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第二次関東大震災Xディ
(だいにじかんとうだいしんさいえっくすでぃ)

●大地震と世界恐慌

 人類の有史以来の歴史の中には、時として信じられない事が起こる。特に大地震はそれを克明に物語っている。歴史が次の時代に移行する時、あるいは現体制が臨界点を超えた時、その世代交代に際し、必ず大激変が表面化する形で、人類の頭上に降り注ぐ

 我々日本人は、大地震に対して警戒し、危機管理の重要性を謳いながらも、久しく忘れてしまった観が強い。それはこれまで約七十年周期で現われていた関東大震災である。
 地震学者の予知する七十年周期から言えば、第二次関東大震災はいつ起こっても決して不思議でない危険周期に突入しているのである。しかしこれを現実に捉えている人は余り多くない。こうした切迫した危険性と表裏一体の背中合わせにありながらも、遠い国の花火大会に位にしか捉えていない節が強いのである。

火山帯が横たわる日本列島

▲火山帯が横たわる日本列島(クリックで拡大)

 さて、かつて一九七八年当時、東京都が発表した「東京における地震災害の想定に関する調査研究白書」によれば、次回予想される第二次関東大震災の予測規模は、マグニチュード7.9クラスの大地震で、その震源地は相模トラフ上を中心に、その地震規模は大正十二年(一九二三年)九月一日午前十一時五十八分に発生した、相模トラフ沿いの断層を震源とする関東地震(マグニチュード7.9)による災害とほぼ同規模のものとしている。

 大正十一年当時のこの地震は、南関東で震度6。被害は、死者九万九千人、行方不明四万三千人、負傷者十万人を超え、被害世帯も六十九万に及び、京浜地帯は壊滅的打撃をうけた大地震であった。またこの大震災の混乱に際し、朝鮮人虐殺事件や亀戸事件や甘粕事件が発生したことは有名である。

 第二次関東大震災を予測した東京都調査では、七六年当初、人的被害は死者が九千人程度と予測していたのであるが、この数字は到底信じる事ができないものとして変更が繰り返され、更には阪神・淡路大震災の被害率から考えて日を追うごとに修正が繰り返され、七八年ではその死者の数が三万七千人となり、火災等も発生する事が考慮されて、公表数は日増しに増加の一途にある。

 この数字の塗り変えのベースになったのは、東京防災会議地震部会が発表した「人的被害の推定に関する調査報告書」であり、同書によれば、焼死者は五十六万一千人と、既に東京都が発表した七十六年当時のもので、今日では死者一〇〇万人を超えるであろうとも予測されている。
 つまり東京都民の約一割が死ぬという予測である。
 しかしこの数字は、地震発生及び発生後の火災による焼死者数であり、首都高速等や山手線沿線を含む車輌事故等で死亡する数字は含まれていないのである。

 もし、時間的に通勤時のラッシュアワーに重なり、こうした交通事故や、高速で走る車輌の脱線や転覆が起これば、当然圧死による死者の数は鰻上りに急増し、恐らく一〇〇万人を軽く超える数字に達するのではないかと予測されている。こうなった場合、これは単に「大震災」では済まされない現実が襲うのである。

●第二次関東大震災の危惧

 関東ローム層を基盤とする東京は、遥かに京阪神や東海地区より地盤が不安定で、悪いのである。
 もともと関東地方の台地や丘陵を覆っている地盤構造は、赤褐色の粘土化した火山灰層である。この火山灰層が、何層かの軽石層を挟む地盤がローム層なのだ。

 ローム層(loam)とは、砂、シルト、粘土がほぼ等量に含まれる風化堆積物であり、一般には壌土と言われる地盤であり、風成火山灰土の一つである。この代表的なものが「関東ローム層」であり、一〇メートルに達する層を成している。この風化堆積物の中には酸化鉄に富み、赤褐色で、主成分は赤土(あかつち)である。そして第四紀に箱根山、古富士山、男体山、赤城山、榛名山・浅間山などの各火山から噴出した堆積物が重なって出来たものが国際都市・東京の地盤である。
 こうした地盤では液状化現象が起こりやすく、また、この現象は地図の上から見ると下町に多く密集し、下町を中心に最悪の状態が起こる事が予想されれいる。

