の神父の意味で、江戸時代は伴天連とか、破天連の文字が当てられた。これはキリスト教が日本に伝来した時の、宣教に従事した司祭への別名もであった。

 へブライ語は、ヘブライ人の思想や文化の語源であり、ユダヤ教やキリスト教の思想の根幹をなした。ヘレニズムとともにヨーロッパ思想の源流の一つとなり、またユダヤ民族によって用いられている言語でもある。
 またアフロ・アジア語族中の、セム語派西北セム語群の一にも数えられている。

 古代ヘブライ語は前九世紀から一世紀にかけて、パレスチナで用いられ、『旧約聖書』はこれで書かれている。しかしユダヤ人のバビロン捕囚以後、日常語としてのヘブライ語は衰退するが、1948年イスラエル建国とともに、現代ヘブライ語が復活する。

 さて話しは少しそれるが、イスラエルとは「神と争う者」の意味である。
 またイスラエルとは、『旧約聖書』に見えるヤコブと、その後裔たる十二部族の総称でもある。そしてその発生地は西アジアに属する。

 イスラエル民族の起源は、パレスチナの南東方荒地に起り、前千数百年頃エジプトに居住した人々で、モーセによって導かれ、エジプトを出て、カナンの地に至り、前1250年頃サウルによってヘブライ王国が建設され、前926年に北のイスラエル王国と南のユダ王国とに分裂した。

 この後イスラエルは、前722年に、ユダは前五八六年に滅亡した。しかしバビロン捕囚の体験を経て、イスラエルの宗教はユダヤ教として発展する。
 そしてシオニズム運動の結果、パレスチナに流入したユダヤ人が、1948年イギリスの委任統治終了とともに建設した共和国が、今日のイスラエルである。

 しかしこの国家の存在は、中東紛争の中で焦点となっている。首都はエルサレムであるが、国際的には未承認であり、公用語はヘブライ語とアラビア語用いられているが、国家という線引きにおいて、不確実性の問題が多々提起されている。