 地震学者の予測によれば、地震発生後四、五分で、江戸川区、荒川区、江東区、葛飾区、足立区、墨田区などの下町密集地帯に液状化現象が起こり、地盤に異変が発生した後に、建物が崩壊するという被害予測が成されている。
 液状化現象の恐ろしさは、砂の地盤が地震の衝撃で流れやすくなる現象である。これが起こると、建築物の傾きや倒壊がまず最初に現われる。

 そして液状化の地質構造は、砂粒の間に飽和していた水の圧力の変化で水が動き、砂の粒間結合が破られて、砂全体が液体のようにふるまうと考えられる。
 地震動が大きいと、液状化の為に建物が先ず最初に被害を受け、砂が地上へ噴出し、噴砂となるのである。特に埋立地等で見られる現象であり、まさに東京は、かつての江戸湾を埋め立てて築いた都市ではなかったか。

 こうした事を念頭において、地震に備えて危機管理を実践している人は余りにも少ないのである。阪神・淡路大震災当時(一九九五年一月)、一応の危機管理は叫ばれていたが、それは殆ど機能しなかった。京阪神地区の交通網は寸断され、ために六四〇〇人以上の死者を出した。
 これを機にして、琵琶湖直下型地震の危険性が取り上げられ、また活断層(過去約百万年間にズレた事のある断層)という、地質学上の特異な観点が取りざされる事になった。

 活断層は、将来もズレる可能性があり、今もなお活動中とみなされる。地形にズレが残っている事など、近い過去に活動した痕跡が存在する地域を差し、断層の活動は震源となるので、活断層の調査は地震予知上重要な調査課題となっている。
 この調査課題と背中合わせの状態で話題になったのが、液状化現象である。

 さて、液状化現象一つ取り上げて見ても、江戸川と荒川放水路に囲まれた江東地区、並びに新小岩以西の東京湾岸、更には千葉県浦安方面のディズニーランドを含む地域では、地盤が沈下する可能性が大きく、その範囲は東京都だけでも六八・九平方キロにも及ぶとされている。

 大正十二年の関東大震災の約七十年前には安政大地震(一八五五年)が起こり、液状化現象の大被害は現在の江戸川区や葛飾区にまで及んだと言われている。この時の大地震では、地面が割れ、地下から水や泥が噴き出し、二万戸以上の家屋が倒壊し、約一万人以上が死亡したとある。しかし当時は、現在よりも人口が少なく、また建物も殆どが二階建もしくは平屋で、今のような高層ビルは建っていなかった。それでも液状化現象でこれだけの死者を出している。

 こうした情況を踏まえ、今、この地域に震度6程度の地震が発生したら、三階建から五階建のビルの中層ビルの三〇%程度は間違いなく倒壊し、震度7ならば四〇%近くが倒壊すると予測されている。特に江東デルタ地帯は、極めて柔らかい沖積層(沖積世/完新世)に生成した地層で、地質学上では最新の地層と言われている。この地質は沖積統とうとも言われ、最後の氷期の最低温期(約二万年前)以後に、台地を刻む谷を埋めて堆積した、やわらかで水を含んだ粘土ならびに泥炭等から形成された地層で、その厚さは江東デルタ地帯で約二〇〜四〇メートルと推定されている。そして地盤上の不利はそれだけに止まらず、家屋の倒壊に関しては、山手地区の十倍以上とされ、更に津波の危険性もある地域である。
 江東区デルタ地帯はまた、海抜ゼロメートル地帯でもあり、液状化と津波のダブルパンチを受ける危険性が大なのだ。
 つまり液状化によって、沈下し、そして水没する事もありうるのだ。

 そして液状化現象や建物倒壊による被害よりもっと恐ろしいのは大火災である。
 江東デルタ地帯の地下には関東ローム層特有の風成火山灰土の堆積と、火山灰土の含む発火しやすいメタンガスが溜まっており、大正十二年の関東大震災の時にも、このメタンガスが大火災の発火点となり、多くの焼死者を出した。

 分子式 CH4からなるメタンガス(Methan/ドイツ語)は、最も簡単な炭化水素であり、このガスは天然ガスや沼沢の底より発生するガス中に存在する。また、腐敗した動植物から発生し、石油分解ガスや石炭ガス中にも含まれる。そして無色無臭の気体であり、空気中で点火すれば淡青色の炎を上げて燃える特徴を持つ。現在では燃料や合成原料として重要な物質文明の基盤を成しているが、ひとたび燃え狂えば、この沼気と称されるメタンガスは猛威を揮って人間を襲うのである。

 かつて在った事は必ず起こる。これは歴史の証明するところである。
 したがって第二次関東大震災が起これば、地震発生と共にメタンガスが噴出して、大火災が起こる可能性が大きいのである。

関東東海周辺

▲関東東海周辺(クリックで拡大)

●大混乱と大激変の帰宅難民

 大正十二年の関東大震災では、直径六〇メートル、高さ二〇〇メートルという凄まじい火災旋風が吹き荒れ、この猛威で焼死者は何と一四万人に達した。
 発生する地震の規模にもよるであろうが、マグニチュード7クラスの地震が起これば、大災害は免れようもなく、メガロポリス東京は、凡そ五〇%をこの大惨事で消滅してしまう事になるであろう。

 しかしこの大惨事は単に人的被害に止まらない。これはほんの序の口に過ぎず、細やかな主役が登場する序曲に過ぎないのだ。本当の大惨事はこれからなのだ。
 その大惨事を一つ一つ挙げていくと、発生する時間帯にもよるが、建物の倒壊での圧死や、火災から免れたとしても、大混乱の中で交通網はズタズタに寸断され、通信網は長期間不通になって、こうした最中、何が起こるか、想像も絶する第二次の大惨事が発生するであろう。

 予測あるいは推定という数字は、あくまでも控えめの数字である。特に政府関係筋の出す数字は、通称「大本営発表」と称され、悪い事態や、政府にとって都合の悪い出来事は過少評価し、良い事については過大評価して、それも、大袈裟に公表するというのが、明治維新以降の日本政府の遣り方であり、太平洋戦争当時、多くに日本国民は、これにとことん振り回された。
 こうした過去の公表から察すると、第二次関東大震災が発生した場合、その上に第二次災害や第三次災害の連動性を計算に入れていない数字である。

 交通網が断たれ、通信網が断たれると、まず帰宅できないサラリーマンやOLが「帰宅難民」と化す事が考えられる。東京は各主要企業の中枢部が置かれているばかりでなく、政府関係の各省庁もここに集積し、それに関連する枝葉が蹤いて、企業構造はピラミッド型を成している。そしてこうした関連下に従事する人口は、約九五〇万人以上と推測され、そのうち約三〇〇万人以上が帰宅難民となるであろうと言われている。

 これに加えて、家屋の倒壊や火災で家を失った「地震難民」が加わり、その被害率は地震発生三日目で約三五〇万人に達するといわれる。しかも東京に群がる人口は決して都内だけではない。千葉、神奈川、埼玉、群馬県・高崎などの地域を含めたら、東京圏での全人口は約三〇〇〇万人以上にも上るから、こうした被災者難民数は軽く五〇〇〜一〇〇〇万人にも達するといわれる。最早こうなると、単に大惨事だけでは済まされなくなる。各地であらぬ流言が起こり、パニックも続発するであろう。
 第一、交通網の被害を考えても、新幹線や首都高速の交通大惨事も予測されるので、恐らく人類史上最悪の大災害となるであろう。
 運命の法則は、悪い時には悪い事が重なるという現実から眼を反らしてはならない。

 こうした大惨事が更に次の大惨事を呼び、空前絶後の大災害は当然経済にも大きな影響を及ぼす。
 単刀直入に言えば、東京は半分以上が壊滅状態になり、廃墟となる事は疑いようもないのである。これによって、日本の経済は一時的あるいは長期的に壊滅状態に陥るのである。
 そしてその被害総額は、一五〇〜二〇〇兆円にも達し、日本経済は総崩れ状態となるのである。この被害総額は、日本の国家予算の凡そ二年分強から三年分弱にも匹敵するのである。

 阪神・淡路大震災では日本経済の頸動脈が断たれたといわれたが、東京で同規模の地震が発生すれば、頸動脈が断たれた位では済まされないのである。間違いなく、心臓に繋がる大動脈を断たれる事になるのだ。
 これが断たれれば、当然頭脳への血流も滞る事になり、脳が破壊されるだけでなく、首と胴が切り離されてしまう事になるであろう。
 さて、こうした現実は何を招くか。
 東京発世界大恐慌である。

阪神大震災

▲阪神大震災

●アルカリ骨材反応の脅威

 これまで指摘されたり、発見が極めて困難であった建造物の「アルカリ骨材反応」という現象が、この時期に至って浮き彫りになり、表面化し出した。

 アルカリ骨材反応とは、セメントの中のアルカリ成分と、砂や砂利の成分が結びついてこれらが膨張する化学反応である。そのために建造物のコンクリート(concrete/セメント・砂・砂利・水を調合し、こねまぜて固まらせた一種の人造石。製法が簡単で、圧縮に対して抵抗力が強く、耐火・耐水性が大きいので鋼材と併用し、土木建築用構造材料として使用)には罅割れが生じ、この罅割れ幅が二ミリ以上になると、コンクリート内部の鉄筋破断が生じるという現象である。

 この現象は時間と共に大きくなり、鉄筋部分は次々に破断を生じ、ついには建造物が崩壊するという風化現象であるが、こうした破断進行期に、例えばマグニチュード7クラスの地震が発生した場合、崩壊するという危険性が、建築学者の中から指摘し始められた。

 もともと建造物は、建設された当初、ほぼその儘の状態で、半永久的に建っているという考え方で造られている。途中でコンクリート内部に鉄筋破断が生じるなどとは、夢にも思わず造られている。少なくとも、十数年前はこうした考え方が一般的であった。

 ところがこうしたアルカリ骨材反応という、建造物を蝕む直接の崩壊原因に繋がる、現象が指摘され始めた今日、これは到底、隠し通せぬ事柄となり始めた。
 新幹線、砂防ダム、高速道路などの建造物を始め、鉄筋コンクリートの高層ビルなどは、今、アルカリ骨材反応の危険性が、密かに進行していると専門家の間で噂されている。

 都合の悪い情報は決して流さない。
 これはこれまでの日本政府の情報管理の伝統であり、行政の基本概念であった。行政側からすれば、悪い情報を逸速く流し、国民に無用な心配をさせるのは、かえって混乱を招くという基本姿勢を貫いたものであろうが、情報の極めて発達した今日、これは逆効果である。

 そして今日も、この伝統は行政機関の中で頑迷に守られているが、現在のように情報が発達した時代に、このような隠し事をして、国民にその危険性を知らせることを拒む行為は、実は彼等自身の官僚の怠慢であり、むしろ、大災害などが生じた場合、逃げ遅れて多くの犠牲者を出すことは火を見るより明らかである。

 特に、国土交通省が監督・管理する新幹線、砂防ダム、高速道路は、コンクリート建造物の風化と老朽化が確実に進み、アルカリ骨材反応によって鉄筋破断が起こっていることは明白な事実であり、行政がこれ等の危険な現象を、一時的には隠し果(おお)せても、一度マグニチュード7クラスの大地震が発生すれば、これ等の建造物は崩壊を免れないであろう。

●悪い時には悪い事が起こる歴史法則

 東京には各主要企業の情報中枢が集中し、一部上場並びに東証二部はここに多くの本社が集まっている。軍体組織で言えば、総司令部であり、ここが崩壊すれば日本経済は完全にマヒ状態に陥り、株価は大暴落を起こし、土地や建物も大暴落して、その評価額は半分以下に下がるであろう。この結果、日本の金融システムは事実上崩壊することは間違いない。

 この崩壊によって、債権、特に国債は大暴落し、紙屑同然になって、長期金利の上昇はまず免れない筈である。日本の国家破綻には益々加速度がかかり、中期あるいは長期的には日本を巨大なハイパーインフレが襲うであろう。これはまだ人類が、市場経済で経験して無いだけに、非常に恐ろしい状態になると予想される。

 「TOKYO壊滅」の第一報が全世界を駆け巡ると同時に、日本は世界中からジャパンマネーが引き揚げられ、それを受けてニューヨーク株式は大暴落し、アメリカ国債も大暴落して、世界的規模の金融パニックが全世界を震憾させるのである。
 第二次関東大震災で二〇〇兆円規模の復興資金が必要となれば、世界中に貸し付けているジャパンマネーは引き揚げざるを得なくなり、アメリカ国債の最大のお客は日本であるから、この国から膨大なマネーを引き揚げるとなれば、経済の大暴落は絶対に免れない状態になる。
 こうした事態が現実化されれば、日本並びにアメリカでは急激な大インフレが起こり、厳しい引き締め政策を取る事は明らかであり、第二次関東大震災を切っ掛けとして、世界規模の金融パニックは絶対に避け難いものとなる。

 そしてこの金融パニックが世界大恐慌に変貌し、続いて国家破綻、更には借金棒引きの徳政令までが出現して、経済状態は凄まじいハイパーインフレに陥るであろう。つまりこうした流れが、資本主義の崩壊に繋がるのである。
 いずれにしても、迫り来る関東地域に起こる第二次関東大震災は、紛れもなく世界大恐慌の引き金になる事は間違いないようだ。

 歴史は必ず繰り返すものであり、また悪い時には悪い事が重なるというのが、人類有史以来の歴史が証明していることである。
 かつての昭和恐慌(一九二九年/昭和四年の末以降の世界恐慌の一環)も、その元凶は関東大震災であり、これが日本国始まって以来の空前の恐慌なった。そして深刻な不景気が襲い、生活難、更には社会的緊張の増大を齎したのである。一九三二年以降、若干景気回復に向かったが、農村疲弊はその後も継続した事は、当時を生きた人であるなら、誰でも知っていることである。

 日本列島が横たわるマントルの上には、何をするか予測のつかない巨大なエネルギーが潜んでおり、またその列島の太平洋側には、正面から太平洋プレートが迫り、太平洋の南側からフィリピンプレート、太平洋の北側から北アメリカプレート、更には日本海側からユーラシアプレートが迫り、今でも日本沈没の為にその息を潜めているのである。
 これが一度起これば、関東地域を襲う巨大エネルギーは、マグニチュード7クラス以上、震度は6以上と考えられるのである。

 そしてこれは規模において多少の違いは出てくるが、直下型地震が起これば、東京の三割から五割程度は炎上し、消滅する事は免れないであろう。
 死者は都内だけで少なくても六〇万人以上に上り、被災者となった地震難民は東京首都圏を合わせて、五〇〇〜一〇〇〇万人に上り、少なくても四〇〇万人は下らないであろう。

 東京首都圏(千葉、神奈川、埼玉、群馬県・高崎など)を合わせると、現在約三〇〇〇万人が住んでいるが、仮に運良く生き残っても、家屋を失ったり、路頭に迷う難民数は五〇〇〜一〇〇〇万人に達し、これはもう人類史上最悪の大災害となることは必定である。
 その被害額も第一時的なもので一〇〇兆円、第二次的なもので二〇〇兆円となり、結果的には三〇〇兆円となることを覚悟すべきである。
 これは地震規模に比例するが、仮に直下型を免れたとしても、これに近い数字は発生するはずで、僅か一瞬にして財産を失う人は相当数に上る筈だ。まさにこれこそ「日本沈没」ではないか。

 大正十二年九月一日の関東大震災では国民総生産(GNP)の約三割が消し飛んでしまったが、第二次関東大震災が起これば、これを遥かに上回る数字に上るであろう。
 またこれが起因して世界大恐慌の引き金になるのは疑いようもなく、日本の前途は間違いなく国家破綻に向かって、経済大国から転げ落ちるシナリオが用意されているのである。
 そしてこの国家破綻が、資本主義市場経済の終焉に向かう起因となり、大ローンでマイホームを断てたり、マンションを買ったりしたような人は、大借金だけが残る計算となり、そこには想像を絶する「落し穴」が待ち構えているであろう。


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